蟻地獄の先(世界の旅~ラオス・ビエンチャン編~)第5話 | ちびタンクのひとりごと

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大好きな旅のこと、心理学・スピリチュアル・ヨーガのこと、日々の気づきなどをつぶやいています♪

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ブッダパークを十分に楽しんだ私たちは,

再びタクシーでビエンチャン市内に向かった。


彼女は,少しためらいながら,こう言った。


「今日の夜,あなたが乗る予定の航空会社ってどこだっけ?

もし,従妹が勤めている会社と同じ系列なら,何かしてあげられるかも。

もちろん,もしかしたらだけど・・・。」


「え?タイ航空よ。」


「タイ航空!?

だったらスターアライアンスよね?」


彼女は多くを語らずに,意味ありげに笑った。


それは,私に過剰な期待を持たせるわけでもなく,

自分の中で納得するような含み笑いだった。


だから私も,愛想笑いを返した。

その流れに,おかしなものは一切なかった。


むしろ,従妹がしてくれるかもしれない対応を,

まだ確信が持てないということで,

敢えて告げないところが,私に信頼を与えさせた。



そんな時,彼女の電話が鳴った。


「XXX,○○○,△△△」


私にはわからない,異国の言葉であった。


電話を切った彼女は言った。



「市内に戻っても時間ある?

従妹の彼が着いたみたい!」



「え?」



「日本人のあなたと知り合ったこと言ったら,とても喜んで,

あなたに会いたいって言ってるのよ。

私の日本行きを,とても心配していたから。」



「そう。彼もこっちに来ていたのね。

もちろん,いいわよ。」



「よかったあ。

彼の心配具合ったら,尋常じゃないの。

フィリピンでは血族はみんな家族だからね。」


「素敵ね。」


「そう。

安心して,彼は若くてかっこいいわよ。

おまけに独身!

楽しみにしていてねっ」


「本当!?」


帰りのタクシーの中でも,

私たちはまるで少女のように,

きゃっきゃ,きゃっきゃとはしゃいでいた。



私は,その時全く気付いていなかった。



ゆっくり,ゆっくり,

蟻地獄に誘われていることを。



---続く---