先生はその頃の沖縄に在住する空手の達人といわれる人達について、一々その氏姓名はもとより、郷里、師範、力量、得意の技不得意の技に至るまで、驚くばかり詳しく知っておられた。そして私にこう訓えられたものである。「何時、何処で、どんな攻撃を受けても、とっさに、この辺には誰と誰がいるか、それはどんな人物で、どれ程の技量の持主か、得意の技は何かそしてその不得意の技は何か、そういうことがわかっていれば、少しも怖れることはない。この人は、と思われるような注目するに足る人物は、平素からよく知っておかなくてはいけない。敵を知り己を知ることが、兵法の秘訣なのだ」と。
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