気が付けば、
今年も残りアト1ヶ月。
読者のあなたさまにおかれましては、年末年始に向けた準備を
「そろそろ始めよう!」
そんな風に思われている頃ではないでしょうか?
私はといえば、年の瀬は仕事。小晦日こと、12月30日は昼夜勤で25時間勤務。それでいて翌日の大晦日こと31日は、22:00~翌朝7時までの夜間勤務。
ちなみにクリスマスイブもまた25時間の昼夜勤務・・・。
何とも味気ない年末を過さざるを得ない。それが今のところの予定です。
私の仕事は、皆が休んでいる時こそが、「書き入れ時」。ゴールデウイークに始まり、お盆休み、そして年末年始は繁忙期。
勤め人のツラさをしみじみ思う。そんな今日この頃です。
ちなみに、"書き入れ時"とは商家において、帳簿記入が忙しい時のこと。そこから転じて商売繁盛、儲けが多い時期を指す。
このような言葉として、定着したのが経緯の模様です。
それはさておき、年末年始は今年一年を振り返るとき。そして来るべき新年が輝かしくも素晴らしい。
そんな一年になるようにとお祈りを捧げる時期。残り1ヶ月をそんな感じで過ごしていきたいものですよね。
そこで今回は、新たな年が希望に溢れた一年になることを祈念して、「お正月」。
お正月のイミとワケについて、読者のあなたと共有できればと思っております。
古くからこのブログをお読み頂いてる方にとっては、すでに知っている内容であろうと思いますが、復習を兼ねておつき合い頂ければ幸いです☆彡
■豊かな国とは?
そもそもお正月とは、その年1年の
「農耕の始まり」
を意味しています。寒くて長い冬が春の兆しに変わるころ、収穫への祈りと願いを込める期間。
正月は、そのための農耕儀礼だったというわけです。
"農耕儀礼っていったいナニさ?モチつきのことかな"
そんな風に思われるかもしれません。儀礼には、あいまいでボンヤリとした印象がつきものなのですが、実際はそうではない。
農耕に欠かせない、実践的な意味と日本人ならでは!の精神性がそこには込められているのです。
日本における農耕とは、概ね
「米づくり」
を意味しています。加賀百万石!なんてフレーズがありますが、これは百万もの民を養える豊かな国という意味。
生きるとは食べることでもありますが、今も昔も、日本人にとってお米は最重要食材!こういうことになるのです。
日本古来の麗しき伝統は、仕事を始める前に休息を取る。どちらかといえば、この方がスタンダード。
現代人は働いて疲労した後に休息を取る、このように考えがちなのですが、古代人は逆。
体を休め、滋養溢れるエネルギーの高い。そんな力ある食材を五体に充填しておく。その上で魂の再生産を図っておく。
相撲において取り組み前に塩をまき、その後に蹲踞の姿勢から互いにシコを踏み合う。ドスンドスンと大地を揺るがすことで、そこら一帯の地力を高めなんとする。
四股を踏むとは、1年の実りを少しでも多くしよう!いわば、土の力を引き出すための呪術であり、神事である。
こんな風に解説されるのです。
1月1日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日。これらの日を総称して「五節句」と呼んでいます。
順番に米正月、桃の節句、端午の節句、七夕、菊の節句で五節句なのですが、一ケタの奇数と奇数とが並ぶ日は、エネルギーが
「最高潮に高まる日!」
中国伝来の陰陽五行説においては、このように考えられているのです。
エネルギーが高いことはキケンな日でもある。だから注意喚起の意味も込めてお祭りを行う。
それによって邪を祓ってきたのが五節句の意味。古代中国の人々は、竹に節があるように季節にだって節がある。
そう考えていたことが伝えられているのです。
そしてこの節句の祭りを農業カレンダーに応用させたのが、日本人の深い知恵といえるのでしょう。
正月は1年のオープニングを飾る行事になるため、特に重要視されてきたのが経緯。こういうことになるのです。
■神と作業人!
