中学校の漢字は1130字。
今までの調子で作れば、6冊という膨大な量で、
しかも丁寧に調べて記載するにはとんでもない手間がかかる。
さあどうする?
漢字を分解・合成するのはもう簡単だ。
音訓セットの漢字のタイトルは、単語の親密度を調べればいいのだが、とにかくとんでもない量。
成り立ちなどはもうわけがわからないし、解説は難しすぎるからやめよう。
中学漢字の課題は、書けることではない。
「読めて、使えることだ。語例を知ることだ。」
そう考えて、単語の親密度から同音異義語のない語例を選び出すことにまた時間をかけた。
だが、中学漢字は訓読みが少ないので、音読み言葉を本当に吟味して選ばなければいけない。
少しのゆらぎも許されない気がした。
加えて、知っておくとよい語例も吟味した。
常用漢字表に載っている語例、光村の中学校教科書の巻末の語例、
その他に実用的な用語辞典など見まくって、
とにかく私が知る限りの良かれと思った語例を挙げたが、
熟語だけではなんかわかりにくい。
今度はいろいろな辞典の用例を参考にしながら短文を示すことにした。
これが本当にやっかいだった。
しかしもっと大きな問題があった。
ちょうどその頃、常用漢字表の改訂があり(2010年、平成22年11月30日)、
中学漢字に196字追加、5字削除された。
これが・・・漢字辞典に反映され始めたのが、平成23年度から。
中学校の教科書は、平成24年度から実施だったので、夏に検定教科書を入手し、
前回と何が変わったのかを必死に見比べた。
異体字が多く、活字文字と手書き文字とのゆらぎも多く、
本当にどれを取り上げればいいんだ~!と悪戦苦闘しながら調べ上げた。
当時、必死に調べ上げた資料がいくつも手元に残っている。
苦労の跡が残っているので、とても処分できない・・・
そうして出来上がったのが、これらの資料。
これはごく一部です。こんな資料をひたすら作り続けていました。
とにかく根拠がほしかったのです。
誰にでもどんな質問をされても「こうです!」と胸を張って言える根拠が。
点図の部分は1頁に6文字で、「漢字のタイトル、漢点字、6点漢字」を配置したのみ。
反対の解説ページにこそ価値があります。
ここさえ押さえれば、中学漢字は制覇できると思っています。
この点訳も必死にやりました。
そして、あと2年ほどでこのUV点字版の販売は終了する予定ですが、
この解説の点訳版と弱視用の墨字版はそのまま残りますので、是非ご活用ください。
特に、1冊にまとまった上記の墨字版は、
視覚障害者のみならず誰でも活用できるものだと思うのですが、その存在が知られていない。
残念!『視覚障害者の~』が邪魔をしているんだろうな。
こうして3年の歳月をかけて作った『常用漢字 中学校編』には、
まだ陰の苦労があったのですが・・・それは次回に。