谷川俊太郎『モーツァルトを聴く人』 | 空想俳人日記

谷川俊太郎『モーツァルトを聴く人』

収録作品は以下の通り。第一章「モーツァルトを聴く人」(1995年/小学館刊)19篇。第二章「絵本・ピアノのすきな王さま」架空の国を舞台にした「音楽」がテーマの傑作絵本(谷川+堀内コンビによる未刊行の作品/初出は、1981年。ヤマハが愛好家向けに配布した「ピアノ小読本」に収録された幻の絵本作品カラー32ページ)。第三章「谷川俊太郎・音楽詩選」モーツァルトと音楽をめぐる名詩27篇(うち、二篇書き下し=「急がないモーツァルト」「いい天気」)。

谷川俊太郎『モーツァルトを聴く人』01 谷川俊太郎『モーツァルトを聴く人』02 谷川俊太郎『モーツァルトを聴く人』03

 以上、書籍の内容。
 もち、真っ先に第二章「絵本・ピアノのすきな王さま」から読んだ。これが読みたくて買った。図録『谷川俊太郎 絵本★百貨典』の最後の方に、1981年の幻の絵本作品って、この本のことが書かれてた。

谷川俊太郎『モーツァルトを聴く人』04

 ピアノバ王国のピアノスキ三世はピアノ大好きで、「子犬のワルツ」やサンサーンスの「動物の謝肉祭」やドビュッシーの「鎮める寺」やベートーベンの「月光の曲」やクープランも弾いちゃう。けど、国民に追い出しを食らっちゃうんだ。日本みたいだね。

谷川俊太郎『モーツァルトを聴く人』05

 さて、そして、第一章は1995年の詩集「モーツァルトを聴く人」。ボクは、ザルツブルグ散歩」と、

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「なみだうた」と、

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「地べた」が好きだ。

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 それから、第三章「音楽ふたたび」。ボクは、「モーツァルト」と、

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「皺くちゃ」と、

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「音楽のように」と、

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書下ろしの「急がないモーツァルト」がいいな。

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 でもね、もひとつの書下ろしの「いい天気」、ボクが買った本には載ってないよ。あれれ、ボクの初版本だけど。
 でも、その詩を見つけた。

いい天気

今日は天気がいい
青空を見上げていると
何もする気がしない
垣根ごしに犬が見える
ちょこまか足を動かして歩いている
いじらしい

生まれていなかった頃
近所に煙突があって
煙が薄く天に流れていた
何かを製造していたのかもしれない
生まれていなかったのに
懐かしい情景

詩は人生の上澄みねと女に言われた日も
恐ろしく天気がよかった
何か字を書く気になったので
五七五で書いてみた
んたたたた んたたたたらら らたたらら
日本語はまだ壊れていないと思う

林を越えて波音が聞こえてくる
終わらない繰り返しに
退屈しない自分が不思議
ふだんは見えない隣国の山脈が
ばかにくっきり見える
今日は何をどう始めてもいい日だ

 これも、いいね。詩と音楽は恋愛関係にあるみたいだよ。
 以上。


谷川俊太郎『モーツァルトを聴く人』 posted by (C)shisyun


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