プログレ「箱男」
ひっさしぶりに読みごたえがありそうな書籍を買った。
プログレ「箱男」。「箱男」と言えば、日本のプログレッシヴ文学の覇者だった安部公房の小説を思い出した。私は学生の頃、安部公房の大ファンであった。安部公房スタジオの会員にもなり、名古屋での上演の際には足を運んだものだ。
そんな箱男と、私の好きなプログレッシヴロック、特にピンクフロイド、キングクリムゾン、イエスが、どう語られているのか、興味津々の1冊なのだ。
で、本を読む前に、カケハシ・レコードのHPに連載の記事を先に読んじゃった。
ちょっと、部分抜粋ね。
「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ」第十九回: どうしてジョン・ウェットンを好きになってしまったんだろう(三回忌カケレコスペシャルversion)
誰も待ってないだろうけれど――お待たせしました、抱えていた新作書き下ろしがようやく脱稿できたので、半年ぶりの連載再開です。はい、敬体はここまで。
ちなみにその3月末発売予定の新作のタイトルは、『プログレ「箱男」』。哀れなATMプログレッシャーズの預金残高を根こそぎ奪うべく、未だリリースされ続ける膨大な数の高カロリーなアーカイヴBOX群を「買わなくても聴いた気になれる」、大きなお世話な〈読むディスコグラフィー〉本だったりする。
〈箱男〉とは言うまでもなく安部公房の『箱男』で、大きなダンボール箱を頭から腰のあたりまですっぽりとかぶり、覗き窓代わりに空けた穴から外の世界をひっそりと観察しながら、都市を彷徨い歩き続ける。彼は箱をかぶることで自分を社会から隠蔽し、さまざまな束縛や帰属から解放される悦びを感じていた。つまり彼にとってダンボール箱とは、世間の中で自分が生きていくための生命維持装置である。そして数多いる日本人プログレッシャーズにとってはあのプログレ系重箱の数々が、現実から理想郷へと誘なってくれる〈箱男の箱〉なんだろうなと思う。
箱の中はきっと居心地がいいのだ。ほら、ピーガブだって長きにわたって箱やら何やらかぶり続けていたじゃない。
というわけでフロイド、クリムゾン、イエス、ELP、ジェネシスとその界隈の箱に限定して網羅してみたものの――そのあまりのヴォリュームは全部聴くだけで1ヶ月以上も懸かったあげく、2018年末発売のはずがとんでもない原稿量となり、書き終えたら既に正月三が日を過ぎていたのだった。
可哀相だと思ったら読んでやってください。《どうしてプログレを好きになってしまったんだろう》シリーズ外伝です。
でも編集デザイン作業もかなり熾烈を極めているようで、たぶん4月に発売延期される気がする。ああ自業自得。
とはいえそれ以外にも、箱男本の執筆が遅れた物理的理由があるにはあった。
今年2019年1月31日は日本式に数えればジョン・ウェットン三回忌の命日で、なんとかして彼の追悼本をそこに間に合わせたかったのだ。実は私、このJW本制作の言い出しっぺでもあり、しかも最初は「全頁俺が書く!」なんて豪語していた手前、箱男よりこっちの原稿を優先するしかないではないか。というわけで昨年12月後半はウェットン三昧で、箱男は冬眠を余儀なくされたのである。
痛し痒しのゆく年くる年。(2019年2月21日)
ということで、この本を書くために、HP記事の連載を中断していたそうな。上の文で、そうか、豪華BOX群なんだ、箱は。
でも、私は、どのプログレ軍団も豪華BOXは持ってない。アルバムしか持ってない。あっ、フロイドのライト追悼「永遠(TOWA)」だけBOX持ってるか。
本を読み始めて、序章だけで、もう大笑いしながら、「うんうん、そうだ、そうだ」と納得。
箱男を豪華BOX楽しむ輩として示しながら、「さすがの箱男も体力もとい資金力も、かなり削られているのが現状だ。IUCN(国際自然保護連合)からまもなく、絶滅危惧種に指定されるだろう」なんて、笑えるよ。
で、この序章にも書かれてるけど、「読めば怒涛のプログレ箱たちを<買わなくても聴かなくても、ちゃんと聴いた気になれる>読むディスコグラフィー本」と位置づけてられる。
まだ第1章の「ピンク・フロイドと箱」しか読んでないけど、いやあ、まさにその通り。ちゃんと聴いた気になれてしまった。いやあ、作者の文章表現も機知に富んでて痛快丸かじり。これで、BOXで散財しなくて済むよ。
ほんと、いい本だよ、これ。安部公房もきっと草葉の陰で読んで大笑いし納得してる、と思う。
そうさ、プログレだよ、安部公房も。
蛇足だけど、この本と一緒に買ったのは、絵本「でんしゃはうたう」だよ。最初と最後以外は、全ページ擬音だよ。作者の感性、ステキだね。
