カブラ→バエナ 24km
現実的な話として、カミーノを歩くにはお金が要る。
多分、普通に観光するよりはかなり安いが、全く要らないという訳にはいかない。
まず飛行機代と保険代が掛かる。
それだけで結構な出費だ。
保険は人に依るだろうが、お守りだと思って私は掛けるようにしてる。
何もないに越したことはない。
一番掛かると思われるのが宿泊費だろう。
ホテルやペンション、あるいAirbnbを予約すれば一泊1万はゆうに超える。
しかしカミーノのにはアルベルゲと言われる巡礼宿が用意されており、巡礼者には安くベットを提供してくれる。
もちろんドミトリーだが、キッチンなどが併設されていることもしばしばだ。
お金の問題だけでなく、レストランに飽きることもある長旅ではありがたい。
アルベルゲには公共のものもあり、その場合はドネーション(寄付)であることがほとんどである。
貧しい者でも巡礼ができる俎上ができているのだ。
もちろん、一般の人は相応の額を支払う。
地域によるがこの辺りでは概ね10€が基準だろう。
安いだけあってアルベルゲには当たり外れがある。
贅沢は言えないが、二日前に泊まった公共のアルベルゲは最悪だった。
街の人や宿の対応をしてくれた警官はとても感じが良かったし、見た目は綺麗だったが問題は夜だった。
教会に併設された公園の中に位置していて、とにかくうるさい。
日中は暑すぎるため夜に活動する気持ちはわかるが、子どもが一晩中大騒ぎしていた。
加えて暑さだ。
騒音を避けるには窓を閉めたいが、半地下のような設計になっていて、とにかく蒸し暑くて窓も閉められない。
これまで日が落ちると寒いくらいだったのに、こんなことは初めてだ。
翌日は30kmを超える歩きをしなければならないのに、ほとんど寝ることができなかった。
翌日、ドネーションボックスにいくら入れるか悩んだ。
相場が10なのはわかっている。
でもこの環境で10?
5で良いんじゃない?
今は猛烈な円安だ。
1€130円の頃とは違い、5€の差は大きい。
一方で、10€だろうが5€だろうが、役所の人は気にしないだろう。
そう、気にしているのは自分なのだ。
相応の額を支払うか、サービスに応じて変えるか。
どちらが正解ということもない。
ただ、どういう自分でありたいか、それだけなのだ。
多分、5€払えばどこかでまた5€余計に失うだけだろう。
自分が気持ちよく思える方を選択しよう。
ドネーションでは自分の在り方が問われる。
結局、相場の10€をドネーションボックスに入れて宿を出た。
持っているお金は必ずどこかで使うものである。
お金という人間界のゲームルールは、損とか得とかではなく、多分、流れなのだろう。
それに、得も損も経験である。
一喜一憂せずニュートラルに受け止められるようになりたい。
流れに任せる。
そう、お金は流れるものなのだ。
そこに”自分の“も”人の“もないのかもしれない。
大丈夫、必ずなるようになっていくのだから。
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