今日の話題は
「ご存じですか?ミレニアム懸賞問題」
です。
現在の僕の主な仕事は
数値流体力学(CFD: Computational Fluid Dynamics)関連ですが、
CFDの基礎式である「ナビエ–ストークス方程式」に関する懸賞が、
ミレニアム懸賞問題に含まれており、これが示すのは
「ナビエ–ストークス方程式」って、実は理論的には
ほぼ何もわかっていないという事実です。
そんな理由から、その他のミレニアム懸賞問題についても
書いてみることにしました。
賞金を得た人
まず、ミレニアム懸賞問題とは、
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ミレニアム懸賞問題(millennium prize problems)とは、
アメリカのクレイ数学研究所によって、
2000年に発表された100万ドルの懸賞金
がかけられている7つの問題のことである。
(出典:ミレニアム懸賞問題:wikipedia)
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具体的には・・・
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1) ヤン–ミルズ方程式と質量ギャップ問題
(Yang–Mills and Mass Gap)
任意のコンパクトな単純ゲージ群 G に対して、
非自明な量子ヤン・ミルズ理論が 'R4 上に存在し、
質量ギャップ Δ > 0 を持つことを証明せよ。
2) リーマン予想
(Riemann Hypothesis)
リーマンゼータ関数 ζ(s) の非自明な零点 s は全て、
実部が 1/2 の直線上に存在する。
3) P≠NP予想
(P vs NP Problem)
計算複雑性理論(計算量理論)におけるクラスPとクラスNPが等しくない。
4) ナビエ–ストークス方程式の解の存在と滑らかさ
(Navier–Stokes Equation)
3次元空間と(1次元の)時間の中で、初期速度を与えると、
ナビエ–ストークス方程式の解となる速度ベクトル場と
圧力のスカラー場が存在して、双方とも滑らかで大域的に定義されるか。
5) ホッジ予想
(Hodge Conjecture)
複素解析多様体のあるホモロジー類は、
代数的なド・ラームコホモロジー類であろう、
つまり、部分多様体のホモロジー類のポアンカレ双対の和
として表されるようなド・ラームコホモロジー類であろう。
6) ポアンカレ予想
(Poincaré Conjecture)
単連結な3次元閉多様体は3次元球面 S3 に同相である。
なお、グリゴリー・ペレルマンにより解決済。
7) バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想
(BSD予想、Birch and Swinnerton-Dyer Conjecture)
楕円曲線E上の有理点と無限遠点Oのなす有限生成アーベル群の階数
(ランク)が、EのL関数 L(E, s) のs=1における零点の位数と一致する。
(出典:ミレニアム懸賞問題:wikipedia)
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僕が京大にいたとき、理学部数学科で、上の4)にあたる
「ナビエ–ストークス方程式の大域的安定解の存在」の証明の研究
を博士課程で研究されておられた方がおられました。
僕は、工学部なのに、
「non-linear Schrödinger:非線形シュレディンガー方程式を
用いた海洋波の研究」
とか
「日本海中部地震津波の伝播」
といった、非線形波浪を研究していたので、
とても仲良くしていただいた方でしたが、
これが2000年でもまだ、ミレニアム懸賞問題に残っているということは
彼は、研究成果を出せなかったんだなぁ!
理学って辛いなぁ!と思っています。