濡れた服を部屋干しして、窓もガラス戸も閉め切ってきたけど、

乾いているかなぁ?と聞かれたので、

今日は

「部屋干しの物理」

を解説します。

 

問題:

40℃,1.5L の密閉容器に部屋干し状態を仮定して、

濡れた衣服を吊り下げた。
この服の水分はどれくらいまで乾くでしょうか?
ただし、気体定数 R は 8.3E3(L・Pa)/(K・mol) とする。
また、水の飽和蒸気圧は 40℃ で 7.375(kPa) とする。

 

解答:

水は常温(沸騰温度:1気圧だと100℃)以下でも、蒸発します。

それは、水は液体でいるより、気体でいるほうが自由に運動できるからです。

(出典:

今日のはてな:空気の温度は100℃より低いのに、水蒸気が含まれるのはなぜ?

 

ただし、液体の水がどんどん気体の水になると、

気体の水が液体の中に飛び込んでしまうようになり、

気体の水と液体の水が釣り合ってしまいます。

これが、湿度100%の状態:飽和状態です。

 

では、問題はどう考えればいいのでしょうか?

まず、高校の物理で習った気体の状態方程式を思い出してください。

 

気体の状態方程式:

ここに、Psat:水蒸気(気体上の水)の飽和蒸気圧、V:容器の体積,

            n:水分子のモル数、R:気体定数,T:温度(K)

 

上の式に、n=wsat/wmol
  ここで、wsat:飽和状態での水の重さ、

  wmol:1モル当たりの水の重さ(18g/mol)

を代入すると・・・

上の式を変形すると、飽和状態での水の重さ(wsat)は

そこで、上の式に問題で与えられた数値を代入すると、

よって、40℃,1.5(l)の容器なら0.077(g)の液体の水を気体にして

保持できることになります。

 

いかがでしたか?

高校の物理も捨てたもんじゃないでしょう?

 

(付録) 水の「蒸気表」

ところで、飽和水蒸気圧は、測定するしかなく、

機械学会の「蒸気表」では以下のとなっています。

また、この表をグラフ化すると、以下となります。

なお、上の表やグラフから、1気圧(101325(Pa))で温度が100℃の時は

水はすべて気体になるのがわかります。

このように、水がすべて気体になる状態を沸騰と言います。

 

となると、上の図・表より、気圧が低くなると、

100℃以下でも沸騰することがわかります。

これを低圧沸騰と言います。

例えば、富士山頂では、水は87℃で沸騰します。