お茶の水女子大学とベネッセ教育研究開発センターが共同実施した「教育格差の発生・解消メカニズムの調査研究」がユニークな研究結果を報告しています。


 それによれば、「本を読む」、「美術館や美術展に行く」、「新聞の政治経済欄を読む」などを「よくする」保護者と、「テレビのワイドショーやンバラエティ番組を見る」、「スポーツ新聞や女性週刊誌を読む」、「カラオケに行く」などを「よくする」保護者を比べると、前者の子どもの学力は高く、後者の子どもの学力はやや低い傾向にあるのだそうです。


 「子どもは親の鏡」とは言い古された言葉ですが、親の行動と子どもの学力との間にはかなりの相関関係が見られるようです。親は自らの後ろ姿に十分心して行動する必要がありそうです。

 

 活字離れが今日的な課題として指摘され、じっくり本を読めない人が増えてきました。このような傾向は若年層に限らず、大人世界にも広まってきたように思われます。

 必要な情報はテレビやインターネットで得れば十分だという人がいます。確かに断片的な情報を得るにはそれで十分かも知れません。しかしながら、それらの情報だけでは発展性が乏しく、論理的に考えたり、認識力を高めたりすることができにくいように思われます。

 

 学力の国際比較をみると、日本の子どもたちの読解力が落ちてきています。この原因の一つには、このような保護者の行動や子どもを取り巻く学習環境の変化があるように思われます。

 活字を読むと理解力が高まると言われています。そして、活字を読むと周りの人にも寛容になれるのだそうです。さらに、活字を読むと、生き方に安定感が出てくるそうです。是非、活字文化を大切にし、じっくり自分の行動を考えて生きられる大人でありたいと願っています。