第十五章 The Second  departure 6 | GOLDSUN SILVERMOON

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西洋占星術 紫微斗数占星術を使って運勢を観てゆきます。


「あれーー!!リーちゃんどうしたのその頭?」

船の回収を無事に終えたステラ達が城に戻ると
待っていたリーディを見るやいなやメイが素っ頓狂な声を上げる。
みると彼の美しい長いブロンドがバッサリ切られていたからだ。


「ああ。元々はこのくらいの長さだったからな。」
本人はいつも通りいたって淡々としている。

「似合っているわ」とキャロル
「懐かしいな」とゾリアがそれぞれ言う。

「でも、この長さを維持するにはマメに切らないとみっともなくなるよ?」
コウが襟足をチェックして忠告した。

「また伸ばすようにするから、たまに切ってくれよ。」
「ええーー」

ステラは・・・妙な懐かしさを感じた。
そう、昔コドラを被っていたとはいえ・・・このくらいの長さだった気がする。

「・・・でもどうして??」
ステラは自分の思いは言わずに、まずは彼に問うた。

「けじめっていうか、切り決めっていうか。スフィーニでの色々を
引きずってまでムヘーレスへいけないだろう?」

そう言ってニヤっと口角を上げた彼の姿は妙に清々しいほどで・・・。
ステラは少し安心した。

「で、いつここを出る?俺は姉とかじぃともいろいろ情報をまとめておいた。」
「そうねぇ・・・。」
ステラは少し考えた。
「ムヘーレスには船で?」
「いや、魔法陣部屋からゲランの街のはずれの森の中に繋がる魔法陣が
あったはずだ。」
「馬車とバルッシュは?連れて行けるの?」
「大丈夫。ギリギリイケる」





*                      *                     *





そして例のごとく、次の日には

魔方陣でムヘーレス大陸へ舞い戻った。


船は城に置いていって、
城の魔法陣部屋で姉とじぃ、セシリオゾリア・・・たくさんの家臣たちが
見送ってくれた。

郷里に滞在したのは約1か月。
ゲランの町は8か月ぶりだ。

この町から少し離れた山間に仮屋を立てて
かつて俺は姉とじぃと一緒に住んでいた。

仲間を探すために・・・。


ゲランの町は近かったので(って言っても仮屋から
半日かかる)買い出しや情報収集にしょっちゅう行っていた。
町に住むという手はなかったのかと聞かれれば
王族である俺たちが目立つところに住むのはかえっていろいろ面倒
だったからというのがある。


城とゲラン近郊を結ぶ魔方陣はちょうど町と仮屋の間の草原地帯の一角に
小さな木々が集まっている場所がありそこに作られてあった。


そこから数十分歩けば町だったのだ。



髪を切って吹っ切れたつもりだったが
実のところ祖国での戦いは重い昔の出来事を
再び蒸し返して、俺は参ってた。


大陸を移ってホッとした位だ。



姉から聞かされた言葉、
セシリオの言葉、
そしてキャロルも知っていたステラの秘密。

考えると気が滅入るけど
邁進するしかない。


そして今一瞬一瞬を大切にせねばならないと祖国での戦いで再度思った。

生きていることは、奇跡であるんだ・・・。


あと、皆俺とステラのことは既に知っていると思うけれど。第一にスフィーニの西の塔で宣言したくらいだし。
でもそんなことを忘れるくらい俺たちはそういう態度を取らなかった。

あまりにその後深刻なことが多かったというのもある。
魔性の侵入と死闘だ。


そのせいもあって、

「なんかここ数週間疲れたから
ゲランの町に2日くらい滞在してゆっくり休みたいよ。」

メイがそう言った。

とりあえずステラの住んでいた所へ移動することは決まっていたので
その準備もあるし、皆意見が一致した。

何故ステラの住んでいた北東の方へ行くことになったのかと言うと
じぃがこんなこと言ったんだ。


「エターナル・メタルの鋳造方法はリストンパークの縁の者なら・・・
誰か知っているかもしれないが・・・」と。

と、なると一番最初に思い立ったのがステラの母オーキッド王女だ。
てっとり早くステラの住んでいた山小屋に行けば何かあるかもと
そう言う結論に至った。

反面俺は懸念もあった。
ステラは、俺と同じようにたった一人の肉親を目の前で殺された。
アイツは俺にはその詳しい事は話したことは一度もないが、キャロルが
この前俺の部屋でステラの秘密について話していた流れで教えてくれたのだ。
俺と同じように自分を責めているかもしれないと・・・。


一人で亡き母の弔いをして、旅立ったらしい。
想像するだけで胸が痛くなる。


その場所に行ってもいいのか?俺と違ってまだ1年経つか経たないかなのに・・・。
しかしステラは、大丈夫と言った。それよりも魔性に小屋が壊されているかもしれない、と。
むしろそれを懸念していた。




*                  *                   *



とりあえずその日の昼から、フリーとなった。

キャロルは静かに教会で読書をするといい
メイは酒を飲み、買い物がしたいと。
コウは武具の手入れしたら休むという。
ステラはどうやら一人買い出しに行くようだ。
明日の夕方でもいいのに生真面目である。

いつもだったら俺は剣の手入れしているか、キャロルのように読書をするかのどちらかだ。


あとは町の様子を偵察する(初めての場合は)そういう時たまたまアイツと居合わせて
買い出しを手伝ったことがある。相変わらずの憎まれ口の応酬だったが。

でも一度キスをしてから、そんな悪友のような態度だけじゃすまない気がする。

さて、俺はどうしようか・・・?