『惜春』 F30 画仙紙 墨
第6回日美展 水墨画部門 作家入選
今回は、満開のしだれ桜を描きました。
花弁の部分は、膠を混ぜた墨を使って描いています。
最初に太い幹や枝や構図のポイントになる
枝を膠の入っていない墨で描き、乾いたら
膠入りの墨で花弁を描いていきます。
花弁は、画面の右上の塊のところから描き始めました。この部分は薄墨で。
花弁は、膠を少し混ぜた墨で花の形に書いた後に、別の筆で、花弁の中心部にわずかな水を差します。こうすると、滲んで中心部が透明になり、端っこはモヤモヤになって花びらのような形になります。このときに、加える水の量が多いと滲みすぎてお団子になってしまうので、要注意です。
中墨や濃墨で花弁を描いたら全体の様子を見て、枝をどんどん描き足して、花弁もどんどん描きます。
今回は、満開の桜なので、いっぱい描きました。
構図がなかなか決まらず、苦労しましたが、なんとか完成させられたので良かったです。
日美展は、国立新美術館において
8月19日(土)まで開催中です。
入場無料です。ぜひ、ご高覧のほど、宜しくお願いいたします。
本日も、最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
ところで、桜の咲く季節になると必ず思い出すのが、
どこかのエッセイで目にした、『人は桜の花が散り始めて、昨日が満開だったのだと気づく』という文章。
人生と似ています。
幸せというのは過ぎてみてから、『ああ、あれが幸せだったんだな〜』と気づくものなのかもしれません。
日常の中にあると、そこに当たり前のようにある、ささやかな幸せに気づくことは難しい。
そして、自分の人生の満開も、とうに過ぎていたんじゃないかということに気づくと同時に、寂しい気持ちを覚えるのです。