家庭教育情報誌「子とともに ゆう&ゆう」6月号に俳優神戸浩さんのインタビュー記事が掲載されていました。神戸浩さんは独特のしゃべり方と自然体の演技が印象的な個性派の俳優です。

 出演作品は多くありますが、山田洋二監督との縁が深く、その作品への出演が目立つようです。私が以前みたことのある「学校」、「釣りバカ日誌」、「たそがれ清兵衛」、「三丁目の夕日」、「母べえ」などの数多くの映画の中で、少ない出番の中にも名脇役として見事な存在感を示していたことを覚えています。


 この記事で初めて知ったのは神戸さんが名古屋城近くのホテルマンとして働いていたことでした。日頃は営繕係としてホテルの施設管理をする一方、映画制作時には俳優として出演し、二つの仕事を両立させているのだそうです。

 インタビューではその個性的な演技の秘訣について語っていました。映画の中で見せる間の抜けたような独特のしゃべり方は幼い頃の小児マヒのせいなのだそうです。そして、何よりも地のままに見える自然体の演技の陰には神戸さんの日々の精進があることもわかりました。

 『「普通」を演じるなら、普通に生きなきゃ。』と、いう言葉が特に印象に残りました。

 神戸さんは、自然体で演技をするために日頃から普通に生きることに心をこめているのだそうです。

 

 最近の世の中の流れを見ると、普通に生きることがとても難しくなってきたように思います。生活するにも遊ぶにも、身の程をわきまえず、背伸びして求める傾向が強くなったように思います。私たちは普通に生きること、自然体で生きることの素晴らしさを忘れかけているのではないでしょうか。


 人間として「普通に生きる」とは、例えば人の命を大切に生きることです。また、人の心を裏切らないように誠実に生きることです。そして、人と人との絆を大切にして生きることです。


 私たちは人間として「普通に生きているか」を素直に見つめ直してみる必要があるように思います。


・ 物の豊かさに目を奪われ、大事なものを忘れていないか。

・ つい、自分のことを先にし、自分のことばかり考えていないか。


 改めて神戸さんの演技を思い起こしてみました。神戸さんがその独特の演技で訴えようとしていたのは「人間として普通に生きることの大切さ」ではなかったでしょうか。

 私たち大人には人間として「普通に生きることの大切さ」を子ども達にしっかりと伝えていく責任があるのではないかと考えています。