「彫る将」考察と今月の将棋倶楽部24の途中経過 | 将棋大好き雁木師の新将棋文化創造研究所

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主に将棋に関する詩などの作品紹介と、自分の将棋の近況報告を行います。

読者の皆様こんばんは。雁木師でございます。今日は、前回新ジャンルとしてご紹介した「彫る将」の考察と今月の将棋倶楽部24の途中経過報告を行いたいと思います。長文となりますが、最後までお読みいただけると幸いです。

まずは「彫る将」について。前回、将棋世界から誕生した消しゴムハンコでプロ棋士の作品を作る「彫る将」についてご紹介させていただきました。

しかし、後からネットやSNSなどで検索をかけてみると「彫る将」という言葉自体は以前から存在していたことが分かりました。

前回の「彫る将」は、彫ることで作品を表現するという意味合いです。消しゴムハンコの作業は彫るという工程が8割。残りはカーボン紙にイラストを描くなどの作業があります。ゆえに、「彫る将」と名付けても違和感はありません。

一方、もともとの「彫る将」はどういうものなのかというと、将棋の駒などを彫って楽しむを意味することらしいです。とある将棋ファンの方のブログによれば彫る将とは

『彫る』ことを楽しむファンの総称

らしいです。

みそじんの将棋のある生活|完成版○○将まとめ【観る将、撮る将、指す将、描く将など全45分類を完全紹介・徹底解説】

今回「彫る将」という言葉で検索をかけてみると、将棋連盟のHPに面白い記事を見つけました。

良い駒の見分け方とは?駒師に聞く将棋駒の魅力と駒作りの奥深い世界

私は「駒師」という言葉自体も初めて知りましたが、将棋駒研究会というものが存在することも驚きました。駒に関する知識には疎いのですが、とても奥深い世界であることが記事を読んで感じました。立派な「彫る将」と言えるかもしれません。もっとも、「駒師」という言葉がありますので「駒師」の方に「彫る将」と呼ぶのもどうかという気持ちはありますが…。

 

様々な側面から将棋が楽しめる昨今。どの「○○将」であっても、将棋に対する愛情と情熱は強いという方は多いと思います。一体今後はどんな「○○将」がでてくるのか楽しみにしたいと思います。

 

では続いて今月の将棋倶楽部24の途中経過報告を行います。私は24にいくつかのルールを設けて指しています。詳細はこちら

なお、解析には「ShogiDroid」を使用。先週は8局、今週は8局解析しました。それでは報告に入ります。

総合成績:19勝21敗。勝率.475
手番別の勝敗は以下の通りです。
手番別勝率:先手番勝率.461 後手番勝率.500
ここまでは負け越しできています。星の流れを見ると、先週は連敗と連勝が目立って五分。今週は序盤から2連敗、3連勝、4連敗と負けが込む展開になり負け越しました。内容は後程戦型別の勝敗で詳しく話しますが、またしてもモデルチェンジを図り、長手数の攻防が目立ちました。序盤の駒組みから駆け引きを仕掛けるケレン味ある攻防を狙うスタイルに変貌し、かつての本格派居飛車党と呼んでいたころの面影はありません。
では戦型別の勝敗を見ていきます。
まずは自分から見た戦型から。ここまでは右玉が最も多いです。私の悪い癖ですが、負けが込むと我慢できずに路線を変えたがるタチです。先月までは三間飛車で戦うことを決めていましたが、先月末の勝敗が今一つということから思い切って右玉に切り替えたというのが現状です。右玉は基本的に居飛車相手でも振り飛車相手でも指しています。私が指す右玉は、「うそ矢倉」の出だしを踏むスタイルです。で、振り飛車と見せかけて右玉を狙うというものです。これが思わぬ副産物を生み出しました。それを踏まえて、相手から見た戦型別の勝敗を見ていきます。
相手から見た戦型は三間飛車が最も多いです。以前、神谷八段の「右玉破り」の本をご紹介した際に、右玉は石田流相手に実現できないという話をしました。しかし実戦を積んでいくにつれ、その根拠が消えました。相手が石田流に構えても、右玉が成立することが分かったのです。一体どうすれば石田流狙いで右玉ができるのか。詳しい話は別の機会に話します。
さて、居飛車で最も多かったのは矢倉です。本格的な矢倉もあれば、流れの中で矢倉になったというパターンもあります。しかし本当に多いのは居飛車のその他の戦型で、これは自分が右玉に組みたいがためにあえて形を悪くさせて序盤で優位を取ろうという感覚です。
 
ではここからは自戦譜を見ていきます。今回は、「両取り」をめぐる攻防の将棋を見ていきます。「両取り」とはその名の通り、両方の駒を取ることができる状態のことを意味します。代表的な両取りといえば「王手飛車」でしょうか。ただ必ずしも両取りをかけた側が有利になるのかというとそうとも言えません。「両取り逃げるべからず」の格言があり、相手にわざと両取りを仕掛けさせて駒を取らせる間に別の地点でポイントを稼ぐというテクニックもあります。先週の24での実戦から見ていきます。(持ち時間設定は「15分」)
 
まずは問題の局面を見ていきます。
 


この局面に至る過程を振り返ると、お互いに序盤の駆け引きが少しありました。後手番の私は雁木と見せかけて右玉を指すというもので、最近はよく使っています。結局駆け引きの末、私は右玉に組むことに成功。相手は雁木模様の中住まいという判別が難しい戦型です。そしてお互いに飛車先の歩を突いて一歩を入手したところで私が仕掛けます。
仕掛けの一手は☖3五歩。☗同歩と応じれば☖3六歩がくさびとなり、先手玉に圧力をかけることになります。相手はそれを許さないと☗4七銀と桂頭を守ります。私はすぐに☖3六歩とは取らず☖7五歩と先手の左辺を攻めます。
 


