REALIZE 6 | GOLDSUN SILVERMOON

GOLDSUN SILVERMOON

西洋占星術 紫微斗数占星術を使って運勢を観てゆきます。

プシュレイを出発して5日。スザナの町に到着した。
季節は初夏だったがスフィーニより涼しく気候の差を感じる。

キャラバンはバザーへ露店を出すためにここでサヨナラだった。
俺は言われた通り大会の会場へ足を運ぶ。


-しかしレイラは、何故こんな北の大陸の町へ??

はっきり言って目的も定まらない旅だ。姉もレイラのことを信じているとはいえ、
よく俺の勝手な旅を許してくれたな、と思う。

そう考えながら中央広間に行くと人だかりがある。
思った以上に見学者が多いみたいだ。

人を掻き分けて、見える位置まで移動する。
今の身長なら訳ないけど当時俺は小柄だったので一苦労だ。


周りから出場者の噂が聞こえる。
どうやら今は準決勝らしい。

「今回の大会の最年少の出場者らしいぜ」
「あー俺もさっきの予選で見た。最年少に見えないけど
そうなんだー。」

これから出る準決勝にはどうやら俺とそう歳の変わらない
出場者がいるらしく、もっぱらそいつの話題だった。


-ふーん・・・どんな奴だろう?


齢が変わらない強い奴っていうのに
俺は漠然と興味が湧いた。



―本当に強いっていうのは…


どくん


俺はフラッシュバックで一瞬意識が飛びそうになる。

脳裏には銀の髪の魔性…


皆俺を護るのに手一杯だった…
俺は急いで頭を振り意識を戻した。



そして対戦相手が出てきた。

「あーあの子だよ。最年少なのになかなか腕が立つって噂の。」

そう、噂されていた最年少の出場者だ。遠目だけど結構細身でタッパもある。
装備している武器は槍だ…。
意外だった。先ほどの大男くらいガタイがいいかと思ったけど…。


そして気が付くと始まりの合図があり試合が始まった。

それから・・・俺は目を見張ることとなる。

この最年少はとにかく強い。
槍術は秀でていて、ひらりと大男の手刀を避け、間合いを取ると手にしていた
槍の柄で思いっきり相手の背中を打ち、怯んだ隙に頸動脈スレスレに槍の切っ先を突きつけた。
すると大男は見かけに反して情けないことにへたり込んだ。



「勝負あり!」という言葉。


あっという間だった。



「…凄い・・・噂以上だ。」

あの槍術のセンスは一体…。


どんな奴だ?
瞬間雲が抜けて太陽が現れて

その人物の全貌が見えた。


「!」

俺は驚いた。何故ならあの魔性と同じ…
銀の髪と紫色の瞳を持つ人物だったからだ・・。

ゾクリと背筋が凍る。まだ完全には立ち直ってない俺は
ショックを受けた…でも目が離せない。


彼はその銀の髪を短く切りそろえた髪形をしていた。少しうっとおしそうに
前髪を左手で払い…右手で槍を軽々と回して背に戻す。

一連の動作を終えると、彼・・・?は前を向いた。
最年少で同じくらいの歳と噂では聞こえてきたが
たいそう大人びて見えた。この時男だと最初は思ったのだ。
背格好から。しかし男の割には線が細い気がしたけど
中性的なその槍使いは静かに佇んでいたんだ。
そして目が一瞬だけど合った。向こうもそれに気が付いたのか・・・?
多分気が付いていたと思う。

しかし彼(?)も…油断をしていたのが運のツキだった
俺は先に気が付いたが遅かった。


その負けたほうの大男は銃を隠し持っていて
槍使いを撃ったのだ…。


俺が危ないと言おうとした瞬間、銃声が聴こえた後だった。


彼は・・・銃弾に倒れた。



*                  *                     *



ざわめく会場。

すると育ちのよさそうな男性が血相を変えて
壇上に上がり、その槍使いを両手で抱きあげて何かを叫んでいた。
髪は優雅なウェーブが掛かっている。白いシルクのシャツが彼?の血で汚れるのを
厭わずに。

そして、
数名のベルヴァンドの兵士が取り囲み、救護室へ運ばれていった・・・。



*                  *                     *



準決勝は一旦休止となった。


―あの槍使い・・・まさか女??

大切に抱えられる彼・・・いや彼女か?を見て俺はそう気が付いた。
妙に男性にしては線が細いし。しかし女だとしたら合点がいく。

撃たれるほんの数十秒前
一瞬壇上の彼女と俺は瞳と瞳が交錯した。

お互いまるで無限回廊に綴じこまれたような妙な錯覚に陥りそうな
そんな感じがしたのだ。




そこまで思考を巡らせていると

「すみません・・・」

と誰かに声を掛けられた。


振り向くとそこには、その彼女を咄嗟に抱きあげた
ウェーブのかかった髪のあの青年が立っていた。