前回、厚生年金について書いたので、今回は国民年金(基礎年金)について書きます。

 国民年金(基礎年金)

 

 手術による後遺症の初診日→容認

四角オレンジ裁決書を引用します(太線下線は私)。

 

「平成◯年◯月◯日にe病院を受診し、MRI、MRA撮影で脳動脈瘤(未破裂)が認められ、

平成◯年◯月◯日に はセカンドオピニオンを伺うためにa病院を受診し、

同病院で同年◯月◯日 に脳動脈瘤に対するコイル塞栓術(以下「本件手術」という。)を受けたとこ ろ、

術中に穿孔にて動脈瘤が破裂して 脳梗塞を起こしたことが認められる。 

本件手術は、脳動脈瘤に対する医療行為として行われたものであり、

その結果として生じた当該傷病は所期のものではなかったが、

手術によりこのような結果に至ることは本件手術自体が有する危険性の範囲内のものということができ

上記の経緯に照らせば、当該傷病は、直接には本件手術により生じた結果であり、

脳動脈瘤(未破裂)と相当因果関係のある傷病であると認めるのが相当である。

その結果が上記の危険性の範囲内である限りにおいて、 

本件手術及びその後の措置について執刀医師に過失があったかどうかは、

この判断を左右するものではない。

 そうすると、当該傷病が脳動脈瘤と相当因果関係のある傷病と認められる以上、

本件初診日は、平成◯年◯月◯ 日(本件手術の日)ではなく、初めて f科で脳動脈瘤を指摘された平成◯年 ◯月◯日であるというべきである。」

で加入要件・納付要件具備。

 

四角グリーン感想

 

①脳動脈瘤→②その手術中に動脈瘤破裂して脳梗塞

の場合、

太字下線部において、危険性の範囲内でなければ①②の相当因果関係が否定されて

②手術日が初診日になるのでしょうが、本件は因果関係が肯定されたので

①での初診日が、障害年金上の初診日と認められました。

本件では裁定請求において①②どちらを初診日として請求したか不明であり

①においても加入・要件を満たすか不明ではあります。

 

これ読む限り、他の事例でも

”手術にはいろいろな危険性が考えられる”として

手術による後遺症と手術の原因疾患との因果関係が肯定されやすいのかな、と。

だとすると、

どちらかというと仮に②でしか加入・納付要件を満たさないときの、

「手術による結果が手術自体が有する危険性の範囲「外」であるため②が初診日だ」

という立証の方が難しいように思いました。

 

さらには、症状固定について。

初診日や障害認定日の日付が伏せられていて不明なので想像でしかないのですが、

診断書において、

治った日 「推定」(注意「確認」ではなく)に○がありますが、

「廃用防止に努めるのみ」の記載や、良くなる見込み「無」から、

1年6ヶ月より前の時期での

症状固定、つまり障害認定日の特例が認められたのかな?と思っています。

 

関節可動域および筋力すべて斜線。ADLすべて×

四肢麻痺のため全介助、就労困難、意思疎通困難で、1級です。

 

いつも思うのですが、「全介助」なのだから

就労「困難」ではなく「不能」だと思うのですが

「困難」と書く医師も一定数いますよね。。。

 

 

 精神、遡及請求。カルテに処方内容しか記載がない場合→棄却

四角オレンジ概要

1.強迫性障害による遡及請求。

裁定請求では、障害認定日においては提出された診断書では認定不能として却下、

事後重症程度不該当で不支給。

審査請求では、事後重症請求は2級にする容認決定。認定日については棄却決定。

その後の再審査請求。

 

2.認定日診断書について

認定日受診した医療機関は閉鎖しているため、そのときのカルテにより

医師が診断書を作成。

その医師は、認定日当時の医療機関の部長だったが、

その医療機関時代は請求人を診たことはない。

しかし、その後から現在まで請求人の主治医。とのこと。

 

3.裁決書引用

「請求人を診察したことはなく、請求人が同病院の診療録のコピーを持参したことから、

それに基づいて本件診断書を作成したとし、本件診断書には、

平成◯年◯月◯日現症時の病状や状態像、日常生活能力の判定、日常生活能力の程度等についての記載があるものの、 同病院の診療録には、本件診断書現症日頃の診察記録として、処方薬についてのみ記載されており、本件診断書の記載内容を客観的に裏付ける記載はないのであるから、

