人体は、
「約60兆個」
からなる細胞で構成されている。よく言われる言葉です。
でも、数だけでいうのなら、菌の方がダンゼン多い。
私たちの体には150兆匹ともいわれる菌たちが棲息し、私たちにさまざまな恩恵をもたらしてくれているのです。
腸内細菌は有名ですが、皮膚にもビッシリと皮膚常在菌が住み付いている。
皮膚は人体最大の臓器と言われますが、そこになんと、
"1兆匹!"
場所によっては、1センチ角に3500万匹ほどの常在菌たちがひしめき、私たちに素晴らしい恩恵をもたらしてくれているのです。
表皮ブドウ球菌は皮膚表面や毛穴に多く存在する菌。私たちの汗や皮脂をエサにグリセリンや脂肪酸を作り出してくれています。
菌の出すグルセリンがたくさんあるほどに皮膚のバリア機能が保たれる。
美肌実現の源になる菌が表皮ブドウ球菌なのです。
他にも、外来病原菌を退治してくれるアクネ杆菌。毛穴や皮脂腺に多く住み、皮脂をエサにプロピオン酸や脂肪酸を作ることで外来菌の増殖を抑えてくれている。
黄色ブドウ球菌も有名な皮膚常在菌です。
こうした菌たちの働きを、強めるのも・弱めるのも私たち次第。
過度のストレス続きや睡眠不足は“お肌の大敵”といわれますが、菌たちの活動も低下するので要注意。
また現代人は清潔志向で、過剰なまでに洗ってしまう傾向があります。
水やお湯で洗うだけならまだしも、強力な殺菌力の合成洗剤、シャンプーやリンスでゴシゴシやってしまうことなどはもってのほか。
潤いが損なわれ、乾燥肌の直接的な原因になるので、合成シャンプーなどは使わないのが賢明です。
洗顔も洗髪もできるなら
「湯シャンで!」
体のアカは水溶性のため、水洗いでほとんどが落ちていきます。
ただでさえ私たちの顔はむき出しで外からの強いストレスに晒され続けています。
洗い過ぎてしまえばそのストレスはさらに何倍にもなってしまい、常在菌たちの活動も減退してしまう。
過度の清潔志向は、
"美容と健康の敵!"
このことを肝に銘じて過ごすことが大切になるのです。
また潤いの源・表皮ブドウ球菌は、汗が大好き!
暑かったり、寒かったりで家に閉じこもっているばかりでなく、1日1回は運動などでしっかり汗をかく。
美肌と健康の実現には、このことも欠かせない要素といえるのです。
■根こそぎ破壊!
人体にはクスリの濫用、田畑では農薬の散布。
私たちの周りにはたくさんの薬剤が溢れ返っているのです。
"農薬"と一口に言いますが、これが何であるかといえば、殺虫剤と殺菌剤。
そしてこの2つを混ぜ合わせたものが「混合剤」。大きくいって、この3つに分けることができるのです。
殺菌剤を使えば、確かに病原菌を退治することはできるのかもしれません。でも、野菜の表面には、
「着生細菌・付着細菌」
といわれる、たくさんの菌たちが、葉や茎、そして実などの表面をビッシリと覆っている。
この着生細菌が表面を覆っていることで、野菜にも、そしてそれを食べる私たちにも。
実にさまざまな恩恵をもたらしてくれているのです。
屋外で栽培される露地栽培の野菜の表面には、1平方センチメートルあたり、
"1000万~1億匹"
といわれるほどの着生細菌がひしめいているといわれます。
その菌が密集し、コロニーを作ることで、外来の病原菌などにスペースを与えない。
さらに着生細菌たちが特別な「酸」を分泌することで、病原菌などを退治してくれている。
野菜と菌とが共栄共存関係を結ぶことで、外敵から身を守っている。
こうしたことが分かっているのです。
また着生細菌が植物ホルモンなどを分泌することで、野菜の成長を助けたり、空気中の汚染物質を菌たちが分解していることも研究で明らかになっているのです。
このような野菜と菌との素晴らしい関係を殺菌剤一撃で
「木っ端微塵」
に破壊してしまう。
その行為によって野菜の表面を丸裸にし、外敵から身を守るための手段を封じ込んでしまう。
殺菌剤を使えば使うほど、作物はますます弱体化していき、自らの力で身を守ることを不可能
にしてしまう。
こうして野菜は身を守る術を失っていき、さらに多くの殺菌剤を散布せざるを得なくなる。
そんな状況を作り出してしまうのです。
■病気とは?
殺菌剤を使えば、野菜表面の着生細菌を殺してしまうのみならず、それを食べる私たちの
「腸内細菌」
たちにもダメージを与えてしまいます。
野菜経由で体内に摂り込まれる、殺菌剤の量は微量であっても、食は毎日のこと。
チリも積もれば山となるのと同じで、私たちを確実に弱体化させてしまうのです。
腸には体全体の免疫細胞の5割~7割が集中しているといわれています。
腸を健康に保つためには、日々の食材選びをしっかり行うことが大切。
何度も農薬を使って、延命処置を繰り返したような食材を選ぶのではなく、そもそも最初から農薬なんて
"必要としなかった!"
そんな元気で、強い生命を日々体に摂り入れることが大切ではないかと思うのです。
病気とは、
「新鮮な空気とか陽光、暖かさ、静かさ、清潔さ、食事の規則正しさと食事の世話などのうちのどれか、または全部が欠けていることから生じる症状であることが非常に多い」
(フローレンス・ナイチンゲール著 『看護の覚書』より)