関視研講演の二つ目のテーマ、「②特別支援の視点への醸成」
3年ほど前から漢字指導についても、この根底の考え方を機会ある毎に伝えてきた。
だって、漢字学習に苦しむ子は特性がある場合が多く、
定型発達の子が受け入れられる指導法が合わない場合が圧倒的に多い。
それを意識せずに、従来通りの十把一絡げの指導ではもうダメな時代なのだ。
まずは、盲学校に勤めている普通教科担当の晴眼の先生に語りかける。
県に1校しかない盲学校、ここでの経験は特別なものだと誰もが思っている。
異動してしまえば、視覚障害教育についてのノウハウは使えない。
私もずっとそう思っていて、まだ盲学校でやりたいことがあると、
異動を拒み続けながら、結局通算28年間も勤務した。
が、公務員の異動は宿命で、途中で中学校に3年間、小学校に4年間勤務した。
しかも、通常学級担任として。
その時に思ったのです。
目が見えている通常学級の子たちの中にも、様々なできなさを抱えて困っている子がいる。
その子たちが気になって仕方がなかった。
何で困っているのか? どこでつまずいているのか?
そして、学習に学校に嫌気がさしている子たちがかなりいる。
しかも、教科書をただその筋書き通りに教えていても、ちっとも響かない。
分かった!というキラキラした目をしない。
一体どうすればいいんだ?
できなさを補うためには? 分かった!そういうことか!と納得させるためには?
何よりも学校に来ることが楽しい! 学習を頑張ろうという気持ちにさせるためには?
そこでだ、盲学校で初めて視覚障害の子に出会った時のことを思い出してほしい。
晴眼の自分にとってはどんなことしても視覚障害のことは実感としては分からない。
自分が持っている感覚とは違う。経験も考え方も思考回路も・・・何もかも。
だから、彼らは何を知っているのか? どこまで分かっているのか?
徹底的に彼らを見つめた。
そして、徐々に分かってくる。
どこにつまずいているのか、何を与えていけば分かるようになるのかを。
それは教科書に書いてある道筋だけではない。
もっとスモールステップで積み上げていってあげなくてはいけない。
ただし、通常級では多くの子を抱えて、忙しくて完璧にできない。
でも、気にかけてあげることはできる。
そして、徐々に苦手さを持った子たちに、
少しずつ手をさしのべる工夫ができるようになってきた。
クラスを学習の雰囲気で沸き立たせ、友達との協働で楽しく学ぶうれしさを味わわせた。
これは、盲学校で培った力だとつくづく思った。
だからね、今盲学校に勤務している先生方、
今が自分が「特別支援の視点」を養っている期間なのだと自覚して、頑張ってください。
先生方が退職するまで、特別支援教育の方針はなくならない。
個々を見て、個に合った支援をする視点と行動力は、これから先も絶対に役に立ちます!
と、30分以上話したのだが、伝わっただろうか?