本件診断書を障害認定の資料とすることはできないといわざるを得ず、

その他に本件障害の状態を認定し得る資料は見当たらない。」

 

上2行は、診断書備考欄に書いてある内容です。

 

四角グリーン感想

遡及請求の場合において、障害認定日当時のカルテに処方内容しか記載がないならば、

今回の結果になるのは仕方ないかもな、と思いました。

 

認定日当時の医療機関でない医療機関に診断書作成を頼む場合は、

年金請求後、保険者からカルテ開示があることは予想したほうがよいでしょう。

 

もっとも本件では、カルテは審査会からの求めで提出しており、

そうすると、原処分段階で保険者はカルテを求めてないと思われ、

ではどうして、提出された診断書で却下したのでしょう。

診断書作成医療機関が認定日当時に受診した医療機関ではない、ただそれだけ?

そうせざるをえない理由は診断書備考欄に書いてあったのに。。。

 

 

 統合失調症 初診日その1→容認

四角オレンジ概要

 

1.初診日のa病院(初診日に即日入院)はカルテ廃棄。第三者証明は、30年も前の記憶の正確性、信用性を認める特段の事情無し、として、請求人主張の初診日は審査会も認めず。

2.現在の病院に「a病院に○年入院」したと記載があり

3.入院仲間から入院中の請求人宛にお手紙(消印付き)

4.入院中の病院内テニス大会優勝賞状

 

四角グリーン推測

例によって日付が伏せられているので正確でない可能性がありますが、

上記2.は、何年間入院したのみで、入院した時期の記載はないものと

私は推測してます。そして、234から2の入院した日付を初診日としたと思われます。

で納付要件・加入要件具備し、容認裁決。

ただし等級の認定はせず終わり。

 

補足として、(おそらくの)2の入院日を初診日としたことは、

「請求人の申立ての範囲内のものと解される」とあります。

民事訴訟法の弁論主義の手当てをしていると思われます。

弁論主義第1テーゼ「裁判所は当事者の主張しない事実を判決の基礎とすることができない」

のこの場合の事実は主要事実を一般的に意味し、

本件では

「被保険者であった期間に初診日があったこと」が主要事実なので、

裁定請求書で記載した日付じゃない入院中のお手紙の消印日付を

(おそらくこれまで一度も請求人はそこは初診日だと言ってこなかったにせよ)

審査会が初診日として認定したとしても

弁論主義は反しないでしょう、ってことかなと思います。

 

 

 統合失調症 初診日その2→容認

四角オレンジ裁決書引用

「保険者は、上記平成◯年◯月◯日の受 診(以下「本件受診」という。)は自己中断により当日1日のみであり、その後請求人は断続的ながらも就労し、平成◯年◯月◯日にc病院(以下「c病院」とい う。)を受診するまで約9年経過していること等から、上記の「パニック障害」は 統合失調症とは別傷病である旨主張」

 

もっとも、審査会は

1回のみの受診時の状況、診断書記載の発病の経緯や受診中断期間中の状況、

その後の就労は短期の転職の繰り返しから、

1回のみのパニック障害においてすでに統合失調症発症、そこを初診日と認定しました。

 

納付要件、加入要件具備。障害の程度は判断せずで終わり。

 

四角グリーン感想

詳しくは裁決書を見ていただけたらと思いますが、

受診したときの内容や、中断中の状況から、

これ裁定請求から認めるべき案件でしょ・・・と思いました。

 

 

 統合失調症 初診日その3→棄却

四角オレンジ概要

受診状況等証明書 傷病名不登校 主訴内容も吐き気、時々頭痛

 

引用

「請求人がc病院に受診していた期間において、統合失調症の発症を疑わせる事実は認められないし、 

その後、平成◯年◯月◯日にa病院を 受診するまでの期間において、

医療機関を受診することなく、就職、結婚など通常の社会生活を営めていたことがうかがえるのであるから、c病院受診時の「不登校」が請求人の当該傷病(統合失調症)によるものであった、又は、

その前駆症状であったと認めることは困難であるといわざるを得ない。」

 

として裁決棄却になっています。

 