プログレ「箱男」 by (C)shisyun
プログレ「箱男」。「箱男」と言えば、日本のプログレッシヴ文学の覇者だった安部公房の小説を思い出した。私は学生の頃、安部公房の大ファンであった。安部公房スタジオの会員にもなり、名古屋での上演の際には足を運んだものだ。
そんな箱男と、私の好きなプログレッシヴロック、特にピンクフロイド、キングクリムゾン、イエスが、どう語られているのか、興味津々の1冊なのだ。
で、本を読む前に、カケハシ・レコードのHPに連載の記事を先に読んじゃった。
ちょっと、部分抜粋ね。
「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ」第十九回: どうしてジョン・ウェットンを好きになってしまったんだろう(三回忌カケレコスペシャルversion)
誰も待ってないだろうけれど――お待たせしました、抱えていた新作書き下ろしがようやく脱稿できたので、半年ぶりの連載再開です。はい、敬体はここまで。
ちなみにその3月末発売予定の新作のタイトルは、『プログレ「箱男」』。哀れなATMプログレッシャーズの預金残高を根こそぎ奪うべく、未だリリースされ続ける膨大な数の高カロリーなアーカイヴBOX群を「買わなくても聴いた気になれる」、大きなお世話な〈読むディスコグラフィー〉本だったりする。
〈箱男〉とは言うまでもなく安部公房の『箱男』で、大きなダンボール箱を頭から腰のあたりまですっぽりとかぶり、覗き窓代わりに空けた穴から外の世界をひっそりと観察しながら、都市を彷徨い歩き続ける。彼は箱をかぶることで自分を社会から隠蔽し、さまざまな束縛や帰属から解放される悦びを感じていた。つまり彼にとってダンボール箱とは、世間の中で自分が生きていくための生命維持装置である。そして数多いる日本人プログレッシャーズにとってはあのプログレ系重箱の数々が、現実から理想郷へと誘なってくれる〈箱男の箱〉なんだろうなと思う。
箱の中はきっと居心地がいいのだ。ほら、ピーガブだって長きにわたって箱やら何やらかぶり続けていたじゃない。
というわけでフロイド、クリムゾン、イエス、ELP、ジェネシスとその界隈の箱に限定して網羅してみたものの――そのあまりのヴォリュームは全部聴くだけで1ヶ月以上も懸かったあげく、2018年末発売のはずがとんでもない原稿量となり、書き終えたら既に正月三が日を過ぎていたのだった。
可哀相だと思ったら読んでやってください。《どうしてプログレを好きになってしまったんだろう》シリーズ外伝です。
でも編集デザイン作業もかなり熾烈を極めているようで、たぶん4月に発売延期される気がする。ああ自業自得。
とはいえそれ以外にも、箱男本の執筆が遅れた物理的理由があるにはあった。
今年2019年1月31日は日本式に数えればジョン・ウェットン三回忌の命日で、なんとかして彼の追悼本をそこに間に合わせたかったのだ。実は私、このJW本制作の言い出しっぺでもあり、しかも最初は「全頁俺が書く!」なんて豪語していた手前、箱男よりこっちの原稿を優先するしかないではないか。というわけで昨年12月後半はウェットン三昧で、箱男は冬眠を余儀なくされたのである。
痛し痒しのゆく年くる年。(2019年2月21日)
ということで、この本を書くために、HP記事の連載を中断していたそうな。上の文で、そうか、豪華BOX群なんだ、箱は。
でも、私は、どのプログレ軍団も豪華BOXは持ってない。アルバムしか持ってない。あっ、フロイドのライト追悼「永遠(TOWA)」だけBOX持ってるか。
本を読み始めて、序章だけで、もう大笑いしながら、「うんうん、そうだ、そうだ」と納得。
箱男を豪華BOX楽しむ輩として示しながら、「さすがの箱男も体力もとい資金力も、かなり削られているのが現状だ。IUCN(国際自然保護連合)からまもなく、絶滅危惧種に指定されるだろう」なんて、笑えるよ。
で、この序章にも書かれてるけど、「読めば怒涛のプログレ箱たちを<買わなくても聴かなくても、ちゃんと聴いた気になれる>読むディスコグラフィー本」と位置づけてられる。
まだ第1章の「ピンク・フロイドと箱」しか読んでないけど、いやあ、まさにその通り。ちゃんと聴いた気になれてしまった。いやあ、作者の文章表現も機知に富んでて痛快丸かじり。これで、BOXで散財しなくて済むよ。
ほんと、いい本だよ、これ。安部公房もきっと草葉の陰で読んで大笑いし納得してる、と思う。
そうさ、プログレだよ、安部公房も。
蛇足だけど、この本と一緒に買ったのは、絵本「でんしゃはうたう」だよ。最初と最後以外は、全ページ擬音だよ。作者の感性、ステキだね。
プログレ「箱男」 by (C)shisyun