正月3日の間は、
「女性は台所に入らず」
これが日本の麗しき伝統です。
正月は女性を労働から強制的に解放する期間。つまり公認の祭日、レデイースデイズだったというわけです。
「何だよ、オンナばっかりズルイじゃねーか!」
男性諸君からはそうした声も聞こえてきそうなものですが、その意味とワケとをヒモ解いていくと、『おかみさん』という言葉に行き当たる。
かみさんが・・・なんて、私たちは何気なく言ったりもするのですが、その語源はといえば
"お神さん"
すなわち、神に奉仕する人の意味であることが分かるのです。
早乙女に代表されるように、大切な主食の米づくり。その起点となる田植えや苗づくりは、神に近い女性たちの仕事。
いわば『男子禁制!』のものであって、女性以外は行ってはならない。こうしたものであったと伝えられています。
田植えを控えた女性たちには正月3日間はしっかり休養を取ってもらう。体力・気力を養うため、普段はあまり食べない動物性タンパク質を豊富に含んだ
「おせち料理」
これをモリモリ食べることで、田植えに備え心身のエネルギーを充足させていた。
お正月は女性を家事労働から強制的に解放するための大切な期間であったと説明されるのです。
当時は太陰暦のため、現在とは約1ヶ月程度、時期がズレます。今のカレンダーなら、2月とか、3月頃になるのでしょうか。
一方、父親の方はというと、その語源は"てて親"。意味は、手を使って働く人のこと。
一方は神の僕べで、もう一方はタダの作業人・・・。
「働けど働けどわが暮らし楽にならず じっと手を見る」
石川啄木の有名な句は、“てて親”の根源に迫る!そんな一句というわけです。最近ですと、村上龍の
「すべての男は消耗品」
これも言い得て妙ではないかと思う次第です。
早乙女は頭に布を巻いたり、菅笠に赤いタスキといったように、自らを華やかに飾り立てます。
これは神さまへの感謝とその奉仕者であることを表現している姿というわけです。
女性たちが田植えを行っている間、男たちはどうしているのかというと、ちょっと悲哀を帯びています。
どんなに田植えをしたいと願っても、神から遠い存在なので資格がない。よって、何もすることがない。
そこで、あぜ道で笛や太鼓を叩いて、歌を謳う。つまるところは "おはやし係"。
せめてものエールを、女性たちに送っていたというわけです。 それが、『田楽』の発祥であると解説されるのです。
ちなみに太鼓や笛を鳴らすことも、科学的で実践的なプログラムであることがいわれています。
いま私たちはお祭りの賑わい程度にしか思っていませんが、本来の意味は"雨乞い"。
大気に振動を伝えることで、気圧に変化を与えていく。そのことで雨が降りやすくなる。
これは現代科学の視点からも有効な取り組みであることがいわれています。
相撲といい、田楽といい、昔の人の自然観察力は、実に科学的!こういうことではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
■生かされる感覚
『魏志倭人伝』という古代中国の有名な書物があります。
これは弥生時代の日本の様子を記録した、第一級の歴史資料といわれているものです。
この書物の中に、有名な邪馬台国の女王・卑弥呼も登場するのです。
でも、卑弥呼は本来当て字であって、本当は"日見子"、"日御子"。そう考えられている模様です。
生涯独身を貫いた卑弥呼の夫は、太陽。 稲作にとって、何よりも重要な太陽に嫁いだ女性と説明されるのです。
「日照りは続くのか?」、「雨はいつ降るのか?」などといった天候を呪術で予言した。いわば神秘的な気象予報士がヒミコだったというわけです。
邪馬台国は稲作を基幹とした国なので、ヒミコの予言と祈祷は極めて重要だったと推測されています。
邪馬台国がどこにあったかは、いまだ論争が続いていますが、ヒミコから早乙女に至るまでの歩みを見れば、自然の恵みに対する崇拝と深い感謝の念とが私には、
"ジンジン"
と伝わってくるのです。
稲を実らせるために生きとし生けるものに感謝をする。そしてその大元である太陽への畏敬の念。
思えば、天照大神は太陽神であり、さらには女性神であることを思うと、やはり
「原始女性は太陽だった!」
改めてそんなことを感じております。
もちろん、早乙女の時代と違って、現在は、社会情勢も価値観も大きく変化しています。でも、女性の重労働は、今も昔も変わりはないのです。
仕事をしながら家事に育児に両立されている方や専業で主婦をされている方。新入社員でイキガっていた20才そこそこの私は、
「社会人にお休みはあっても、主婦に休みはないのよね」
こういわれて衝撃を受けたことをいまだに忘れることができません。世の女性は働き続けているのです!
せめて正月や年の瀬くらいは、ゆっくり休んでもらいたいと思います。ちなみに1月7日は
"若葉の節句"
で女性は1日仕事を休み、男性が七草を叩き、お粥を作っていたのです。
今のうちからパートナーの方と情報を共有し、来年の正月三日間は働かない!
そしてお連れ合いさまの理解や状況が許すのならば、ぜひ1月7日もお休みくださいね。