四角グリーン感想

前回の記事にも書きましたが、争点が「初診日」のときは、

審査会は慎重に審査し、棄却するときも「障害の程度」争点のときに比べて

慎重にしている印象。

 

上記その2との違いとして、請求人が初診日と主張するところの傷病名が、請求傷病名(統合失調症)

と異なっていたとしても、統合失調症の前駆症状か否かは、

(請求人が初診日と主張した)医療機関受診の経緯、受診時の様子、医師の見解、

その後、再受診するまでの期間の状況などにより、

判断が分かれたと思われます。

 

 

 障害基礎年金不支給処分の不服申立てで、厚年加入中初診であるが、1階部分(障基)だけの支給を求める主張→棄却

四角オレンジ概要

 

糖尿病性腎症の初診日の問題。

1.障害認定日請求として障害基礎年金裁定請求で初診日が請求書記載の日付で認められないとして却下処分。

2.事後重症請求として障害厚生年金裁定請求で2級決定。

 

その後、1.についての不服申立て。

 

裁決書そのままだと分かりづらいため、

以下をわかりやすくするためとして書きました。

(裁決書読んだ限りの推測でかいており、間違っていたらすみません。)

 

請求人は、

1の請求時点で、1階部分の障害基礎年金だけでもの受給権を発生させよという、主張。

 

そこで、審査会は、

障害基礎年金と障害厚生年金の請求権は別個の請求権であるから

「特段の事情がない限り」

1の不服申立てにおいて、初診日が厚年加入中として、

障基のみを請求し又は障害給付の請求に変更することは許されない。

としました。

 

請求人としては、

結局のところ2の請求で認められた初診日は、

国年第2号被保険者であり国年加入中なんだから、

1の時点であっても障害基礎年金の支給は認められていたはずと主張。

 

これに対し、審査会は、

保険者による原処分時までに初診日が2で認めた初診日であると合理的に認定することが

できる程度の資料が提出されていたのであればともかく、そうでない限り

請求の変更を許容する特段の事情があるとは認められない。

としました。

そして本件は特段の事情がないとして裁決棄却となりました。

 

四角グリーン感想

 

【請求人が障害基礎年金請求をしたが提出資料内では国年加入中の初診であると認める資料がなく、

他方、保険者裁定(原処分)前に、

請求人による厚年加入中初診日であることの証明力の高い証拠の提出があったにもかかわらず、

(障害厚生年金に請求を変更するように返戻・照会するなど保険者が措置を執らずに)

障害基礎年金請求棄却決定をした】

 

のであれば、

「特段の事情」があるとして、

その障害”基礎”年金請求不支給決定に対する不服申立てとして、

初診日が厚生年金加入中であったとしての障害”厚生”年金の給付を求める主張ができる、

ってことかなと。

 

 

以前の↑この国民年金1つめ棄却裁決とを整理すると、

 

「障害基礎年金不支給に対する、障害厚生年金を求めての不服申立て(またはその逆)」

が認められるのは、

 

1⃣ 厚年加入中の初診日であることの証拠が原処分前までに提出

2⃣ にもかかわらず保険者が請求人に厚年請求に切り替えるように返戻無し

3⃣ 仮に保険者が返戻しても、請求の切り替えに請求人が応じなければダメ。

 

であるかなと考えました。

 

 

 障害基礎年金不支給処分の不服申立てで障害厚生年金支給を求める主張→棄却

上記の事件と似ていて

障基請求→初診日認めず却下→障厚請求(事後重症請求)→2級→

最初の障基請求却下に対して障害厚生年金の支給を求めるもの。

ただ、上記と異なるのが、厚年支給を求める理由が、

最初の請求において、障基請求から障厚請求の切り替えしないと不支給になると

行政が説明すべきなのにしなかったの重大な瑕疵であり、差し替えがあったとみなされるべき

という主張です。

 

これに対し審査会は

前提として、

却下処分が見込まれるときも事前に説明して対応を促す一般的義務負わない

とし、

本件では下記事情から違法不当な行政指導や説明義務があったと認められず

請求人の主張は失当であるため棄却としました。

 

本件では、障基請求後

保険者は請求人に一旦返戻し、その返戻内容は、

 

”厚年加入中のa病院が初診と見込まれるとして

a病院の受診状況等証明書提出を求め、

さらにa病院初診の場合は、厚生年金請求が必要”

