失恋カミーノーvol5ー | ちびタンクのひとりごと

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大好きな旅のこと、心理学・スピリチュアル・ヨーガのこと、日々の気づきなどをつぶやいています♪


サンティアゴで、みんながそれぞれの道へと散って行った。

母国に帰ったり、周辺国に旅行したり。

みんな自分の矢印の方向に進んでいった。

矢印がないのは、私だけだった。

ただ、終わってしまったカミーノを恋しがり、
思い出しては胸を痛める事しか出来なかった。

だから、大西洋岸までまた歩くことしか、
私には出来なかったんだ。




フィステーラからムシアに向かう30kmは、2日とも雨だった。

空が、泣いてもいいよって言ってくれてる気がして、

そこでやっと、涙がでた。



それからムシアの岬で、大声で泣いた。

人がいないのをいいことに、
子供みたいに、わんわんと、
大声をあげて泣いたんだ。

どんなに大きな声も、
全部、波の音に吸い込まれて、

ああ、やっぱり泣いていいんだって、
バカみたいに飽きるまで泣いた。




私はどこへ行けばいいんだろう?

正直、日本に帰りたかった。

それで、カミーノの事を、

"こんな経験してね"って、みんなに話してさ。

安心で、淋しくなくて。

私を取り囲む、優しくて愛のある人たちの中に帰りたかった。



でもさ、わかってたんだ。


心の矢印が、そっちに向いていない事は。


こんなに淋しくて、
こんなに日本や、日本で待っていてくれる人の事が恋しくて、
こんなに帰りたいのに。

なのに、バカみたいにだけど、
わたしの心の矢印は、
まだ旅を続ける方向に、向いてたんだ。



そう、
もう一人のアタシが、
その矢印の先にいるアタシに、
"会いに来い"って言ってるって事を、


分かってたんだ。




ムシアからサンティアゴまでの4日間。
ゆっくりと、噛みしめるように、たった一人で道を歩いた。

サンティアゴからフィステーラ、ムシアに向かう人には、
たくさんのすれ違った。
でも、おなじ方向を歩く人は居なかった。

もう、涙は出なかった。


ーーー続くーーー