sd-1114〜夏の残り香。カランコロン。 | 鈴木勝吾オフィシャルブログ「Smiling days★」Powered by Ameba

鈴木勝吾オフィシャルブログ「Smiling days★」Powered by Ameba

鈴木勝吾オフィシャルブログ「Smiling days★」Powered by Ameba



『カランコロン』

『カランコロン』


下駄の音がなる。

砂浜では音一つしないけれど、どうやら都会のアスファルトではちょうどよいらしい。

防波堤の上、心地よい風は裸足で受けて。

風に舞う砂は頰に張り付いた。振り払うそばからまた張り付いて、夕陽は海に沈んでいった。

『カランコロン』

意気揚々と歩いてみれば慣れない下駄で階段を踏みはずす。

『ガランゴロン』

確かに暑かったはずなのに、流れる言葉の温かさは晴れやかな風のようで、軽やかに香る。

『カランコロン』

夜の風は涼しくなった、

『ガランゴロン』

はずなのに。
言葉はもはや石の重さをもって、唐突に流れることはなくなった。

夏真っ只中は過ぎ去って、秋の予感。

その風に暑苦しさを押し流して欲しいんだ。本当は。
身体中に纏わりつく、「ありとあらゆるもの」を「ありとあらゆる感情」を取り払って欲しいのに。

なのに秋めいてはまた蝉の声、秋めいてはまた夏の風。

空を見上げて

『ガランゴロン』

足下を眺めて

『ガランゴロン』


夏の残り香だけが過ぎていく。


夢の中では


『カランコロン』




もうすぐ秋だね。