銀座に立ち並ぶビルの一角の階段を降り、地下にあるチェーン店の居酒屋に入ると、すでに結構な人数の受講者が各テーブルにまんべんなく座っていた。
「あのおばあちゃんも来てる。」
きぬママの姿が目に入ると、私は吸い寄せられるようにそのテーブルについた。
もちろん参加は自由だが、その心理カウンセラー養成講座では毎回、終了後に懇親会が開かれていた。
私がきぬママと初めて言葉を交わしたのは、最初の講座の懇親会の席だった。
テーブルのメンバーは、メゾソプラノの声楽家であるきぬママ、きぬママをその講座に紹介したアーリーさん、大手通信企業で部長を務めるみのるさん、幼稚園の園長を務めるとしこさん、居酒屋の店長まっちゃん、そして当時システムエンジニアをしていた私という、年齢も職業もバラバラな、なかなか個性的な6人だった。
アーリーさん以外はそのカウンセラー養成講座の同期であり、きぬママとアーリーさん以外はみんな初対面だった。
今思えば新しい学び、新しい出会いにみんな興奮していたのだろう。話は大いに盛り上がった。
アーリーさんがたまたままっちゃんの居酒屋を知っていて、話題はそちらに。
「誕生日会がすごいんだよ。感動すること間違いなし!」との太鼓判。
それでこのメンバーの誕生日会をやろうということになった。
当時30代前半で最年少だった私が幹事を買って出る。
SNSが今ほど普及していなかった時代。
みんなの誕生日とメールアドレスを文字通り書き写した。
「調整の連絡しますねっ!」と意気込んで銀座の街を後にしたのは、やはり春だった。
全てがキラキラと輝いていた。
ーーー続くーーー
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↓前回のお話し