映画「万引き家族」 | 空想俳人日記

映画「万引き家族」

 果たして、家族とは何なのだろうか。血のつながりがあっても幸せじゃない家族から、血のつながりのない家族の一員になる。



 そこで、血のつながりのお兄ちゃんを真似て、指をクルクルさせながら、万引きをする。
 店主は、兄にお菓子を渡し、「妹にはさせるなよ」とアドバイスをする。



 兄は、血のつながりのない父をお父さんとは呼べないが、他に教えることがないと万引きを指導する父を慕っている。



 父の伴侶とは、果たして真の夫婦ではないのに、心でつながっている(心だけじゃないか)。



 そして、彼女は言う、「好きだから叩く、なんてウソだからね」と。

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 そして、その親の立場にあるおばあちゃんは、亡くなったもと相方の息子夫婦の家に行っては、お涙頂戴なるお札を頂いて帰ってくる。
 その息子夫婦の長女が何故に、この血のつながりのない家族の一員なのか分からないが、おばあちゃんと一緒に寝るくらいの慕いよう。



 と、まあ、ちょいとネタバレ近くなってきたので、やめとくけど。
 この疑似家族が、音しか聞こえない見えない花火を全員で見上げる、あの全員が輝いているシーンが脳裏に焼き付いて離れない。こんなに幸せな家族は見たことがない。そんなワンシーンだ。
 海でのはしゃぎようもそうだ。そこで、おばあちゃんが、海ではしゃぐ家族を見て、とっても幸せそうな顔をし続けるその永遠なる瞬間の顔が私は忘れられない。

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 なのに、何故に世の中は、そんな家族に秩序の名のもと土足で踏み入って、壊すのか。幸せじゃない血のつながりのある家族の家へ娘を戻そうとするのか。
 映画館を出て、目の前の景色がペランペランの紙のように見えた。この現実は、ひょっとして、絵に書いた餅みたいなもんじゃないか。今、暗闇の中で観てきた輝く笑顔のが、真実ではないだろうか、そう思えた。






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