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実名小説『DAZZLING』 第53話『弁明』

『…酷い仕打ち…申し訳ないが俺にはなんの事だか…』
マコトは正直にマリの目を見た。
『…だったらあなたはどうしてニーナと別れたの?…』
マリの質問にマコトはしっかりと答えた。
『…去って行ったのは…
去って行ったのはニーナの方だ…
それも…探さないでくれって書いた1枚のメモだけ残して…
俺が…俺が部屋に戻ってきた時には…
何一つ荷物は残っていなかった…』
『…嘘よ…あなたは自分の仕事上の事で…
有利に進められる相手を…
別の女を…選んだんじゃないの?…
それでニーナが邪魔になった…
そう…そう書いてあったわ…』
その言葉にマコトは絶句した。
『…本当に…本当にそんな事が…
そんな事が書いてあったのか…』
マコトのあまりの様子にマリは動揺していた。
『…もしかして…もしかして…違うの?』
マコトは静かに頷くとうめくように言葉を続けた。


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『…俺は…俺はお前がどう思おうと…
決して仕事上の事で魂を売るような事は断じてしない…
愛していたんだ…必ず戻ってくる…
そう信じてたんだ…
お前に彼女が死んだと聞かされても…
今でも部屋はあの時のままだ…
今でも片付ける事が出来ずにいるんだ…
彼女との思いでを消したくないんだ…』
マコトの言葉は嗚咽とともに次第に小さくなっていった。
『…もし…もしそれが本当なら…
私は騙されていたの?…
ニーナからも…
いや、サンドラからなのかも…
でもどうしてそんな事…
そんな事する必要があったの?』
マコトは顔を上げると真剣な眼差しでマリを見つめた。
『…もしかすると…
もしかすると俺の過去が関係しているのかもしれない…』
『…あなたの過去って…
さっき少し話してたレイのメモの事?…
確かラック・パーカーとかいう…』
『…そうだ…あのメモがレイのものだとすれば…
奴は俺がラック・パーカーだと知っていた事になる…
それをわかっててあのメモを俺に渡そうとしていた…
そしてそこに書かれていたのはGO TO JAPAN …
俺はこれが単なる偶然だとは思えない…
俺が日本に来たのは…何か…
何か運命の大きな波を感じる…
そしてあの姉弟…
彼女達もその運命の中に確実にいる…
そう感じるんだ…』
マリはマコトの言葉を聞きながらその言葉の力に吸い寄せられようとしていた…。

実名小説『DAZZLING』 第52話『墓標』

『…自殺という事だった…
私は我を失ったわ…
その時はまだあなたとの事がニーナが死んだ理由だとは思ってはいなかった…
私はすぐにスペインへと飛んだわ…』
マコトは黙って頷くとマリの次の言葉を待った。
『…そして以前尋ねたニーナの実家に行ったわ…
その時はすでに葬儀も終わっていてニーナはすでに埋葬されていた…
私はサンドラの案内でニーナのお墓へと向かったの…
向こうは火葬ではなく、もちろん土葬なんだけど…
日本とは慣習がちがうわ…
まずスペインのお墓には2種類あって、日本と同じようにある広さの土地を掘ってひとつの墓標を家族の墓として置くもの、もうひとつはひとりづつのお墓…
これは日本にはないからはじめはみんなビックリするわ…
まるでカプセルホテルのような形で地下ではなく地上につみあがっているの…』
『…ニーナの…
ニーナの墓はどっちなんだ?』
マコトは思わず問いかけた。

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『…前者よ…』
『…そこに…ニーナの…ニーナの墓標は掘ってあったのか?』
マコトの言葉にマリは首を横に振った。
『…今思えばサンドラの言われるままにお墓に手を合わせただけ…
確認してないわ…』
『…じゃあ…
もしかするとそのサンドラが嘘をついてるとしたら…
ニーナは…ニーナは生きている可能性がある…
そういう事だな…』
マリは黙って頷くと言葉を続けた。
『…私はその時サンドラからニーナの遺書だという手紙を見せてもらったの…
そこにはあなたとの幸せだった日々の事がたくさん書かれていたわ…
そして最後にあなたから受けた酷い仕打ちの事も…』
『…酷い仕打ち?…』
マコトは何のことかわからずその言葉を繰り返した。
『…そうよ…ニーナはその事が原因で自殺したの…』
マリは再び射るような眼差しをマコトにぶつけた…
が…それはかつての憎悪だけではなく…
そこには少しだけの戸惑いが含まれていることをマコトは敏感に感じていた…。

