実名小説『DAZZLING』 第53話『弁明』
実名小説『DAZZLING』 第52話『墓標』
実名小説『DAZZLING』 第51話『許容』
実名小説『DAZZLING』 第50話『ストックヤード』
ストックヤードに来るなんて…どういう風のふきまわし?…
それもこんな美人連れちゃってぇ…って…
よく見たらマリちゃんじゃなーいぃぃぃ…
美しすぎて気がつかなかったぁ…』
マコトが待ち合わせの時間より少し遅れてストックヤードのカウンターに座ると、マネージャーの大塚は不機嫌そうなマリを気遣い、つとめて明るく振舞った。
『…別に好きでこんな人と待ち合わせた訳じゃないわ…
この人に話があるからって呼び出されただけよ…
それに…あなたも含めて、この店のサービスが好きで来たわけじゃないわ…
この店のデザインが好きなだけよ…』
大塚の気遣いも届かずマリはいつもと同じように不機嫌極まりない態度を見せた。
『…相変わらず可愛げのない女だな…』
マコトは大塚に気を遣いながらもマリのその態度に思わずそう呟いた。
『…まあ、まあ…二人とも…ここは前向きに…
ポジティブに行きましょうよぉ…
国武社長もいつも言ってましたよぉ…
ポジティブ・シンキング…シンポジ…シンポジって…
ギロッポンでデルモのチャンネーとシースーをイークーでシンポジ・シンポジって…
ねぇ…まぁここにはシースーはないしデルモのチャンネーもいないんですけどねぇ…
代わりにザーピーでもいきますぅ?』
大塚の言葉に全く反応もせず二人は押し黙っていた。
『…で…話って…ニーナの事って何よ…』
マリはこのままいても埒があかないと思ったのか言葉を投げた。
『…その事だが…
お前ニーナが死んだと言っていたが…
それはその目で確認した事なのか…』
マコトの唐突な質問にマリは怒りをあらわにした。
『…なんですって!私がこんな大変な事…
嘘ついたとか思ってるわけ!…
自分があんなに追い込んでおいて…
ニーナは…ニーナはあなたのせいで…
傷ついてボロボロになって…
今になって何が言いたいの…
あなたって本当に最低だわ…
そんな事聞くために私を呼んだなら…もう帰るわ!』
マリはカウンターを叩くとすぐに出口へと歩を進めた。
『…あったんだ…電話が…ニーナかもしれない女から…』
マコトの言葉にマリは立ち止まるとゆっくりと振り向いた。
『…そんな話…信じられるわけないでしょ…』
『…それならレイ…レベリアーノの事は知ってるな…』
『…レイって行方不明になってるニーナの弟でしょ…
そのレイがどうしたっていうのよ…』
『…死んだ…いや殺されたかもしれないんだ…』
マリはその言葉にゆっくりと席に戻るとカバンを隣の座席に置いた。
『…詳しく聞かせて…』
マリの右手の人差し指に付けられたティア・ドロップ型のネイルが小刻みに震えていた…。



