沖縄で武士というのは、単なる士族という意味でなく、武芸に達している人ということになる。漢那先生は「尚子和漢に通じ、識一世に富めり」といわれた程の人物で、骨格太く逞しく筋肉隆々と盛り上って、殊に肩の筋肉が牛のように発達して、「漢那の肩二階」と謳われたような力量の人であった。
 しかも、剛気無類、火の玉のような熱を帯びていたので、当時の人達から大いに畏敬されたものだが、それ程の漢那先生も、安里先生の前へ出ては手も足も出なかった。

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