2018年12月27日
彼、ダビデと相棒のトリュフ犬、Mr. マックスと出会いは、出発地のルッカから約100kmほど南に下った街、シエナを出る朝だった。
地球の歩き方によるとシエナのイル・カンポ広場は世界一美しい広場だそうだ。
その美しい広場で、彼は相棒のMr. マックスと記念写真を撮ろうとしていた。
冬の澄んだ朝焼けの中、朝を告げる鐘が鳴り響き、広場を取り囲む商店がそろそろ店を開けようかと、街が起きだす時間だった。
まだひと気ないその広場にバックパックを背負った私が通りかかる。
お互いの格好から似たような旅であることは察しがついた。
歩き旅なの?どこに行くの?どんな旅なの?と軽く言葉を交わす。その時は”じゃあ、また”とそれぞれの歩きを始めた。
しかしその日の目的地は同じ、33km先のブオンコンヴェントだった私たちは、結局抜きつ抜かれつと出会ってしまう。
次第に別々に歩くことも気まずくなり、なんとなく一緒に歩くことになった。
北イタリアのボローニャから来たという彼とは、片言の英語でなんとかコミュニケーションを取った。
彼は樹木の医師のような仕事をしていて、まとまった休みの度にヨーロッパをあちこち歩いているのだという。
教会は嫌いで自然の中を歩く方が好きなのだそう。
愛犬のMr.マックスはトリュフ犬で、小型で胴長の人懐っこい犬だった。
薮の中にあるトリュフの匂いを嗅ぎつけ、飼い主に教えてくれるのだという。
Mr.マックスは大事な大事な相棒なのだと、彼は愛おしそうに話した。
イタリアで初めて一緒に歩く、それも言葉の通じない外国人と一日を共にするという状況だったが、彼はなんとなく人に気を使わせない、一緒にいて居心地のよい人だった。
道中、丘に上にポツンと立つ一本の大きな木に、”あの木の下には絶対不思議な力があるね“と話すと、彼はわざわざその丘に登って上から手を振ったり、Mr.マックスが本当にトリュフを発見して大興奮したりして、私たちはあっという間に目的の街に着いた。
ゴールの街ではビールで乾杯。
私たちの今後の行程はほぼ同じだった。
ご馳走してくれた彼に、次は必ず私がご馳走するね、と約束してお互いの宿に別れた。
ーーーつづくーーー
↑世界一美しいイル・カンポ広場(前日)
↑美しいシエナの街並み(前日)
↑不思議な力のある木。小さな小さな影はダビデ
↑トリュフを発見したMr. Max
↑白トリュフ発見
↑ブオンコンヴェントでビール🍺🍻🍺
↓前回のお話し