今日は自動車メーカーのエンブレムの話…
車のエンブレムに憧れを持つ人は
きっと少なくないはず…

美しい車にはエンブレムが必ずついて
いるし…本当に欲しい車は買えなくても
同じエンブレムが付いた安いモデルを買って
エンブレムが同じだから…と自分自身を
納得させた…という人もいるはず…

日本のメーカーが現在のエンブレムを採用し
始めたのは…トヨタが1990年前後からで
それ以前はどこのメーカーも、気まぐれで
車種毎にエンブレムがあったり…無かったり…。
国産メーカーはどこもトヨタと同じ時期から
エンブレムを統一し、使用したことからも
社歴は長くとも、ことエンブレムに関しては
歴史は浅い…。
歴史あるヨーロッパのエンブレムと比較すると
国産メーカーは正直…残念ではあるかな…(T_T)
なぜ…国産メーカーはエンブレムに意味を
込めなかったのだろう…
一部の欧州メーカーに比べ、国産メーカーの
エンブレムは、企業ロゴのよう…(T_T)
日本メーカーのエンブレム。
国産車にも好きな車はたくさんあるけど…
エンブレムに関しては好きな
デザインは無し…(T_T)
正直…どれも…ロゴ…という感じにしか
見えず…エンブレム自体に魅力は
感じないかな…
…歴史ある…という

意味で三菱や、スバルの図柄は良いと思う
日本メーカーのエンブレムにとある外国人の
コメントが…なかなか的を得た意見があった。
「日本人にとって、アルファベットは
文字と言うより図柄…
絵のような感覚があるのだろう…」
との意見だったが…これは言い得て妙な…
しかし…実際エンブレムにアルファベット
を使用するメーカーばかりなのを見ると
あながち間違いではないかもしれない…
社内のデザイナーが数パターン考案して
会議にかけて承認された…とか…
もしくは外注でデザインを頼んだ…
そんな企業臭がしてしまうんだよね…(T_T)
今回…エンブレムと、ロゴ…は
あえて別物として考え…
なぜ日本メーカーには外国メーカーのような
魅力のあるエンブレムが無いのか…
外国メーカーのエンブレムを紹介することで
その辺の違いがわかるかもしれない…
↓アメリカ車のエンブレム
左上から時計回りで…
キャデラック、シボレー、
テスラ、フォード、
おなじみのマークだけど…なぜか…
ワクワクする物がなく…
美しさも感じないのは…
僕がアメ車好きでないからだろうか…(T_T)…
Maserati マセラティ
車としては…他のメーカーのほうが好きな
モデルはあるけど…エンブレムの好みで
言えば…イタリアのマセラティが一番かも…
マセラティは1914年イタリア北部の
ボローニャで設立され、エンブレムは
1920年代には作られているから
エンブレムの歴史は100年…
マセラティのエンブレムは
そのボローニャのマッジョーレ広場にある
ギリシャ神話ネプチューンの像が持つ
三叉の鉾で… デザインは
マセラティ社には加わらなかった
画家の六男マリオ・マセラティ。
言ってみれば…マセラティ100年の歴史に
ボローニャの歴史…はたまた…ギリシャ神話
の歴史まで加味した…(ちょっと言い過ぎか)
歴史好きにもたまらないエンブレム秘話
なのだ…(ㆁωㆁ)
マセラティは…設立前夜…レース好きの
マセラティ兄弟によりスタートし
長兄のカルロが他界した為、彼の意志を
引き継ぐ形で、アルフィエーリ、エットーレ、
エルネストの三兄弟がボローニャに
マセラティ社を設立。マセラティとは
兄弟たちの苗字である。専ら関心は
レース車両の開発とレース参加であった。
後にアルフィエーリが他界し、次男ビンドが
加わる。レーシングコンストラクタの常で
経営が苦しくなると株を売却するが
新たな経営者オルシはレースには
関心がなく…兄弟は10年間勤続した後…
自身の名の付いた会社を去る…。
創業者が去った後もマセラティの名前
エンブレムは引き継がれ現在に至る…
Alfa Romeo アルファ・ロメオ
マセラティ設立の4年前…1910年に
スタートしたのがイタリアの
アルファ・ロメオ
アルファ・ロメオはイタリア・ミラノに
本拠地を置くため…エンブレムにも
ミラノ縁の紋章が…。
ミラノ市の紋章である「赤十字」と
12世紀から15世紀のミラノの貴族であった
ヴィスコンティ家の紋章「大蛇」を
モチーフにしたエンブレム。
アルファ・ロメオのエンブレムにも
よく見ると…ヘビの口に人影が…
60年代のアルファで有名な1台…
ジュリオ・スプリントGTA
流行りのSUV車はアルファにも…
モデル名は…ステルヴィオ…
僕のお気に入りのイタリア人作曲家
ステルヴィオ・チプリアーニ…?

