今回は、

不服申立て(2審制)の最終審(第2審)である、再審査請求の統計から、

私が考えていることを書いていきます。

 

見出しは、

1.再審査請求の受付や裁決の状況(統計より)

2.上記統計より思うところ

3.裁判に進む人数はどれほどだろうか

4.裁判(訴訟)に進む選択肢を

 

ですにっこり

 

再審査請求の受付や裁決の状況(統計より)

 

社会保険審査会ホームページに、再審査請求の統計が掲載されています↓

 

 

それを一部加工したのが以下です↓

なお、平成23年のデータは、最新版の前の年に公表されていたものを拾ったものです。

 

 

 

上記統計より思うところ

私は表の縦の列の、水色部分2カ所を注目しています。

 

なお、この数字は、障害年金だけの数字ではなく、社会保険

(障害年金以外に、老齢・遺族年金や、傷病手当金等など社会保険全般)

に関するもの全ての再審査請求の件数ですが、

上記リンク先統計の「年度別・制度別(再)審査請求受付状況」によると

このうち、7割強が障害年金に関するものなので、

数字の上限は、障害年金のトレンドが大きく影響していると考えて、

以下記載しています。

 

「受付件数」が減少

まず、左側3列目の、水色部分、「受付件数」の推移です。

平成25年から平成28年まで、2000件オーバーだったのに、

平成29年から大きく落ち込み1400件、以後も1000件台を推移し

ついに令和4年は800件とここ10年で

半分以下にまで大きく落ち込みました。

 

その考察

この、再審査請求受付件数減少理由として、私が”勝手に”考えているのが4つです。

 

まず、裁定請求の”裁定”(=日本年金機構の原処分)→審査請求→再審査請求”受付”まで

だいたい1年程度かかります。

なので、障害年金制度のトピックがあってから1~2年に

再審査請求受付件数に影響があると考えています。

 

ここ10年の障害年金制度のトピックとして、以下があります。

 

地域差解消

平成26年 障害年金不支給率地域差について、共同通信記者による報道

平成27年 これをふまえ調査した地域差内容を厚労省が公表

 

その後、平成29年中央裁定がありますが、その前の

平成27年くらいに、不支給率全国2位の茨城県で、がらりと審査が変わりました。

 

そのため、不支給率高かった県に関しては、裁定請求でちゃんと支給決定となり、

不服申立てに進むことが少なくなったので、平成29年以降

再審査請求受付件数が減ったのではないかと。

 

他方、緩かった県に関しては、更新で、支給停止や等級が下位等級になるため、

中央裁定(平成29年)後の、更新(1~5年スパン)で、

停止等になった人の不服申立てが

一段落ついたのが、令和4年なのかな、と思っております。

 

不支給理由明示

不支給の場合の理由書は、これまでほぼ書いていないと同様だったのが

令和2年4月に改められて、不支給理由書として何枚かに

書かれるようになったため、それで納得してしまって諦めてしまった層が

いることで、令和4年の受付件数が減った可能性もあると考えています。

 

私的には、不支給理由書について

「量はあっても中身が薄っっ。これで諦めるのはもったいない」

と思うことも多いのですが。

 

精神の障害に係る等級ガイドライン施行

等級ガイドラインの影響はどうなんでしょうね。

等級ガイドライン内の「等級の目安」とは違う認定がなされることも多いことから

受付件数が減っていることの理由とは相容れないようにも感じます。

 

再審査請求棄却の増加

後述する、再審査請求の棄却率の増加により、

不服申立てに進んでもしょうがない、結果は覆らないから不服申立ては諦めよう、

という人も、もしかしたらいるのではないか、と思ったりします。

 

今後

今後に関しては、令和4年の800件水準が続く可能性もあると考えています。

あまり増える・減る要素が今のところ思いつかず・・・です。

 

現在の不支給者および更新での下位等級者数

「障害年金業務統計」という日本年金機構による統計によると、

障害年金裁定請求件数は、

令和4年の1年あたり12万件(前年13万件)

裁定請求不支給1万件(前年同じ)。

 

令和4年度分と3年度分↓

https://www.nenkin.go.jp/info/tokei/shuyotokei.files/r04.pdf

https://www.nenkin.go.jp/info/tokei/kako/r03.files/r03.pdf

 

裁定請求で不支給1万件除いた支給決定した11万件のなかにも、

支給決定はしたけれども等級に不満、も含まれているので、

数万件、潜在的に審査請求する可能性がある件数は

不支給決定の1万件以上あるのではないかと踏んでいます。

 

 

他方、更新での減額改定・支給停止の合計1万件(前年は468件。全然件数違くて、

20倍の開きがあるんですけど真顔

更新での減額停止や支給停止は、

その通り軽くなった方もいると思うので

この合計1万件全てが不服申立て対象というのでもないかもしれません。

 

 

この、不支給決定(1万件以上)・更新での減額・支給停止(1万件)に対して、

諦めると、審査請求をするに枝分かれし、

後者からさらに、審査請求で認められる(容認、または処分変更)と、棄却に枝分かれ、

さらに、後者が、諦める、再審査請求するに枝分かれする。

 

下記図の一番上の青矢印の流れが、

最終的に再審査請求に流れるのが800件なんだな・・・

です。

 

