まるで預言者レベル!?美内すずえ先生の(13月の悲劇) | きたがわ翔のブログ

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以前ブログでも書きましたが、ホラー漫画家の児島都先生のお店に伺った時ですよ!!部屋のスクリーンにずっと私の大好きなホラー映画サスペリアが流れていて、ああっ!!やっぱりダリオ.アルジェントのこの頃ってシュールで最高!!とか考えつつまてよ?そういえば昔サスペリアを初めて観た時これとそっくりなホラー漫画を読んだことがあった!!と子供ながらに思った事を鮮明に思い出しました。

その漫画は当時若干二十歳そこそこのリンリンちゃんこと美内すずえ先生がお描きになった初期の大傑作ホラー、13月の悲劇という作品!!

 

ちなみにリンリンちゃんというのは先生が別マでご活躍されていた頃の愛称であります。おおっなんて懐かしくて素敵な響き!!先生にお会いしたら小声で優しくリンリンちゃんって呼んでみたい!!ついでに河あきら先生のことはウルフあきちゃんと呼んでみたい!!(つーかわかる方にしかわからないネタやめい!!)

 

 

閑話休題

 

 

話がそれましたがここで13月の悲劇のあらすじをば....(ネタバレにご注意ください)

 

 

有名俳優の隠し子マリーは母が亡くなったために全寮制の学校へ。ここは幼い頃から世間に邪魔者扱いされている金持ちの子ばかりが通っている特殊な学校。教室に入るなりまるで仮面のごとき無表情な生徒たちの顔...その不気味なカットが素晴らしくイカしてます!!ホラー漫画の掴みこれにてバッチリオッケー!!

うすずみがまるでスリラー小説の挿絵のような雰囲気を醸し出しています!!

 

 

そんな中で一人だけ人間らしい表情をしているデボラ。二人は仲良しになりますが、とにかくこの学校ときたら水、木曜日には礼拝、クリスマスは行わない、でもって大切な母の形見の十字架まで取り上げる、まるで囚人のような生活を強いられマリーの心は徐々にすさんでいきます。

と同時にそんな校風に疑問を持ちはじめ学校内を探るマリー。こっそりデボラと礼拝堂の垂れ幕のなかを覗いてみるとそこには巨大な魔王ルシフェルの像が!!

おそらく当時の少女たちがこのぺージでひきつけを起こしたであろうルシフェル様の素敵なお姿

 

 

実はこの学校は悪魔崇拝をしており、シスターや卒業生は全員魔女!!反省室に送られ自殺したと聞かされたデボラはなんと首なしの惨殺死体に!!

 

これもヤバい!!トラウマになります!!

 

 

とにかくこの骨太で綿密に構成されたストーリーを当時二十歳やそこらのうら若き女性が描いていたという事実に同業者として率直に驚きます!!赤い女神といい日本列島一万年といい本当にこの頃のリンリン...じゃなかった美内先生たるや若さの勢いも手伝ってもはや無敵な感じすらあります。

 

そしてこのストーリー、わかる方にはわかると思うのですが、細部に違う部分はあるにしろものすごく映画サスペリアによく似ていると思いませんか?

 

しかしここで私ははっきりとさせておきたい!!13月の悲劇が描かれたのは1971年、映画サスペリアが制作されたのは1977年、つまり美内先生の方が6年も早いのです!!

 

 

学校校長であるガートレットはその昔平凡な妻でした。しかし初めて生まれた子供が悪魔そっくりの姿であったために旦那には逃げられ人々から罵声を浴びせられ、地下で息子をひっそりと育てながら世間を呪い、そして復讐を誓ったのでした。

 

この奇形の息子と母親という設定はダリオアルジェントの別の映画でこれまた私が大好きな”フェノミナ”にそっくり同じ部分があり、なんなんでしょう?アルジェントってばイタリアにいつつ美内先生の漫画のおっかけだったんじゃなかろうか?といった疑念まで湧いてきます。

 

 

(漫画を自分が描いているという意識があるうちはまだまだ絶好調には程遠い)

 

 

どなたかの有名なお言葉です。(どなたでしたっけ?)

 

恐らくこの頃の美内先生は漫画を自分が描いているという意識すらなく、何者かが乗り移っていたかのごとく原稿を仕上げていたのではないでしょうか?そしてその勢いついでにまさか6年後に日本で大ヒットするホラー映画の内容まで予言してしまっていたのでは??

 

皆さんはどう思われますか?

それにしても....

 

リンリン....おそろしい子!!