フォリアな人たちがパッサカリア? | 裸足のピアニスト・下山静香のブログ

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オモテの顔はクラシックピアノ弾き。

音楽・芸術を軸に、気になること好きなことを徒然なるままに。

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フォリア、サラバンド、パッサカリア、シャコンヌという4つの音楽形式の変遷についての文献4冊を前にしてもうひと月ほどになるのだが、いかんせん各巻が2cmの厚みを持つツワモノ。重い。しかも、中身は英語で書かれている。というわけで、自分なりにまとめなければいけない期限が刻々と迫っているのにもかかわらず、いまだ読破に至らず。「毎日こつこつ着々と」を実行できるのはピアノだけ、あとは背水の陣まで待ってしまう。私って「締切で動く女」なのか(@_@) それって本性は怠け者ってこと?Σ(~∀~||;)


さてこの4つの楽曲タイプの共通点はおわかりだろうか。

そう、それはスペインで発祥したということ。フォリアについてはポルトガル起源といわれるが、ともかくイベリア半島で誕生したものだ。普通はまず「フォリア」といえばコレッリ、「シャコンヌ」といえばバッハと連想されるが、なんのなんの、その奥にはスペインが存在しているのである。


「いかにも」なのは、スペインにおいてフォリアはその名のごとくに(「狂気の」「ばかげた」という意味)熱狂的な踊り、そしてクラシックを聴きつけた我々にとっては荘厳な楽曲のはずのサラバンド(サラバンダ)もシャコンヌ(チャコーナ)も、かの地では激しいダンスだったということだ。[注:チャコーナの起源はおそらく新大陸のスペイン文化圏とされている]

サラバンダもチャコーナもそれを流行らせた踊り手の名前からきている。そしてともに、あまりに人々が熱狂するので「人心を乱す」との理由で時の国王から禁止令が出たほど。セルバンテスは「スペイン人は踊りながら生まれてくる」と言ったが、確かに彼らと踊りは切り離せない。


それらがフランスやドイツに伝わると洗練され、テンポもゆっくりとしたものに変わっていく。パッサカリア(パサカージェpasacalle/passacalle 「通りを歩く」の意味)についてはもともとは舞踏曲ではなく歌曲のリトルネッロだったが、17世紀半ばフランスにもたらされてから舞曲として使われるようになった。跳躍する「パッサカイユ・ステップ」は様々な振付があるが、みな見事に音楽に調和しているという。これも大変興味をそそるところだ。


浜中康子さんの<栄華のバロック・ダンス>(音楽之友社)はとても面白い。ステップや動きを線で示した芸術的な舞踏譜を見ているだけで楽しくなる。

バッハの組曲を弾くにも、やはりバロックダンスを知らないとね。