実名小説『DAZZLING』 第51話『許容』

『…ということは…あの姉弟は何か事件に巻き込まれたんじゃないのか
…あなたはそう思ってるわけね…』

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マリはニーナと思われる女からの電話、レイの突然の死、それにまつわる色々な出来事をマコトから聞き終えるとそう告げた。
『…そうだ…
なあマリ…お前が俺を憎んでいるのは解る…
俺も逆の立場であればお前と同じ気持ちになるだろう…
ただ…今だけは…この件の真相が分かるまでだけでいい…
俺を信じてほしい…
ニーナがもし生きているとすれば…
彼女は俺達にSOSを送っているのかもしれないんだ…
あの時の俺は去っていく彼女を止めることすらできなかった…
ただ今度だけは…
今度だけは俺は彼女を助けたい…
ずっと後悔していたんだ…
長く暗い洞窟の中でずっともがいてきた…
頼むマリ…一度だけでいい…俺を信じてくれ…』
マコトの鬼気迫る訴えにマリは天井を見上げると小さくため息をついた。
『…そこまで言うのなら一度だけ信じてあげるわ…
ただ今の話に少しでも嘘があった時には…
私は迷わずあなたをこの場から抹殺するわ…
覚えておいて…』
『…わかった…その時はどうにでもしてくれ…
お前に言われるまでもない…
俺は全てを捨ててここから消えるよ…』
マコトはそこまで話すとグラスに注がれたバーボンを一気に飲み干した。
『…ニーナの死についてだけど…』
マリはグラスを口に運ぶと遠い目をしながら語り始めた。
『…あの子の死を私に知らせてきたのは彼女の叔母さんからだったわ…
彼女と知り合って1年位経った頃、私は彼女に誘われてスペインへ行ったわ…
その時彼女が実家として紹介してくれた家にいたのがサンドラ…
彼女の叔母さんだった…
そう…そのサンドラからの電話で私は彼女の死を知ったの…』
グラスに残る氷のキラメキが優しくマリの瞳を濡らしていた…。

実名小説『DAZZLING』 第50話『ストックヤード』

お詫び…第49話『呼応』においてまたしても、健全なサイト運営にふさわしくない言葉、表現が含まれている可能性があった為、アクセス規制の対象になっております。その為、下記に大まかなあらすじを抜粋しておきました。読者の方々大変申し訳ありません。

第49話のあらすじ…マリが男との情事の後、余韻に浸っていると突然電話が鳴り響いた。相手はマコトだった。マリは一度は無視するが、思い直しマコトに明日の夜9時餃子クラブではなく、ストックヤードという店に来るようにと告げた…。


珍しいじゃないマコっちゃん

ストックヤードに来るなんてどういう風のふきまわし?

それもこんな美人連れちゃってぇって

よく見たらマリちゃんじゃなーいぃぃぃ

美しすぎて気がつかなかったぁ

マコトが待ち合わせの時間より少し遅れてストックヤードのカウンターに座ると、マネージャーの大塚は不機嫌そうなマリを気遣い、つとめて明るく振舞った。

別に好きでこんな人と待ち合わせた訳じゃないわ

この人に話があるからって呼び出されただけよ

それに…あなたも含めて、この店のサービスが好きで来たわけじゃないわ…

この店のデザインが好きなだけよ…

大塚の気遣いも届かずマリはいつもと同じように不機嫌極まりない態度を見せた。

相変わらず可愛げのない女だな

マコトは大塚に気を遣いながらもマリのその態度に思わずそう呟いた。

まあ、まあ二人ともここは前向きに

ポジティブに行きましょうよぉ

国武社長もいつも言ってましたよぉ

ポジティブ・シンキングシンポジシンポジって

ギロッポンでデルモのチャンネーとシースーをイークーでシンポジ・シンポジって

ねぇまぁここにはシースーはないしデルモのチャンネーもいないんですけどねぇ

代わりにザーピーでもいきますぅ?』

大塚の言葉に全く反応もせず二人は押し黙っていた。

話って…ニーナの事って何よ

マリはこのままいても埒があかないと思ったのか言葉を投げた。

その事だが

お前ニーナが死んだと言っていたが

それはその目で確認した事なのか

マコトの唐突な質問にマリは怒りをあらわにした。

なんですって!私がこんな大変な事

嘘ついたとか思ってるわけ!

自分があんなに追い込んでおいて

ニーナは…ニーナはあなたのせいで

傷ついてボロボロになって

今になって何が言いたいの

あなたって本当に最低だわ
そんな事聞くために私を呼んだならもう帰るわ!』

マリはカウンターを叩くとすぐに出口へと歩を進めた。

あったんだ電話が…ニーナかもしれない女から

マコトの言葉にマリは立ち止まるとゆっくりと振り向いた。

そんな話信じられるわけないでしょ

それならレイレベリアーノの事は知ってるな

レイって行方不明になってるニーナの弟でしょ

そのレイがどうしたっていうのよ

死んだいや殺されたかもしれないんだ

マリはその言葉にゆっくりと席に戻るとカバンを隣の座席に置いた。

詳しく聞かせて

マリの右手の人差し指に付けられたティア・ドロップ型のネイルが小刻みに震えていた…。




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