「あるまい、多分。お怒りは余程烈しいようだ。もうあれから百日の余になるのに、何の御沙汰もない。伝え聞くところによると、松村は僅かの技伺に慢心していると仰せられたとか。所詮、お許しはあるまい。思えば、空手など御指南申上げなければよかったと思う。いや、空手など習わなければよかったとさえ後悔している」
「お気の小さいことをいわれますな。怒って暮すも一生、笑って暮すも一生です。どうです、一つ気晴しに一手御指南お願いできませんか」
 彫刻師は慰め顔にいった。

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