 

としたものです。これに対し、

請求人はb病院(おそらく国年加入)初診日として希望したらしく

とすると、

上記法則?からすると3⃣にあたるのかなと。

 

 

 うつ病 初診日 →容認

四角オレンジ概要

 

最初に受診したa病院に関わる証拠として、

 

1 次に受診した病院の受診状況等証明書 

紹介状無し。

”a病院閉院により当院受診。すでにデプロメール、デパスを内服していた”

の記載あり

 

2.診察券 初診日日付あり。傷病名記載なし

審査会は

「いかなる診断のもとで、どのような治療が行われたか等具体的内容が確認できないから、

これだけで、同日を本件初診日と認定することはできない」

としながら

 

3.薬袋 抗うつ剤(デパス)処方調剤された日付記載

(この日付が上記2の診察券記載の日と同じっぽい?)

 

でこの調剤の日付を初診日と認定、納付要件具備。障害の程度は審査せず終了。

 

4.第三者証言が提出されているけれど

「いかなる診断の元で、どのような治療を受けていたか等の客観的な根拠が示されていないから

これらの申立書を採用することはできない」

 

四角グリーン感想

2.の診察券について。

このa病院が精神科単科か総合病院かどうかが不明。

単科であれば診察券の証明力大きい。

総合病院であっても精神科だけの診察していることが診察券に書いてあることもあるので

その場合も証明力大きい。

診察券に初診日日付書いてあるのもgood!

すべての診察券に初診日を書いてほしいと思うよ~お願い

 

3.薬袋について。

薬袋や領収証などでは、「受診したこと」の証明にはなっても、

そこが「初診」であることの証明にはならないので、

診察券(初診日日付入り)があっての合わせ技で認められた、といったところでしょうか。

また、そのお薬袋の処方調剤日の前や後がずっと国民年金加入中であり、

未納もない場合は、2の診察券がなくても、審査会まで行けば

抗うつ剤調剤の日で初診日が落ち着くものと思われます。

 

4.第三者証明

いや。第三者申立てで認められるハードルの高さよ。。。

今回、診察券や薬袋なかったらどうなっていたのでしょうね。

 

 

 統合失調症 初診日その4→容認

四角オレンジ概要

 

1.障害基礎年金事後重症請求。

当初年金請求書には20歳後の日付を初診日として記載していたが

その後、請求人は、20歳前に修正記載。

保険者は国年法30条の4の障害基礎年金2級支給決定。

請求人は初診日は20歳後にあるとして審査請求、棄却、再審査請求。

 

2.20歳前受診した受診状況等証明書

傷病名 不登校 主訴は「体がだるくて無気力になったため週2日以上、学校を休んでしまう。」

1日のみの受診。投薬無し

 

審査会は、上記2のところは統合失調症の初診日ではなく、

20歳後に受診した病院が統合失調症の初診日であるとして、

30条の2の障害基礎年金が支給されるべきとしました。

 

四角グリーン感想

ここで書いた2個・3個上の、

障基請求に対し、障厚支給を求める(またはその逆)の審査請求は

請求権が別個なのでできないけれども、本件のように、

条文の違いであればできる・・・?

 

ここで民事訴訟法の話しだけれども、旧訴訟物理論だと

30条の4による障害基礎年金請求権と30条の2による障害基礎年金請求権は

根拠規定が異なるので訴訟物が別なのではないかと思ったりする。

 

本件では、

請求人が30条の4で裁定請求したのに、

再審査請求において30条の2の支給されるべきだと主張がとおっている。

 

では、例えば、

事後重症請求で支給決定を受けながら、

さらに(再)審査請求で認定日に遡及して受給権発生を求めることができるか?

