【Day70 2025.11.12サンティアゴ滞在】のつづき
(1)から読んでね!
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ジョンと別れを惜しんでいると、フランス語兄弟(何度も書くが実際の兄弟ではない)の弟ティエリがやってきた。
兄のミシェルはもう帰ってしまったのだという。
私たちは再会を喜んで、一杯飲もうと、別のバルに向かった。
ミシェルは本当に君のことが好きだったんだよ。毎日毎日、君の話をするんだ。
ティエリにそう言われたが、全くそんな実感はなかった。
この日記でも嫌いな人の片割れとして少し登場しただけだ。申し訳ない。
嫌いな人として登場したティエリだが、実は彼との初対面は印象的だった。
私はすでに少し酔っ払っていて、誰もいないと思っていたバスルームを開けたら、シャワーを浴びた後の裸の彼がいた。
つまり、彼の全裸を拝んでしまった。
彼も私のことは印象的だったそうだ。
数日前に会った逆走するアルゼンチン人が“日本人の女性がいて、彼女は最高なんだ。ただ、、、ただ彼女は飲んだくれなんだ“と言っていたらしい。
初めて会った時、”こいつかー”と思ったのだそうだ。
そんな話をして爆笑した。
私たちは、やっぱり何かのご縁があるからこうして出会ったのだろう。
夕方、ティエリは予約しているというタトゥー屋に向かい、カーリーンは宿に帰った。
私は約束していたイタリアのべぺと会うためにまたカテドラルに向かった。
べぺはアルフセンの最終日に出会ったイタリアのおじさんだ。
ゆっくりと優しく話しかけてくれる人だった。
歩きはサクサクとマイペースに歩く印象だったので、まだサンティアゴにいることには驚いた。
聞けば足を痛めて、私と同じように歩けない期間があったのだという。
そして昨日は、オランダのヒルケとアルゼンチンのソファと一緒だったという。
二人と会いたかった。
連絡をすればよかったと後悔した。
べぺはサンティアゴでお気にりだというバルに連れて行ってくれた。
そこは重厚なインテリアで埋め尽くされて、如何にもハイソな人が集いそうな高そうなバルだった。
べぺは、今回の旅でカミーノは最後にするのだという。
誰もが次のカミーノはどこを歩きたいか、いつ歩きたいかを話す中で、イタリアでオスピタレロをしている彼の言葉は重かった。
私はポルノグラフィティの「アゲハ蝶」の歌詞が浮かんだ。
“旅人に尋ねてみた
どこまで行くのかと
いつになれば終えるのかと
旅人は答えた
終わりなどはないと
終わらせることはできるけど”
カミーノに魅せられた旅人にとって、それはとても勇敢な決断だと思えた。
晩御飯はどうする?と聞くべぺに、夕飯は一緒に泊まっている友だちと食べるからと断った。
べぺとまたどこかで会おうと大きなハグをして別れると、私はカーリーンに連絡をした。
お腹は空いてる?
よかったら部屋でカヴァナイトにしない?
カーリーンからすぐに連絡があった。
お腹は空いてないし、外は雨だから出たくないの。
それはとてもよいアイデアね。
よかった!
スーパーでカヴァとつまみを買ってくね!
私は、生ハムとナッツとチップスとオリーブと、ちょっと高いカヴァを買って宿に向かった。
途中、パン屋に通りかかると、カーリーンが食べたがっていたレモンパイと私の朝ごはんにチーズとハムのエンパナーダを買って宿に戻った。
カーリーンと私は最後のガールズナイトを楽しんだ。
私は、彼女に小さなプレゼントをした。
それはハーキマーダイアモンド(ジュエリーのダイアモンドではない)のクリスタルだった。
ジョンにブレスレットのギフトを思いついたとき、カーリーンにも何か渡したいとショップを漁ったが、何だかどれもピンと来なかった。
それがガネーシャを見せあったとき、同じ小袋に入れていたそのクリスタルがピッタリだと思いついた。
とてもクリアで強くて優しい。
まさにカーリーンそのものだった。
このクリスタルが彼女を守ってくれるだろう。
彼女はそのクリスタルを私に想像以上に喜んでくれた。
私たちはいろんな話をした。
私は酔っ払ってしまって、最後はよくわからない感情で彼女の胸で号泣した。
サンティアゴの夜はそんなふうに更けていった。
こうしてこの旅のchapter3は終わった。
私はサンティアゴに着いたのだ。