アルモヒア→ ビジャヌエバ・デ・ラ・コンセプシオン 21km
昨日より距離は短いが、高低差はありそうな今日の行程。
昨日と同じ轍を踏まないように、水は十分用意し、山道でも歩きやすいよう初めからステッキを使い、なるべく午前中に距離を稼ぐよう心がけた。
その甲斐あってか、アルベルゲ(巡礼宿)に到着したのは14:00少し前だった。
今日の巡礼宿は電話しか連絡手段がない。
なんとかなるだろうと、事前連絡なしに押しかけた。
入り口の前でピンポンらしきものを探していると、昨日、一緒の宿だったフランスのおじさんがやってきた。
翻訳機でやり取りすると、おじさんから連絡済みで、ポリスが10分後に鍵を届けにくるから、ここで待てという。
ポリス???
なんだか怪しげではあるが、カミーノ慣れしている様相だし、スペイン語もできる。
何より二人であれば安心だ。
おじさんと雑談をしながら待つこと20分。
2時はとっくの過ぎているのに、誰も来ない。
すると通りかかった近所のお姉さんと息子さん(?)が話しかけてきた。
どうやら心配してくれたようで、“私が電話をかけてあげる”とポリスに電話してくれた。
(どうやらこのアルベルゲはポリスが鍵を管理しているらしい)
ところがポリスはお昼ご飯中で電話にでないという。(そんなことある!?)
今度は市長に電話をしてくれて、市長が鍵を持ってくるから待つように言われた。
本当にありがたい。
段取りがついたとみると何度もお礼を言う私に手を振りながら、お姉さんと息子(?)はすぐ近くの家に入っていった。
待つこと20分。
誰も来ない。
痺れを切らせたおじさんはバルに行くという。
私は残るから荷物置いて行っていいよ、とおじさんを送り出した。
さらに一人で待つこと20分。
やっと宿の前に車が停まった!
ポリスかも市長かもわからなかったが、とにかく救われた。
せっかく早く着いたのに、1時間も無駄にしてしまったではないか。
しかしまだ3時。
しかもこの宿には洗濯機がある!
これは嬉しい!手洗いより時間が大幅に稼げるはずだ。
おじさんも洗濯機を使いたいだろうから、急いで洗濯物をぶっこんで、適当にボタンを推して動き出すのを見届けた。
続洗濯を回しながらシャワーを浴びていると、おじさんも帰ってきた。
靴の泥を落として、痛かった小指の爪を切る。
結構な時間が経ったのに、洗濯は終わらない。
洗濯を待つ間、おじさんが高そうなサラミとチーズを分けてくれた。
それを食べても洗濯は終わらない。
明日の工程と宿のチェックなどをし終わっても洗濯機は終わらない。
もう、ゆうに2時間は経ってる。
こんな洗濯機あるんだろうか?
電源を切って蓋を開けようにも、ロックされているのか一向に開かない。
私が洗濯機の前に張り付いていたからか、おじさんが様子を見にきてくれた。
“まだ終わらないの。もう、取り出したいんだけど、蓋があかないの。”
泣きそうになりながらおじさんに訴えた。
おじさんは分かったとあれこれダイヤルを回し、「すすぎ」を開始した。
それ、さっきやったんだけど。
そう言っても”待て“と言われる。
蓋をを開けようとすると、ノン、ノンと。
またすすぎをやり直す。
くるくる回るドラム式の洗濯機を二人で見つめる。
何分経っただろうか?
洗濯機が動きを止めたのを確かめて蓋を開けようとするが、開かない。
無理やり開けようとすると彼が静止する。
フランス人だし、スペインにも慣れている様子。
少なくとも私よりは心得ているだろう。
電源をオフにして“ワンミニット”と洗濯機の前で固まる二人。
その後も彼はドアを叩いたり、コンセントを抜いたりしてみるものの、やっぱり開かない。
(昭和かよ)
おじさんはもう一度コンセントを抜いて、今度は“トゥーミニッツ”という。
いやいや、1分でダメだったんだから、、、
おじさんがおもむろにフタを開ける。
カチャ
嘘でしょーーー???
どういう仕組みかわからないが、とにかく蓋が開いた。
私はおじさんに抱きついて感謝を述べた。
急いで洗濯物を干すと、もう18:30を回っていた。
一体、何に時間を費やしたんだ。
昨日より遅いじゃないか。
それから二人でバルに飲みに行って、スーパーで買い物して、宿でご飯を食べた。
なんだかやたら待たされる日だったけど、こんなハプニングがなければ、おじさんとこんな
風に仲良くなっていなかったかもしれない。
全ては起こるべくして起こる。
受け入れるしかないし、死ぬ以外はなんとかなる。
今日はマテの日だったのだろう。
カミーノではそんなことを思い知らされる。
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