 

 

「容認率+処分変更の合計」の減少

 

もうひとつの水色部分、表の一番右の列、

「社会保険審査会による容認裁決」と「保険者による原処分変更」この合計

つまり再審査請求人側の主張が認められているものの推移です。

 

平成26年、27年が22%に対し、以後は、10%半ば台で推移。

 

容認裁決と原処分変更、このうちの前者についてですが、

実務者の肌感覚として、平成27年の途中から、

社会保険審査会による容認裁決が減ったな・・・

という印象です。

 

容認裁決の率(右から二列目の黄色部分)は

平成25~27年は10~11%だったのに対し、

平成30年以降は6%台・・・。

 

ちなみに平成27年は社会保険審査会委員のメンバー交代時期と一致します。

 

審査委員のメンバー交代も少なからず容認率減少と関係あるようにも

思いましたが、新しい委員(かつ元裁判官)の裁判官時代の判決を見ると

エネルギッシュな認容判決を書いている。

それがどうしてこんな淡泊な棄却裁決を書くようになったのか・・・

と思ってしまいます。

 

一つ考えられるのが、この平成27年およびその前の時期あたりに

障害年金社労士が大量に増え、かつ、その業務のやり方に問題があったのかもしれず、

社労士に対して懐疑的な目を、審査委員が向けるようになったのではないか、

それが、容認裁決が減った理由にもなるのではないかとも思われます。

 

ただの推察に過ぎませんが・・・。

 

私自身は今後、弁護士の資格がつくことで、少しは信頼されるのでしょうか。

 

 

また、話は変わり、

厚生労働省ホームページ内にある裁決例をみると、

容認は初診日関係ばかりで、

障害の程度の争いについては少なく、、、まあ、概ね棄却なんでしょう。

 

 

初診日について棄却としてしまうと、何か新たな証拠が見つからない場合、

その傷病については一生障害年金を受け取ることができない

(その後寛解等になり社会的治癒が成立するときや初めて1,2級除く。

また特別支給の老齢厚生年金障害者特例はもらえる)

そのため、審査委員は慎重に慎重に

なんとか救うことができないかという方向で審査している、

 

他方、障害の程度は今後悪化すれば障害年金再請求してもらえることができるため、

棄却とする心理的ハードルが低い、そう感じます。

 

裁判に進む人数はどれほどだろうか

前述の通り今後も年間800件あまりの再審査請求裁決棄却が

続くのではないかと思われます。

 

弁護士となった後に、障害年金訴訟やるにあたり、対象者はこの人数です。

(不服申立て前置主義なので・・・。まあ、審査請求からいきなり提訴というのも

なくはないですが、少ないのではないかと考えています。)

 

 

さすがに800名すべて訴訟に進むということもないでしょうし。。

なんの根拠もないですが、この1割くらいは裁判で勝訴する可能性もあるんじゃないかとか。

(不服申立て容認率や一般的な控訴審容認率などからざっくりとしたイメージ)

 

裁判(訴訟)に進む選択肢を・・・

となると80名近くは裁判に行った方が良いんじゃないか、

仮のそれ以下の人数でも良いのですが、

その層に対して、いかに、私の存在をアピールできるか(笑)。

 

 

私に依頼しないで他の弁護士の先生に依頼しても全然良いのですが、

 

 

「障害年金再審査請求実務をやっていた社労士で、

裁決内容があまりにおかしいとの理由で弁護士になった人間がいる」

 

 

これを知ってもらえることで、

「あれ、じゃあ自分が受け取った裁決もおかしいのかも?」として

再審査請求棄却に諦めず、そこから

裁判に進むきっかけになる人が出たら、と思った次第です。

 

以前、ブログに書いたように↓不服申立て(審査請求+再審査請求)の内容がおかしいから

弁護士目指そう、となったのでして、私に依頼せずとも、

裁判で勝訴して障害年金の受給権を得られることができる方が増えたら、嬉しいのであります。

 

 

 

そして、現在だと、障害年金訴訟件数は年間どれほどなのでしょう?

LEX/DBインターネットサービスの判例サイトに過去加入していたのですが、

ここ何年か、だいたい年間10~20件で推移していて、

最近は多くなっているように思います。

この判例サイトにすべての訴訟が掲載されているのかどうかが

分からないのではありますが・・・。

 

話は戻り、

不当な棄却裁決に対して裁判に進むことの選択肢を考えてほしいと

私が周知する手段として、

ブログ、Twitter以外に

個人相手の業務をやる士業が持つべきものとしての、自社ホームページが考えられます。

 

 

障害年金訴訟代理やる弁護士はいますが、それを全面押ししたホームページは少なく、

私がホームページ作るにあたり、SEOだ、MEOだ、リスティング広告だ、

と対策を講じるとかしなくても、いいかもな。とは思ったりしていますが

これについては、もうすこし検討します。

実は修習前にホームページ作っておこうと思っていたのですが、

広告倫理の厳しさが社労士と弁護士では全然違うらしく、

ちゃんと倫理を学んでからホームページ作らないと

二度手間になりそうなので、修習後のホームページ作成、つまり

弁護士登録後はすぐにはホームページない状態となりそうです。

 

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