今週のJRAは、中山競馬場・福島競馬場・阪神競馬場の3か所体制で行う。

中山競馬場は両日共にGIレース、阪神競馬場は両日ともGIIIレースが控えている。

ここでは、両日実施される阪神競馬場の重賞競走について触れたい。

 

○アーリントンカップ(GIII) ※4/13

阪神競馬場の芝1600mで争われる3歳馬限定の重賞競走である。正賞は、アーリントンインターナショナル賞。

 

1987年にペガサスステークスとして創設されたのがきっかけで、1992年にアーリントン国際競馬場と阪神競馬場で業務提携を締結したのをきっかけに、現行レース名へ改称された。なお、ペガサスステークスの名前は、その後障害競走の「ペガサスジャンプステークス」として復活している。因みにアーリントン国際競馬場は、1927年に創設された競馬場で、イリノイ州アーリントンハイツにあり、最新技術を惜しみなく使用していたが、老朽化のため2021年9月25日の開催を持って閉鎖された。

 

創設以来、実施期間は主に2月下旬~3月初旬であったが、2009年にグレード格付けをGIIIに設定した。ニュージーランドトロフィーとは違ってGIIの昇格はなく、現在もGIIIのままで推移している。

2018年より4月中旬開催に変更、NHKマイルカップのトライアル競走に指定された。そのためニュージーランドトロフィーと同じく3着以内に入れば、NHKマイルカップへの優先出走権が与えられる。

 

このレースは波乱も考えられるため、過去10年間における成績から共通するデータ分析を見てみたい。

 

◆1番人気は過去10年間で6勝しているが、残る4回は全て4着以下と極端な成績になっている。2番人気・3番人気も過去10年間の勝ちは出ていないため、3着以内の好走しやすい4番人気以下を狙い、思い切った策を使う案も考えられる。

◆前走が朝日杯フューチュリティステークスなどの重賞から参戦する馬に好走しやすい傾向があるものの、昨年のドルチェモアのように4着以下と大敗を喫する可能性も考えられるため、未勝利・1勝クラスを勝ち上がったばかりの昇級戦に挑む出走馬は要警戒。

◆前回レースとの間隔が中4週以上、さらに中8週以上なら好走率高い。

◆近年は外枠かつ2勝・3勝挙げている出走馬が優勢。

 

◯飛躍を目指せ!

2022年の同レース覇者であるダノンスコーピオンは、NHKマイルカップの本番に出走、大外18番枠ながら見事な勝利をあげた。またこのレースに出走したカワキタレブリーは、アーリントンカップで11着と振るわなかったが、菅原明良騎手に乗り替わったNHKマイルカップの本番で、最下位18番人気ながら3着に好走、3連単150万越えの大波乱を呼び込んだ。これには、NHKマイルカップの直近でピンクカメオが死亡したニュースもあり、実施レース日が5月8日の母の日に因んだサイン馬券として、SNS上では話題となった。昨年の覇者オオバンブルマイは、ここを勝利してNHKマイルカップは3着に、その後出走したオーストラリアのゴールデンイーグルにも出走し、見事1着で海外レースの初勝利を飾っている。同馬は香港チャンピオンズマイルへの出走が予定されており、香港の最強マイラーと対決する予定だ。

このように飛躍が目立つアーリントンカップは、3着以内にNHKマイルカップへの優先出走権が与えられるので、出走メンバー16頭中、重賞組から選ぶならきさらぎ賞3着馬のシヴァース、スプリングステークス4着のチャンネルトンネル、朝日杯フューチュリティステークスは15着と振るわなかったが、小倉2歳ステークスの勝ち鞍を持つアスクワンタイムを、2勝馬はこぶし賞を勝ち上がったオフトレイル、セントポーリア賞2着など安定感のあるポッドテオなどを推奨したい。

 

歴史・コース:アーリントンカップ 今週の注目レース JRA

データ分析:アーリントンカップ 今週の注目レース JRA

 

〇アンタレスステークス(GIII) ※4/14

阪神競馬場のダート1800mで争われる4歳以上の重賞競走。14日実施のWIN5対象レースの4つ目となっている。アンタレスは、さそり座のアルファ座を指す。

 

1996年に地方・中央競馬交流ダートの重賞競走整備の一環として創設。1997年から2011年まで京都競馬場での開催となっていたが、2012年より阪神競馬場の開催に戻された。2003年より負担重量は別定に変わっているが、実施距離は創設時の1800mのまま推移している。

 

この競走は大波乱が少なく、また手堅い決着の傾向が多い。苦戦組の方は、ここで挽回できるチャンスともいえるが、過去10年間におけるデータ分析から見るポイントをあげてみたい。

 

◆前回レースにおける単勝人気が10番人気以下だと苦戦しやすいので、上位人気を推奨したい。

◆過去3走で地方・JRA交流ダート重賞を含むダートの重賞に出走し、3着以内と好走している経験がある。東京大賞典やチャンピオンズカップ、また海外ダートのサウジカップなどで実績を残した出走馬を選びたい。

◆前走の距離が1800m以上だと好走しやすい傾向にある。特にダート1900m以上のレースにあたる東京大賞典・名古屋大賞典・JBCクラシックなどのから参戦馬がいれば優秀。

◆通算勝利数が5勝ないし6勝以上なら期待したい。

 

◯帝王賞への道

2022年の覇者オメガパフュームは、重たい負担重量を背負うも何のその、見事勝利を成し遂げ、次の帝王賞も3着と好走した。残念ながら当該年の東京大賞典には、みやこステークス出走後の回復が遅れたため、それを待たずに引退したものの、種牡馬として新たな活路を見出したので、今後に期待したいものだ。

出走メンバーを見ると、前回東京大賞典ルートは不在だが、ダート重賞に出走し実績を残しているハギノアレグリアスが有力としてみてとれる。前走のダイオライト記念も3着と好走、チャンピオンズカップは6着だったが、シリウスステークスも勝利している経験がある。また実績重視なら、外枠のケイアイパープルもいる。但し、過去3走の成績はちょっとふがいないとは言え、藤岡康太の急死により急遽乗り替わりとなった亀田温心騎手は、勝利を手にすることができるのだろうか。

他にも内房ステークス覇者でWIN5の波乱を呼んだダノンマデイラ、東海ステークス3着馬ヴァクティファルスなども気になる存在だ。

 

歴史・コース:JRA70周年記念 アンタレスステークス 今週の注目レース JRA

データ分析:JRA70周年記念 アンタレスステークス 今週の注目レース JRA