糸洲先生のこと
 糸洲先生と安里先生とは御親友であったが、そのお名前がやはり安恒といって安里先生と同じであるのも面白い。
 安里先生が丈高く、肩幅広く、眼光畑々としていかにも古武士の風格を具えておられたのにくらべて、糸洲先生は身長は普通だが胸が非常に厚く、そのために体躯はちょうど樽のような感じであった。そして長い髭を蓄えておられたが、その風貌は温和でまるで小児の感さえあった。

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