晩秋 掛軸 墨 画仙紙 | 水墨画 八重桜日記  無二無三の世界を目指す旅をしよう

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水墨画家小嶋志津のブログです。墨を使い気運生動を生みだす伝統文化である水墨画の技法を次世代へ伝えるため貢献したいと思っております。
沈和年先生に師事。日美展水墨画一般部門準大賞受賞。作家部門入選等

 

 

『晩秋』 掛軸 墨 画仙紙

 

柿の実も葉も残り僅かになった柿の木の枝に、一羽の鳥が止まっています。

もう秋は終わり、寒くて厳しい冬を迎えます。

厳しい冬の気配を描きたかったのです。

 

つまり、人生の冬です。

人生の一番楽しい時は、いつの間にか終わってしまっていました。

気が付いたら老いの入り口に立っている。

世知辛い世の中で、もう不安しかありませんが、

泥臭くしがみついていくしかないと思います。

小さな鳥でさえ立派に生き抜いていますもの。

私には、まだまだ、やりたいことがたくさん残っていますしね(笑)

 

 

柿の木の枝は風に負けないように空へ向かって勢いよく伸ばし、

手前の幹は、力強さを強調するため、太くしました。

小鳥が何かに聞き耳を立てているような。

風のざわめきのなかに、葉の落ちる音や、秋の虫の鳴き声を聞いているのでしょうか。

荒涼とした雰囲気を出したかったので、柿の実も葉っぱも少なめにして、枯れた感じを出しました。

 

 

葉っぱは三墨法で、枝は乾いた感じを出すため、濃墨でかすれをだしました。

枝や葉っぱの前後関係を間違えないように描くのが肝心です。

手前の枝を濃く、後ろにある枝は薄くします。

 

柿の実は、中墨で輪郭を描いた後、乾いてから筆にたっぷりと

中墨をとって面を描きます。できるだけ一筆で描けると

筆あとが残らなくていいですね。

実の部分の墨が乾いたら、がくを描き入れます。

 

 

小鳥はお腹の大きな点から描き始めますが、

嘴から描いてもかまいません。

お腹の部分は、中墨をたっぷりと筆に墨を含ませて、大きな点を右から左に、横にずらす

感じで描きます。お腹に立ての筋が見えますね。これが筆のあとです。

少し練習が必要ですが、慣れれば簡単です。筋あとは、あまり気にしなくても

大丈夫です。

形が気になって直したいときは、乾いてから修正します。

(濡れているときに筆を重ねると汚くなるので、乾いてからにします。)

 

お腹の一番下が、小鳥が止まる枝に少し掛かるくらいがちょうどいいです。

下の部分は、乾くと少し薄くなりますので。

お腹が乾いてから、嘴、頭部、羽を描きます。

脚を描いて、枝にとまらせて尾っぽを描いたら出来上がり。

お腹と頭部のバランスに要注意ですが

頭部は細かいのですが、丁寧に慎重に描いていけば、そんなに難しくないです。

鉛筆であたりをとっておいてもいいですね。

 

紙の大きさはF8くらいです。

紅星牌を使用しています。中国の安寧省で作られている、滲みとかすれが綺麗にでる紙です。おすすめです。

 

今回は、額ではなく軸に表装に出しました。

額よりも、渋い布で軸にしてもらったほうが、小鳥さんに似合うかな~と思ったので。ウインク

仕上がりが楽しみです。

 

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。ニコニコ飛び出すハート

みなさまの創作のお役に立てれば嬉しいです

 

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