西郷隆盛は、
「大英雄」
そのように思われています。
学校でそう習ったし、上野には大きな銅像が建っているし、大河ドラマでも何度も主人公になっているわけだし。
『敬天愛人』
勇気があって、行動力に溢れ、それでいて周囲の人々に対しては温かくてトロけるように優しい。
気は優しくてチカラ持ち!西郷にはそうした印象があるのではないかと思うのです。
でもこの見方に対して疑問を呈する識者もいる。
曰く、西郷とは偏狭な人物であって、極端かつ無学。著しく協調性に欠け、何かにつけて独走してしまいがち。
いわれているほど、庶民に対する暖かな目線だって乏しいもの。それでいて大の
"イクサ好き・・・"
尊王攘夷!を叫びながら、天皇をあたかもラグビーボールであるのように粗雑に扱う。
まあ武士階級なので、戦争好きは仕方がないことなのしれませんが・・・。
でもそんなドンパチ好きで偏狭な人物が、どうして後の世にまで大英雄として語られ続けているのか?
それは当時の人々は彼を英雄として担ぎ上げるくらい、時の明治政府を
「敵視!」
していたから。イヤでイヤでタマラナイ、そんな政府に対して昂然と反旗を翻したのが西郷隆盛。
当時の日本人の多くが拍手喝さいを送ることになった。それが今日にまで伝わる、西郷伝説の真相ではなかろうか。
こう指摘する声だって少なくないのです。
※参考:
■とにかくイヤ!
今回、大きな話題となった「東京都知事選挙」。その図式も、西郷伝説に似た要素があるのではなかろうか?
2位以下を大きく引き離して当選を果たした現職の知事は、 前回の選挙から74万票も票を減らしてしまいました。
投票率が上がったため、単純に言うことは控えなくてはなりませんが、日本の最高学府を出て銀行に勤め、その後市長に転身。
そしてたった一期で辞めてしまった。
見るところ、ゴリゴリの新自由主義者であるようにしか私には映らない。そんな候補に多くの票が集まる結果になったのです。
それは彼がどうこうというよりはむしろ、東京都民、及び日本国民は既存の政治や政党がイヤでイヤでタマラナイ。
野党にも正直まったく、期待できない。他に受け皿はないものか?
そこで旧来の政治家とは一線を画す。そんな変革ムードをプンプンと漂わせる。そんな石丸氏に票が集中するといった結果を招いた。
私自身は一切の興味がなかったのですが、時折垣間見る姿を見て、小泉純一郎の小泉改革。
はたまた橋下徹が政界に進出した時。
これらと似たようなニオイを感じてしまう。その焼き直しに過ぎないのではなかろうか?
そう思っているのですが、あなたはどのように思われているでしょうか?
とはいえ、投票率は60.62%に上昇し、前回選挙を5.6%上回りました。
前回に比べて、約40万人の人が自らの意思を示したことになります。政治に無関心のままでは
「いられない!」
こうした人々が投票に行くという実際の行動で示したことは素晴らしいこと。
そして今回、外国勢力の問題を真正面から取り上げる。そうした候補が複数出馬したことは、近年あまり見られなかったことではなかろうか。
そうした主張を聞くにつけ、幕末の攘夷運動の始まり・・・。個人的にはそんなムーヴメントの黎明をヒシヒシと感じておりました。
円安という名の日本安、日本売り。日本の富や資産が次々に外国勢力に売り渡されていく。
こうした惨状が明らかになるにつけ、指をくわえたまま黙って見てはいられない!
それが明らかなニーズとなって顕在化したことは、時代の変化を思わずにはいられなかった次第です。
■極右って本当!?
「極右台頭」
最近、欧米の政治状況を巡ってよく耳にする言葉です。
極右なんていうと粗野で危険で、暴力的な印象が強いのですが・・・。でも、これはメデイアが意図的に流し続ける
"レッテル貼り"
こうした面が強いと国際評論家の田中宇氏は解説しています。
※参考:『欧州エリート支配の崩壊』
田中氏曰く、世界の支配層は各国の中道を標榜する政党に依拠している。そして左派政党とも密接な関係があると説明するのです。
マスコミが"極右"と呼んで危険視する右寄りの政党は、支配層からの影響を受けにくい。具体的には、
「アメリカのトランプ共和党やハンガリーのオルバン、ドイツのAfD、フランス・ルペンの国民連合、イタリアのメローニ首相率いるイタリアの同胞など」
この辺の事情は込み入っていて単純化することは難しいのですが、総じて右派政党はエリート層からの支配を受けにくい。
こうした面があると田中氏は説明するのです。
これまで右派の主張は多くの国民から受け入れられることはありませんでした。
政府や大企業、大学教授などの面々がデマやウソ、ニセ情報などを垂れ流すはずがない。長くそう信じられ続けてきたのです。
でも、ウクライナ戦争の敗北と腐敗、コロナ騒動の捏造や粗悪かつ危険なワクチンの推進。さらには地球温暖化人為説の根拠の薄弱さ。
自然エネルギー依存策の破綻とインフレによる生活難などなど。
欧米諸国における中道・左派の政策や主張はことごとく失敗に帰し、その破綻は目に見えて明らかになっているのが現在の状況です。
かくして権威筋からの政策や情報はことごとく信頼を失墜。多くの人々が真相に気づき始めてしまった。
それが右派政党台頭の背景にあると田中氏は強調するのです。
20世紀から今現在にまで続いている「経済至上主義」。
経済成長を成し遂げさえすれえば、この世のあらゆる問題は自ずと解決されていく。
前世紀からの私たちはこうしたあまりに極端な考えにとらわれ続けてきました。
それは全世界的な『アメリカ信仰』であるともいえ、経済を成長させ、アメリカのような豊かな国を実現していく。
それこそが20世紀からの人類全体の課題であったといえるのです。
でも経済成長だけでは解決できない問題だってたくさんある。それどころか、経済成長至上主義こそが諸悪の根源そのものになってしまっている。
こうした事実が明らかになっていきました。
アメリカ信仰一色だった世界は、自分たちには本来独自の文明や暮らしのあり方。伝統的な生き方のモデルがあったではないか!
人類は洗脳を解かれたかのように、自らの文化・文明に気づき始めている。
世界は一色で構成されているような単純なものでは決してなく、多種多様でバラエテイーに富んだものであったはず。
こうした認識に変わりつつある。それがヨーロッパの移民問題から端を発した右派勢力の台頭の背景にあるといった指摘です。
エリートの息のかかった中道左派の政党は、掲げてきた自らの政策を変更する必要があるのですが、それをやらない。旧態依然として頑なに固執し続けている。
それで延命を図ろうと
「超愚策!」
にいつまでも固執し続けている。
今回フランスの議会選挙において、右派政権の誕生までには至りませんでした。旧支配層こと、中道と左派の政党が候補者調整をすることで、右派勢力を叩き潰したことが理由です。
※参考:『フランス議会下院 左派連合が最大勢力に 中道連合との連立は』
でもこの流れをもはや止めることはできません。マスコミがどれだけ"極右はキケン!"と煽ってみたところで、秩序ある昔ながらの平穏で安定した暮らしを取り戻したい。
人々の願いはもはや時代の必要にまで昇華しているのです。
都知事選の結果から、日本にもこの世界的なムーヴメントの黎明が始まっているのではなかろうか?
そんなことを感じている今日この頃です。