ヨシタケシンスケ『おしごとそうだんセンター』 | 空想俳人日記

ヨシタケシンスケ『おしごとそうだんセンター』

 ヨシタケシンスケの新しい本が出ました。『おしごとそうだんセンター』。『日々臆測』も面白かったけど、これもメチャ面白い。いや、面白いだけじゃなく、ためになるよ~。ほら、なんでボクたちは「おしごと」せにゃならんのか、一度は考えるでしょう。この本は、すご~く的確に答えてくれてるよ。そう、単にお金を稼ぐってことじゃなくてね。

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 あと、そんな物語の合間合間に挿入されている「めずらしいおしごと」がメチャ楽しい。四季の歳時記的なお仕事にも笑ってしまう。

おしごとって、何?
《「どんなしごとをしていくか」は、「どうやって生きていくか」とだいたい同じです。》
 そうそう。もちろん、仕事が全てじゃないけど、自分の生き方にかかわる。なんせ、1日24時間のうち3分の1が睡眠だとして、起きている時間の半分以上がお仕事する時間になるもんねえ。

ヨシタケシンスケ『おしごとそうだんセンター』04

▶めずらしいおしごと001~007
『胴上げ屋』がいい。「空中でのお写真もごっしょにいかが」ってのもいい。

ヨシタケシンスケ『おしごとそうだんセンター』05 ヨシタケシンスケ『おしごとそうだんセンター』06

どうやってえらべばいいの?
《あなたのことは、あなたが一番くわしくなってたほうがいいからね。自分のことを、自分できめる力をつけるために。》
《おしごとをするっていうことは、じぶんの力で生きていけるってこと。》
《いちど自分の力で生きていくことができれば、いろんなことを自分できめられるようになる。》
 自分で決められる選択肢が日本にはたくさんあるよね。その選択肢の中から、人に決めてもらうんじゃなく、自分で決めることが大事なんだよね。自分で決められるってことは自分で生きていくってことだもんね。

▶めずらしいおしごと008~014
『生演奏配達』がステキです。プロポーズ応援プランで残念な結果だと「なぐさめる曲」が1曲サービスという、フォローが面白い。
『アップダウン・サウナ』は笑った。「超高温・超低温・超高速で!!」には、さらに( ´∀` )ける。

なりたいおしごとになれなかったら?
《何かがうまくいかなかったり、迷っちゃったりしたときは、「いい感じにまざって来たぞ」「私らしくなってきたぞ」って思えばいいのよ。》
 失敗や迷いが自分の中に混ざるから、自分らしさが生まれるんだよね。迷いや失敗のない人は、あんまり考えていないことが多い。特に、線路の上を走らさせられてるような。

▶めずらしいおしごと015~022
『読書感想文代筆屋』ねえ。おいおい自分で書けよ。プロの書評家まで利用しようとしてるよ。

向いてるおしごと? たのしいおしごと?
《おたがい自分のやりかたでやっているだけで、誰もわるくないけど、誰もしあわせじゃない。》
《おしごとにかぎらず、どうしてもいっしょにうまくやっていけない人とは、はなれたほうがいい。たとえそれが、かぞくであってもね。》
 仕事は、内容だけじゃなく、人間関係もあるよね。この人間関係で社会とのつながりができるんだけど、うまくやっていけない人がいるんなら、同じ職種でも職場を変わった方がいいよねえ。

▶めずらしいおしごと023~030
『ししまいアドベンチャー』なんて、きっと甦れ季節の風物詩+アトラクションだねえ。女の子がノリノリで、男の子がゲッソリがいいよ。

もうないおしごと まだないおしごと
《どんなおしごとをするときにも、「こんなことができたらいいのにな」「自分だったらうれしいけどな」って考えながらいろいろ工夫していくことは、とっても大事なのよね。》
 そうだね。自分で創意工夫。お客様に喜んでもらって対価を得るんだから、どうすればもっと喜んでもらえるか、自分で考え工夫して提案すべきだよね。

▶めずらしいおしごと031~037
『時空引越し便』で、「火星と飛鳥時代の間を抜けて、天の川を右に曲がって、フランス革命の手前を……」。いやあ、面白過ぎる。

おしごとしてないときもある
《おしごとの時間がおわったら、こんどは誰かのお客さんになるのよ。》
《みんなかわりばんこに誰かのお客さんになって、おたがいをたすけあって、人間の世界はつづいているの。》
 先に述べたけど、お仕事以外の時間、つまり余暇だよね。これも有効に使いたいよね。お仕事で疲れ切っちゃって、余暇まで睡眠時間や何もしないってのは、もったいないし、せっかく自分の時間なんだから自分が好きなことに夢中になりたいよね。

▶めずらしいおしごと038~044
『ヒント屋』、あったらいいねえ。ヒントもらって20年経って答えが分かったってオチ、ヨシタケ氏自身が子どもの時に好きでも分からなかった『やっぱりおおかみ』を20歳になって理解したということ思い出した。「小学生がえらぶ!こどもの本総選挙1位」のインタビューで語ってたよね。

じゃあ、どうしよう
《おしごとが「あなたがどんな人なのか」をおしえてくれる。》
《おしごとすることで、「自分ってなんなのか」「世界ってどういうところなのか」「自分にとって大事なことはなんなのか」が、すこしずつわかってくる。》
 おしごとで、いろいろな人や社会と繋がって、いろんな人がいるんだ、いろんな会社があるんだ、いろんな世界があるんだ、見えてくるもんね。お仕事でお金を得るってことと、お客様になってお金を使うってことは切っても切り離せないんだよね。たまたまそこにお金って厭らしいものがあるだけで、共に生きるための道具だとお金を思えばいい。なので、自分だけ富もうとするのはあかんよねえ。


ヨシタケシンスケ『おしごとそうだんセンター』 posted by (C)shisyun


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