と思いきや…実はイタリア北部に
ステルヴィオという名の 峠 がある…
車だから…おそらくそっちからだろう…
Stelvio
Ferrari フェラーリ
アルファ・ロメオのレーシングドライバー
だった エンツォ・フェラーリが興した
イタリア・モデナに本拠地を置く
スーパーカー…高級GTのみ製造する
最も有名な…と言っていい
スーパーカー、高級GTメーカーであり
兼レーシング・コンストラクター
フェラーリのエンブレムの物語は…
第一次世界大戦に遡る。イタリア軍戦闘機に
乗り…後に戦死した「撃墜王」
フランチェスカ・バラッカ氏の乗る
戦闘機に描かれていた黒い跳ね馬…
1923年、エンツォの乗るアルファは
レースで優勝…観衆の中からバラッカ氏の
父親がエンツォに近づき、祝辞の後
自宅に招いた。自宅で夫人がエンツォに
手渡したとされる布切れ…それは
息子バラッカ少佐の遺品…機体から
取ったトレードマークの黒い跳ね馬の
描かれた紋章であったそうだ。
Porsche ポルシェ
ドイツ・シュトゥットガルトを本拠地に
フェルディナンド・ポルシェにより
創設された。
エンブレムのゴールドは…豊穣の意で
黒は森… 赤は知性を表しているのだそう。
3つ並んでいる物は鹿の角で
シュトゥットガルトのあるルテンベルク州の
紋章に由来。盾型も州の紋章から。
カレラGT
Lamborghini ランボルギーニ
フェラーリと並んで最も有名なエンブレム
だが…フェラーリのようなエンブレムに
纏わるエピソードは無く、フェラーリへの
対抗心から、跳ね馬に対しての
「闘牛」をモチーフにしている。一節には、
創業者フェルッチオ・ランボルギーニが
牡牛座であることから…という説も…。
ともあれ…フェラーリやマセラティのように
レースで活躍した歴史がある訳ではないので
ランボルギーニのエンブレムを現在の
ステータスまで引き上げたのは…
60年代…70年代の個性的な
スーパーカーの存在だろう…。
創業当時のランボルギーニには…
元フェラーリ、元マセラティのエンジニアが
多く在席しており、彼らの多くは
レーシング車両の開発に携わる経歴を持って
新天地ランボルギーニに移籍したが
社主フェルッチオ・ランボルギーニはレース
に関心を持たなかった。
このイオタなどは…レース車両として
開発されたものの、レースに対して
フェルッチオの考えが変わることはなく
結局…購入を熱望する顧客に売却された。
後に公道でクラッシュ…レース車両として
開発されたイオタは現存しないが、
ミウラを改造して作られたランボルギーニ製
イオタ・レプリカが数台存在する。
↓ミウラ。日本人の名前みたいだが
ランボルギーニの車名は伝統的に
闘牛に由来する。
ウラッコ。V8エンジンを横置きに
ミッドに積み、+2シートを確保した
スーパーカー。12気筒エンジンと比べ
排気量も3リットル、2リットルと控えめ。
創立当初のランボルギーニには
前述した通り元フェラーリ、元マセラティの
レーシングエンジニアがランボルギーニの
車両開発に携わっており、
ジャン・パオロ・ダラーラ
テストドライバーのボブ・ウォレス
パオロ・スタンツァーニなど優秀な若き
エンジニアに加え… フェラーリで
名車中の名車…250 GTO を設計した
名エンジニア…ジオット・ビッザリーニも
アドバイザーとして在席していた。
ランボルギーニ特有の、バンク角
60度V12エンジンは…ビッザリーニ設計
であることからも、初期ランボルギーニは
フェラーリ、マセラティのレーシング
テクノロジーを持ったメーカーであった。
さらに天才的デザイナー
マルチェロ・ガンディーニによるデザイン…
こうした事がレース経験のない
ランボルギーニの価値を押し上げて
エンブレムの価値も上がっていったのだろう…
Lotus ロータス
イギリスのスポーツカー・メーカー
ロータスは、レーシングドライバーであり
名エンジニアでもあった創始者
コーリン・チャップマンが興した。
数々の革新的テクノロジーでレース界を
席巻したロータスは、市販車ではパワーより
シャシーやハンドリングを重視した
哲学を持つ、玄人好みのメーカーだ。
1945年の第二次世界大戦終了前…
新車の製造、販売が始まっていなかった頃、
チャップマンは中古車の売買を始める。
戦争も終わり、46年になると新車の生産も
徐々に始まり、47年になると配給制だった
ガソリンも自由になると…中古車は全く
売れなくなり、手持ちのストックを全て
売り払うことにするが…1台だけ
どうしても売れない車があった。
そこでチャップマンはこの車に徹底的に
手を入れ、レース参戦も可能な仕様に
改造する。この車に…ロータス…と名付け
ロータスの名を付けた最初の車となる。
LOTUS の上に A C B C が重なる。
チャップマンのフルネーム
Anthony Colin Bruce Chapman
アンソニー・コーリン・ブルース・チャップマン
の頭文字だ
ロータス・エスプリ
最速の4気筒スーパーカーと呼ばれたエスプリ
最終的に8気筒モデルも追加された
さて…エンブレムにストーリーがあったり
ステータスあるエンブレムを中心に
書きましたが…
どれも面白いストーリー、背景があったり、
地元縁のデザインを取り入れたりと…
会議で決定されたかのような面白味のない
国産メーカーのエンブレムとは…残念ながら
重みが違いますね…(T_T)…
日産自動車は1934年
トヨタ自動車は1936年
マツダも30年代など…歴史的には十分古い
国内メーカーであるし、中身の車は
世界に誇っていい優秀さなのだから…
創業当時に考え抜かれた
エンブレムを作っていたなら…日本車の弱味
ステータスという部分で今とは違っていた
のではないかな…と思うと…1990年頃まで
何もしなかったことが悔やまれる 