 

例として、

令和4年5月1日障害認定日 そこから3ヶ月以内の診断書がとれず、

令和4年9月1日現症日診断書をもって同月事後重症請求。2級決定。

この決定に対する審査請求において、

5月1日の障害認定日に受給権発生させよ、と不服申立てができるか。

 

いや、あなたそもそも裁定請求で認定日請求してないでしょ、

として棄却になるのではないかと思ったりするのだが。。。

 

初診日に関して(20歳前か20歳後か)は、

新訴訟物理論と旧訴訟物理論の接近とも言うべき、

本人裁定請求とは別の主張が認められるのか・・・・

 

このあたり宿題です・・・。民事訴訟法まあまあ苦手科目につき。

司法修習中に諸先輩方に聞いて、何か分厚目の本を買いたいと思っている次第です。

 

 

 肢体の障害の程度→容認

ここまで初診日関係ばかりでしたが、やっと、障害の程度の裁決ですよ。

 

四角オレンジ事後重症裁定請求に対し2級不該当として不支給処分。審査請求棄却で再審査請求。

 

裁決書より引用(長尺で引用しました。太字は田口によるもの)

 

「1歳時に炭火こたつに落下したことによる両足熱傷であり、皮膚移植手術を8回行っているが、

やけどのため皮膚が薄く、足裏に負担がかかると激痛と潰瘍が生じ長期間治癒しないことから、

室内では壁や机を支えにしてマット上でつま先立ち、膝歩きをしているとされ、

医師からは、極力歩行しないように指示され、かつ車椅子の使用の必要ありとされているというものである。

 

このような本件障害は、両足の障害であるが、関節の筋力、関節可動域の制限によるものではないから、本件例示に示された筋力、関節可動域の基準を用いることは相当でなく、日常生活における動作の障害の程度 (ADL) を重視して程度を判断すべきである。

 

そして、本件診断書によれば、請求人の下肢関連の日常生活における 動作の障害の程度は、片足で立つ(右、 左)、歩く(屋内、屋外)は一人で全く できない、立ち上がるは支持があってもできない、階段を上る、階段を下りるは手すりがあればできるが非常に不自由とされているから、それは、前記 ⑶掲記の下肢の障害で2級に相当すると認められる「身体の機能の障害又は 長期にわたる安静を必要とする病状が 前各号と同程度以上と認められる状態 であって、日常生活が著しい制限を受 けるか、又は日常生活に著しい制限を 加えることを必要とする程度のもの」すなわち「両下肢の機能に相当程度の 障害を残すもの」に該当するというべきである。

 

  保険者は、疼痛による影響があるから上記ADLをそのまま評価できない と主張するが、上記の歩行の制限は、やけどのため皮膚が薄く、足裏に負担がかかると激痛と潰瘍が生じ長期間治癒しないことによるものであり、医師も極力歩行しないように指示しているのであるから、上記ADLの評価は相当であり、保険者の主張は採用できない。」

 

四角グリーン感想

診断書に、補装具使用状況やその他の身体状況、日常生活能力など詳しく書いてあり、

この事件の診断書を書いた先生、良い医師~飛び出すハート

 

あと、肢体障害において、私が審査請求していた案件(修習に入るため、他の先生に引き継いでもらいましたが)、保険者が「ADL2級だけども、疼痛による支障を差し引いたらADL2級不該当」とした認定調書だったんですよね、これと同じ。

 

本件では、やけどで皮膚が薄くなったことによる激痛であって、医師も極力歩行しないよう指示しているのだから、診断書のADL評価を疼痛による部分を差し引かずにそのまま認定しています。

 

本件や私の受任案件から、

認定基準の第9節神経系統の障害にある、「疼痛は原則として認定の対象とならないが」のあと記載の、

例外として対象となる疼痛にあたるかを保険者は検討せず、一律に対象外として、

疼痛がある肢体障害については、線維筋痛症などをのぞき、診断書記載のADL評価からさらに

軽度評価して認定してきているな、と。

 

なので、審査請求においては主治医に協力を仰ぎ、

この例外的疼痛にあたることの医師意見書をもらい、

(若しくは裁定請求において診断書備考欄に書いてもらう等)

ADLが減じることなく認定するよう、主張することが必要になります。

 

 

あとこれ、事後重症請求とのことですが、1歳のやけどとのことなので、

20歳時点にカルテがないとしてもに遡及しての認定日請求も行けそうな。

20歳時点も請求現在もそうそう障害の程度変わってないように思いまして。。。

 

 

以上、令和2年~3年の裁決集の見直しでした。

修習前にやっておきたかったので良かったニコニコ

ここ数回の記事ですが、取り急ぎアップしているので、

間違いがあったらちょこちょこ修正するかと思いますので

何卒どうぞよろしくお願いします。