「抜け毛が多い」
そうなると決まって、髪が
“薄くなるのではないか?”
そう心配しがちな傾向が見られます。でも、これは明らかな間違いといわねばなりません。
髪の量が多いのなら、抜け毛の量だって多くなる。反対に髪の量が少なければ、抜け毛の量だって少なくなる。
抜け毛とは髪の新陳代謝のこと。古きを捨てて新しきに入れ替える。理屈でいえば、よく髪が抜けるとは、その分だけ生えてきている。
こういうことになるのです。
私たちの髪の毛の総量は10万本~15万本といわれています。
その内の85%の髪の毛は成長期のもので、残り15%は衰退期のもの。
よって毎日50本から100本くらいが毎日抜け落ちるのは自然なこと。抜けることの意味は新たな髪が製造されている。こういうことになるのです。
問題は、抜けるばかりで、一向に
“生えてこないこと”
それは新陳代謝に異常が生じていることを意味している。
どうしてそんなことになってしまうのか?といえば、髪の毛の生育環境が悪化しているから。
血液循環に問題が生じ、毛細血管に血が巡りにくい。
このような状態に陥っているといえるのです。
■散々な結果
データはちょっと古いのですが、花王東京研究所が調査した2006年の統計結果があるのですが・・・、
3歳~69歳の男女1069人の頭皮環境を調べてみたところ、
「約7割~8割」
の人の頭皮に異常が見られるとのこと。水分蒸散、アミノ酸溶出、有核細胞率の高さ、角質バリア機能の低下・・・。
こうした結果が報告されているのです。
これらはまさにシャンプーによって引き起こされる現象であり弊害。それをシャンプー会社自身が自ら証明してしまった。それがこの調査の注目すべきところ。
日々体に直接使うものには、疑いを持つこと。このことの重要性を表しているように思うのです。
シャンプーを使うことの最大の問題点は、
“皮脂腺と皮脂”
にあると『シャンプーをやめると髪が増える』(角川書店刊)の中で、著者の宇津木龍一医師は解説しているのです。
強力な洗浄力が頭皮の皮脂を根こそぎ洗い流してしまい、皮脂腺を大きく発達させてしまう。
皮脂は人体にとって必要なモノだし、それは頭皮に常在する皮膚常在菌たち。彼らのエサになっていくもの。
シャンプーで皮脂をゴッソリ洗い流してしまえば、体はそれを
「異常事態!」
と判断します。そこで大量の皮脂を新たに作り出そうと躍起になる。その積み重ねによって皮脂腺が大きく発達していく。
発達し過ぎた皮脂腺からは皮脂が新たにジュクジュクと分泌されていく。
髪のベタつきの原因は、こうした悪循環の結果であると宇津木氏は説明しているのです。
■毛穴と毛髪
皮脂を必要以上に洗い流してしまうと、体は皮脂を大量に分泌しようと躍起になります。
そうなると本来毛髪に行くはずだった栄養物が、皮脂の生産のために使われてしまう。こうして毛髪部分は
「栄養不足」
に傾いてしまい、その充分な発育が難しくなっていくのです。
太くて長い毛は減っていき、細くて短い毛ばかりが頭皮を覆うようになっていく。
1つの毛穴には通常2、3本の毛が出ているといわれますが、初期では1本、進行を続ける間に2本。やがては3本全部が
“うぶ毛”
のような状態になっていきます。こうして薄毛への道をヒタ走ってしまうことになっていくのです。
このような状態に陥ると、育毛剤や発毛剤などを使って対症療法を繰り返してしまうのでしょうが、それは問題をより悪化させるばかりとなります。
それは疲労困憊、もはや立ち上がることも苦しい状態なのに、100メートルダッシュを10本追加するのと同じような振舞い。
頭皮の自然に対して過酷な環境を強いれば、髪の生育環境はますます
「不毛」
の方向へと傾いてしまうのです。
短期間ならまだしも、長期にわたって薬剤塗布などを続けてしまえば、すっかり依存体質ができ上ってしまう。
薬剤の助けがないと自分の力で髪を育てることが難しくなっていく。
強力な洗浄力を持つシャンプー。合成界面活性剤入りのシャンプーなどは
「使わないこと」
それはすべての悪循環の引き金を引いてしまうことを意味している。
使わないのがムリであるなら、せめて使用回数を減らすこと。使う際には髪の部分だけにして、頭皮をゴシゴシやらないこと。
宇津木医師は著書の中で繰り返し強調しているのです。
■自然と不自然
何度も繰り返しになってしまい恐縮なのですが・・・、
人の体から出てくる汚れは全て、
「水溶性」
になります。それは、お湯や水で充分に洗い流せることを意味しているのです。
合成シャンプーはダメだけど、石鹸ならば良いもの。このような認識も強くあるのですが、そもそも石鹸だって必要ないもの。
それらは塗装業に従事している人や油まみれになった際に使用されるべきもの。
普通に生活している分には、合成シャンプーも石鹸も必要ない。こういうことになるのです。
体に対して反自然を強いれば、出てくる結果だって反自然なものになってしまいます。
『自然を知るとは不自然を見抜くこと』
私たちは体に負担を与えない日々を送る必要を思うのですが、あなたはいかが思われるでしょうか?
■参考文献
■無肥料無農薬米・自然栽培と天然菌の発酵食品の通販&店舗リスト
■自然食業界キャリア15年のOBが綴る