もしここで相手が素直に応じ続けるとどうなるか。一例としては
☗7五同歩 ☖3六歩
☗同銀 ☖7六歩
☗同銀 ☖5四角
となって一丁上がり。両取りかつ銀を取った手が王手になるのが先手にとっては厳しい展開です。当然本譜では、相手は素直に応じず☗5五歩と指しました。
 


部分的には先ほどの☖5四角の両取りの変化を封じた一手です。しかし、この手をアプリは悪手と判断。その理由は、後手の最善手である☖3六歩に素直に☗同銀と応じることができないからと考えられます。もし☗同銀と応じると☖7六歩が厳しい攻め。☗同銀と応じれば☖5六角が激痛の金の両取りとなります。
さて、本譜に戻ります。本譜は☗5五歩に対し☖3六歩とはせず、☖7六歩と左辺から攻め込みます。以下
☗同銀 ☖3六歩
と進行。
 


☖3六歩に対し、☗同銀と応じれば☖5六角と先ほどの先手激痛の変化をたどります。アプリの推奨は☗7四歩。☖同銀に☗1八角と打って☖3七歩成を牽制する狙いが一例。本譜は☗2五桂と桂交換を迫りました。しかしこの桂交換は両取りを誘発する一手で、アプリも悪手と判断。私は素直に☖同桂と応じて以下
☗同飛 ☖3四角
と2五の飛車と7八の金に両取りをかけることに成功します。
 


ここまでは後手ペースがアプリの見解。両取りを伺って仕掛ける後手とそれを凌ぎたい先手の攻防でしたが、この一手で流れが後手に傾いたかに思います。しかし相手の反撃に対する私の応手で流れが変わります。相手の反撃の3手1組の流れは
☗7四歩 ☖同銀
☗5六角
 


☗7四歩に対して☖2五角と飛車を取る手は、☗7三歩成から先手が猛攻撃を敢行する筋。アプリは後手有利も玉飛が接近している後手はやや指しづらい変化でしょうか。
さて本譜は☗5六角に対し、☖6五歩と銀取りを受けました。しかしこの一手が流れを変えてしまった悪手で代えて☖2五角と素直に飛車銀交換に応じて勝負したほうがよかったようです。本譜は☖6五歩に対し
☗3四角 ☖同銀
☗2九飛
と進み、結局私は両取りをかけた飛車も金を取れず両取りの仕掛けは不発に終わってしまいました。しかし私は☗2九飛以降も攻めを敢行。相手も後手陣の右玉のスキをついて互いに攻め合いになって迎えた下図の局面。相手が踏み込みます。
 


相手の攻めは☗7四桂の王手から。☖5二玉と逃げたところで相手に両取りのチャンスが巡ってきました。両取りの条件は7二の地点に銀か角を打つことで成立します。ただし、ここでアプリの最善手はひとつ。間違えてしまうと、流れが後手に引き戻されることになります。さて、アプリの最善手は☗7二銀か☗7二角か…。本譜は☗7二銀と銀で両取りをかけました。
 


しかしこの手はアプリ曰く間違い。最善手は☗7二角でした。なぜ☗7二角が最善なのかと言いますと駒を取った後の利きに大きな差があるからです。変化の一例としては☗6七銀の王手から手順でばらして先手の飛車を取って馬を作るという後手の反撃筋がありますが、角の場合だと寄せ合いの際に馬を玉に引き付けて王手ができるという利点があります。
さて、本譜も一旦ばらしてから攻めを継続しました。以降は「両取り逃げるべからず」の格言に沿い、あえて両取りを放置して攻めをつないだことで龍を作るところに成功します。
しかし相手の反撃を食らうことになり、凌げるか否かの攻防。下図の局面で私が応手を間違えてしまったことで決着しました。
 


敗着はここから☖4七桂成。この時は自玉の詰めろに気づいておらず、ただ攻めを繋げなくてはという思いに駆られてしまった失着でした。以下
☗4三銀 ☖同金
☗同馬 ☖同玉
☗2三飛成 ☖3三金
☗3四角 ☖4二玉
☗5二金 ☖3一玉
☗2二銀
まで123手で相手の勝ちとなりました。投了図は詰みです。
 


 
この将棋を振り返ると、両取りの攻防を制することができず優位を拡大できなかったことがまず一点。そして終盤の自玉の安全を考慮いなかったことも響いての負けだったことが分かります。両取り狙いで仕掛けたのは良かったのですが、踏み込みに欠けてしまい勝ちに持ち込めなかったことはまだまだ弱いと思います。
 
今回紹介したように、両取りの攻防は必ずしも仕掛けた側が有利になるという訳ではありません。両取りといってもいっぺんに2つの駒を取ることはできません。駒を取られている合間に模様をよくするなど、両取りをかけられている間に主張を通すことができれば恐れることはありません。今回紹介した私の自戦譜を反面教師として活用していただければと思います。
 

以上が今月の将棋倶楽部24の途中経過です。現在のレートは693点。最高レートは1,106点です。かつての武器、右玉を復活させたことによるモデルチェンジの浸透を図ることがポイントになりそうです。

今日はここまでとさせていただきます。本日も長文となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

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