【報告】2022年2月26日(土) 焼酎勉強会「天星酒造株式会社の商品開発」(高屋総一郎氏) | 「NPO法人かごしま焼酎マイスターズクラブ」ブログ

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鹿児島大学 焼酎マイスター養成コースの修了生で「かごしま焼酎マイスターズクラブ」を結成しました。焼酎文化の継承と発展を目指して地域貢献するために、2019年にNPO法人化しました。

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かごしま焼酎マイスターズクラブ 「第28回 焼酎勉強会」を 2022年2月26日(土)鹿児島大学で開催しました。会員31名参加のうち14名が 昨年から始まったオンラインでの受講でした。
 

今回も、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、入室時の体温チェック・消毒、ソーシャルディスタンスを考慮した席配置と換気をしっかりと実施しました。

2022年 初めての勉強会は、鹿児島県 大崎町にある 天星酒造株式会社 営業課長の高屋 総一郎氏を講師にお迎えして、「天星酒造株式会社の商品開発」をテーマにお話をいただきました。

 

高屋さんは長崎県出身の35歳で、鹿児島大学 水産学部から 焼酎にハマって農学部・北辰蔵の大学院を修了し、現在は焼酎造りと営業を担当されています。

 

蔵のある大崎町 菱田地区は 昔から銘水で有名で、かつては焼酎蔵が30軒ほどあったエリアだとか。

鹿児島県でも珍しい超軟水の地下水で、酒質を傷めず柔らかでのど越しの良い焼酎造りには欠かせない酒水だそうです。

 

主な銘柄として、「呑粋楽」・「天星醍醐」・「赤武者外伝 花魁」・「天星百恵」など、それぞれの特徴をご紹介いただきました。

 

特に、「天星宝醇 赤」は、2021TWSCで最高金賞を受賞されたとか。コロナ前は、まろやかな味が海外でも人気で、羽田空港・関空・セントレアの免税店でも人気だったそうです。



また、「御苑」(みその)は、コロナ前までは 宮内庁の生協売店限定で売られていたそうです。

 


2010年に、老松酒造から 天星酒造に社名を変更された背景や経緯については、焼酎ブーム時の過剰な設備投資やPB商品の過度な受注等で民事再生となり、昨夏、株式会社リカマンホールディングスより出資を受け、完全子会社となったそうです。

 

その反省をもとに、あらためて地域密着が経営方針となりました。
「ふるさと納税」に注力し、地元特産品のマンゴーやパッションフルーツ、鰻などの生産者や町役場と連携して、『チーム大崎』として、さらには協同組合も立ち上げたそうです。

 

地域連携の成功事例として、「地域みんなで作る梅酒開発」では毎回完売する人気商品に成長。SDGsの観点からは、焼酎造りで出る芋や梅の廃棄物を 地元養豚の飼料として地域内循環に成功されたそうで、この事業は、そうしん「アグリビジネスアワード」で 最優秀賞を受賞されたそうです。

 

今後の方針としては、①  親会社のルートで特別に入手できるウィスキー樽を活用した商品開発、② 現在、芋のもとぐされ病で原料不足の中、1年中造れて 原料も豊富な「麦焼酎」や「米焼酎」のブランドも強化したいそうです。

 

手始めに、ふるさと納税で御縁の出来た岩手県 北見市の余剰米を活用して、「ひとめぼれ」で米焼酎「kokokara きたかみ」を製造、同市の新しい特産品開発に成功。また、県内の有機農業者とのコラボで、オーガニック原料で製造した芋焼酎、米焼酎、麦焼酎がコストコで限定販売されている事例などを伺いました。

 

地方の小さな蔵が経営難を乗り越えて、積極的かつ先進的な取り組みを実践されていることに、あらためて感銘を受けました。蔵元から直接、具体的なお話を伺う事が出来る、焼酎マイスターズクラブならではの充実した勉強会となりました。     (文責:瀬戸口 晴子)