少し前の予想では、また雨続きで桜も早めに見納めか?
と思いきや、関東はしばらく晴れ続きになるような
なーんだ、まだいけるじゃない!と、心弾む新年度1日目でございます。
さて、3月のコンサート、23日は郡山でした♪
美術を愛するわたくしといたしましては、郡山市立美術館開館30周年を記念したコンサートで弾かせていただけるなんて光栄でした✨
(前日は夜遅くまで勤務あり、当日は追浜で最後の太極拳クラスをしてから向かったので、ちょうど開催されていた「ヨハネ・パウロ2世美術館展」鑑賞できなかったのはとても残念でした!)
以前も書かせていただきましたとおり、コンサートのテーマは女性作曲家たち。
開演時間になり暗転、バードコールとチャイムを鳴らし...
オープニングは、ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098-1179)。
中世最大の賢女ともいわれるドイツの神秘家で、博物学者、作家、作曲家など多彩な才能にあふれた方。
80年代から90年代にかけてすごく流行った記憶があり、私も何枚組かのCDを買ったものですが、久しく聴いていなかったのでまた新鮮でした。
この美術館のコンサートスペースの構造を生かして、お客様から見えない階段の上から、竹内永和さんが奏でるギターに秋本悠希さんの美しい声が揺蕩います。
素敵な導入に、場内は一気に音楽の世界に誘われました。
続いては、歴史の闇に消えた才媛(リーフレットより)アンナ・ボン(1740頃〜不明)のフルートソナタ。
オペラに関わる両親のもとヴェネツィアに育ったアンナ・ボンは、ハイドンと同世代の作曲家。
ボン一家はエステルハージ侯に仕え、アンナはその時期オペラも作曲したそうですが、今は紛失。。
結婚後の足跡はまったくわからなくなっているそうで、何か裏があるのではないか、とMCをされた紺野等さん。
フルートと通奏低音のためのソナタは典雅で快活、素敵なフルーティストyumiさんと竹内さんのギターにより、心地よく空間に広がっていきました。
その間は美術館の広いロビーで待機していた私、お2人の演奏が終わりステージへ。
最初期の女性職業作曲家として知られるフランスのセシル・シャミナード(1857-1944)が書いたピアノ曲《森の精》、そして前半の最後はフルートのための作品としてポピュラーな《コンチェルティーノ》を演奏いたしました。
シャミナード作品は、昨年11月「おんがく✖️ブンガク」vol.6 プルースト編で、ヴァイオリニスト加藤えりなさんと演奏したばかりでしたが、ピアノ曲も結構あります。
サロン風の曲調をもつものが多いからか、没後は生前のような注目は浴びなくなりましたが、最近はまた話題になることも。
人気作曲家になるきっかけになったヒット曲ということで〈スカーフ・ダンス〉なども候補にしていたのですが、割と知られる爽やかな《森の精》が、この季節にも、緑のなかの美術館の環境にも合っているかなと思い、今回はこちらを選びました。
《コンチェルティーノ》は、もちろんyumiさんのフルートで♪
経験豊富な演奏家でいらっしゃるyumiさん
お互いのスケジュールの関係で、当日初めてお会いして初合わせだったのですが、安心してご一緒することができました
後半は、紺野さんのお話に続き、竹内さんがご自身のオリジナルギター曲《舞姫のワルツ》を演奏されました。
森鴎外の没後100年を記念して昨年作曲されたそうで、ラテンアメリカ的なムード(ノリノリなほうではなく、情感系の)も感じられる素敵な曲でした。
続いて、紺野さんに呼ばれ、このあと登場するクララ・シューマン(1819-1896)、ファニー・メンデルスゾーン(1805-47)、アルマ・マーラー(1879-1964)について少しトークに参加。
「3組の宿命」(シューマン夫妻、メンデルスゾーン姉弟、マーラー夫妻)がテーマ軸です。
(やはりインタビューや対談は、お互いの言葉にその場で反応してまわしていくぶっつけ本番のほうがお話ししやすい私☺️)
そしてピアノソロで、フェリックス・メンデルスゾーンの無言歌より〈春の歌〉、姉であるファニー・メンデルスゾーン《ピアノのための歌》より〈さすらいの歌〉、クララ・シューマンの《ロマンス イ短調》の3曲を。
降り出した雨をかすかに聴きながら、天井の高い会場に放たれていく音たちに集中することができました。
そして最後は秋本さんの歌で、シューマン夫妻、マーラー夫妻。
歌詞の内容をお客様がイメージしやすいように、yumiさんに1曲ずつ詩の何節かを読んでいただいてから、演奏歌唱に入っていく形にしました。
クララ・シューマンの〈僕は暗い夢のなかにいた〉〈あなたの瞳に〉、そして夫ロベルトが彼女に捧げた〈献呈〉。リスト編曲のピアノソロ版もしられていますね✨
それにしても、クララもファニーもほんとうに天才的!
もしかしたら、ロベルトやフェリックスよりも骨太ではないかしら。機微が丁寧で繊細、しかも男前(←ジェンダーの観点からはちょっと扱いの難しくなった言葉なのかもしれませんが💦)。
今回このような機会をいただいて、この2人にハマってしまいました。
アルマ・マーラーはファム・ファタル系、魔性の女!
〈あなたの傍では心おきなく〉と〈私は花の下をさすらう〉の2曲をお贈りしましたが、ミステリアスな音づくりで、油断なりません。
さすがアルマ。。
そして最後は、グスタフ・マーラーの〈原光〉。
歌曲集《子供の不思議な角笛》のなかの曲ですが、マーラーが交響曲に初めて声楽をとり入れた第2番「復活」にも登場。
秋本悠希さんは、今年の「東京の春音楽祭」でマーラーを歌われ、「素晴らしいマーラー歌い」と高く評価されたそうです。
稀有なワーグナー歌い手でもある秋本さん、ますますの活躍が楽しみです
そんな秋本さんとは、2月の安吾忌イベント、3月のこの郡山市立美術館と共演させていただきましたが、なんと4月も、今度は山口にてご一緒できることになりました
今度は日本の歌プログラムなので、私のピアノソロも日本の作品をと考えています♪
そして2時間にわたったコンサートの幕を閉じるのは、オープニングと同じビンゲン。
今度はお2人はステージから降り、歌唱演奏しながら客席のあいだを縫い向こうのほうに退場、姿が消え歌声だけが遠ざかっていくという、粋な演出でした。
ドアのないオープンな会場だからこそのアイディア、音の残像、心にも余韻が残り、とてもよかったです。
素晴らしい共演者の方々と控室にて☆
終演後は、郡山の素敵な方々との出会いもあり、嬉しい再会もあり
郡山、福島、優しくおおらかな皆さま大好きです
お客様でいらしてくださっていた、歌手、語り部、司会などで活躍されているしゅうこさんによるショット
打ち上げは、22時でもあいていたフレンチイタリアンのプチグリーンさんにて。
美味しかった!