蟻地獄の先(世界の旅~ラオス・ビエンチャン編~)第6話 | ちびタンクのひとりごと

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大好きな旅のこと、心理学・スピリチュアル・ヨーガのこと、日々の気づきなどをつぶやいています♪

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市内についた私たちは,

既に到着した従弟が待っているという,アイスクリーム屋に向かった。


彼女と最初に行った地元のカフェではなく,

ヨーロッパ系のチェーン店であった。


通りの向かいには,有名な一流ホテルがあって,

彼のお金で,そこに滞在しているのだと言う。


アイスクリーム屋に入り,彼女が手を振った先には,

アジア系のがっちりした30代前後くらいの男性が,

入り口に向かって座っており,軽く右手をあげて答えた。

フィリピン人と言うよりは,東アジア,中国,日本,韓国系の顔立ちに近かった。


「アイスクリームが大好き!

だからこんな体型になっちゃったの」


と彼女は小太りのお腹をさすって笑った。


私たちはアイスクリームの盛り合わせを頼み,

年末には日本に行くという彼女について,

あれやこれやと話し合った。


彼は仕事の関係で日本へ行くこともあるが,

大阪がほとんどのため,東京はあまり詳しくないと言った。


大阪の友人の力を得て,ネットで部屋探しをしているのだが,

場所や家賃や,条件の詳細が妥当なのかわからない,これはどうだろうか?

と,日本語で書かれたレオパレスの,間取りを印刷した紙を取り出した。


ごく一般的なタイプと思われたので,問題ないであろうと答える。

ただし契約は部屋を見てからの方がいい,と伝えた。


「日本では,彼女と一緒に,部屋を見に行ってあげてもらえないか」

と言う彼に,

「もちろん,大丈夫よ。休日だったらね。」

と答えた。


彼女の日本での生活の話がひと段落つくと,

彼はこんなことを切り出した。


「自分は航空会社に勤めている。

今日の夜の便で君が帰国することは聞いたよ。

タイ航空なんだって?

だったら,自分が勤めているのと同じスターアライアンスだ。

よかったら,帰国便をアップグレードさせてもらえないか。

見ての通り,僕も彼女も,僕の余ったマイルで旅している。

マイルには有効期限があるが,そうそう休みを取れるものではないから,余らせているんだ。

君は,彼女にとても良くしてくれているし,これからもお世話になるだろうから。」


「え!?本当に!?」


「ああ。もちろん,空きがあればの話だけどね。

遠慮はしないでくれ。

その代わり,彼女が日本に行ったら,よろしく頼む。

ファミリーなんだ」


「もちろん!それはお安い御用よ。」


私は,アップグレードが嬉しいというよりも,

こりゃあ,面白いネタが出来たものだ,

と思っていた。



もちろん,アップグレードが嬉しい下心もなかったわけではないが。



そうやって,少しづつ,少しづつ,

私は抜けられない砂の中心に足が向かっていることに,

その時はまだ,全く気付かずにいたのだった。



---続く---