角換わり 第58期王位戦挑戦者決定リーグ紅組 澤田真吾-阿部隆 棋譜検討(▲4八金△5二金型) | 将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

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【棋譜DB】
第58期王位戦挑戦者決定リーグ紅組 澤田真吾-阿部隆

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先手:澤田真吾 六段
後手:阿部 隆 八段

▲2六歩    △8四歩    ▲7六歩    △3二金    ▲7八金    △8五歩
▲7七角    △3四歩    ▲8八銀    △4二銀    ▲2二角成  △同 金
▲3八銀    △6二銀    ▲4六歩    △6四歩    ▲6八玉    △6三銀
▲3六歩    △3二金    ▲7七銀    △3三銀    ▲4七銀    △7四歩
▲9六歩    △9四歩    ▲3七桂    △4二玉    ▲4八金    △5二金
▲1六歩    △1四歩    ▲2九飛    △3一玉    ▲2五歩    △5四銀
▲5六銀    △7三桂
(下図)

▲4八金△5二金型のモデル局として検討しておきたい。

上図以下
▲3五歩    △同 歩    ▲4五桂(下図)   

▲3五歩に△4四歩は▲3四歩△同 銀▲4七銀で、
次の▲2四歩を狙いとする。

上図は▲7一角も狙いなので、銀を逃げる場所は4二か4四。
△4四銀には▲2四歩△同 歩▲同 飛△2三歩▲2九飛で、
▲1五歩や▲7五歩で攻めを繋げていく。

上図以下
△4二銀    ▲6六角(下図)

ここでは△4四角がよくある受けの形。以下
▲1五歩    △同 歩    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛(下図)

1.△2三歩には▲4四飛△同 歩▲同 角・・・
これは先手の調子が良さそう。

2.△2二歩と打てば、上述変化▲4四同角の時に得だが、
▲7五歩を絡められた時に壁形が気になる。

3.△6六角▲同 歩△2三歩には▲2九飛△4四歩▲7五歩・・・
▲6六同歩の形が後手桂の捌きを抑えています。

本譜は▲6六角以下
△3三桂    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛(下図)

△2三歩には▲2九飛と引いておけば、後手は形がほぐしにくい。
以下△4四歩には▲3四歩△4五歩▲3三歩成△同 銀▲4四桂が好手順。

上図以下△2二歩(下図)

ここは色んなバリエーションがある。

▲1五歩△同 歩が入る(または入っている)仮定なら、
▲3四歩    △4五桂    ▲同 銀    △6五歩    ▲2二角成  △同 金   
▲2三歩    △3二金    ▲5四銀    △同 歩    ▲1四桂(下図)

という強襲策が成立する。
△2一歩には更に▲2二銀だ。

また、△2二歩以下▲3三桂成△同 銀▲2九飛もある(下図)

角のターゲットを作る発想。
△4四歩には▲4五歩△6五歩▲4四角の要領。

本譜は△2二歩以下
▲2九飛    △4五桂    ▲同 銀    △6五歩    ▲3三歩(下図)

△3三同銀は▲同 角成△同 金▲5四銀△同 歩▲4五桂。
この絡まれ方は受けにくそうだ。

本譜は上図以下
△6六歩    ▲3二歩成  △同 玉    ▲3四桂    △3三銀    ▲2二桂成 
△同 銀    ▲3三歩    △同 銀    ▲2三金    △4二玉    ▲3三金   
△同 玉    ▲2一飛成
(下図)

▲3四桂△3三銀▲2二桂成がポイントで、
上図まで竜作りに成功した。

ただし、上図から
△4五銀▲同 歩△6七歩成▲同 金△5五桂はある(下図)

▲5六銀△6七桂成▲同 銀の局面が▲3四歩以下の詰めろだが、
受けが利く可能性も残されているかもしれない。
ただ実戦的には、先手に歩を渡す手順なのでやりにくいか。

本譜は▲2一飛成以下
△4二玉    ▲4一銀    △6二金    ▲6六銀(下図)

先手玉頭がスッキリしたが、以下の手順が素晴らしい。

上図以下
△6四桂    ▲5四銀    △同 歩    ▲7一銀    △7六桂    ▲5九玉
△5三玉
(下図)

絶妙の凌ぎ。阿部先生らしい風格だと思う。
この手を防ぐなら▲5四銀の前に▲3二竜だけど、
△5一玉の後に△4二金と当てて受ける筋が生じてしまう。

上図以下▲8二銀不成(下図)

この瞬間、後手玉は何でもないので、勝ち筋が生じていそうだ。
△3九銀、または△3六桂だったらどうだったかなぁ。
一見すると、凌ぐのはなかなか大変そうに見える。

上図以下
△3六角    ▲7三銀不成(下図)

△3六角は6八からバラして△7六桂と打つ狙いだけど、
▲7三銀不成とされてみると、上部が広くなってしまった。
△同 金は▲5一飛で詰むから、手立てが無くなった。
もう少し指しそうな局面でもあるけど、阿部先生はここで投了した。

少し苦しめの将棋を、絶妙のバランス感覚で耐えていたのに、
投了2手前が敗着とは悔しい。

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