遠くの方から香りがする。
遠くのほうに、色んなものが見えている。
見えてはいても、
一度通り過ぎた季節は帰ってこない。
すりガラス越しにみているような。
その景色すらいつのだか分からないけれど、結局は後も先も考えても考え尽くせない。
だから今の決定権は今に委ねるべき。
この感覚には覚えがある。
遥か向こう側から流れてくるものが何なのか、果たして。
きっと何もない。
なんでもないモノなんだと。
それでもなお、かつての季節を思い出す。
海の色や風の色。
海の音や風の音。
やっとこさの決断もそんなものに流される。
あっちもこっちも用意周到。どうせそんなもんだろう。
額面上の言葉は全く違う顔を、見せてくる。
そうやって誰しもが、新しい季節、迎える。