雨のうた。井上陽水、松任谷由実、中島みゆき、さだまさし、オフコース、石川さゆり、梅雨、ゲリラ豪雨、線状降水帯、J-POP、歌謡曲、演歌、フォーク、ニューミュージック、干天慈雨、雨ソング、昭和歌謡。

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歴音70.昭和の慈雨(雨うた.1)



◇はしがき(序文)

今年も、梅雨(つゆ)の季節がやってきましたね。
水を蓄え、植物を育て、作物を育む、大切な「雨」の季節です。
自然からの「恵みの雨」の季節!

日本は、梅雨がないと、後でたいへんなことになりますね。

今年2024年は、例年よりも半月ほど遅い 6月21日に、「近畿・東海・関東甲信が梅雨入りしたとみられる」と気象庁が発表しました。

とはいえ、湿度が上がって、なんか ジメジメ!
髪の毛べっとり…、関節痛が…、洗濯物が乾かない…、もうカビはえてる…。
なんか、雰囲気 暗くねェ!?

でもでも、お花たちは イキイキ!
カエルくんも、カタツムリくんも、元気ハツラツ!
竹の子たちは、待ってました… 雨後の筍(うごの たけのこ)!
歌手の のどにも、美肌にも、湿度は ありがたい!

雨の日は、考え方次第で、楽しい空間と時間にも なりますね。
そう…音楽鑑賞でも、「雨のうた」を雨の日に聴いたら、各段に、魅力的に聴こえてきます。

雨の季節に、「雨うた」を聴かないで、いつ聴く!?
やっぱり、「雨うた」は、雨の日に聴くに限る!
カンカン照りの日に「雨うた」なんて聴いてられない!

梅雨があるからこそ、雨の名曲たちが生まれてくるのかもしれませんね。

せっかくの梅雨の季節です。
雨の風景を眺めながら、「雨うた」の名曲たちを聴いて、梅雨の季節を楽しみましょうよ!

* * *

今回の連載「雨うた」では、日本の、Jポップ、ニューミュージック、フォーク、歌謡曲、演歌の中から、新旧の135曲を選びました。

一回分のコラムに25~30曲を並べて、5回の連載で掲載させていただきます。

YouTube(ユーチューブ)上に音楽動画があるものしか選べませんでしたが、1949年(昭和24)から2024年(令和6)までの75年間に生まれた楽曲の中から選びました。

楽曲タイトルに、「雨」などにつながる言葉が入っていたり、歌詞の中で「雨」が印象的に登場する楽曲です。

今回は、童謡やクラシック音楽曲、洋楽曲を含めませんでしたので、それらは 来年以降の梅雨時に特集いたします。
これまた、膨大な数の雨ソング!

今回の邦楽集では、あえて、音楽ジャンルを混ぜ合わせましたので、普段 聴かないタイプの楽曲も、どうぞ聴いてみてください。

本コラムは、ミュージシャンや音楽関係者、放送関係者などの方々にも お読み頂いておりますが、今回は、「歴音fun」として選んだ150曲です。

私… もの忘れのお年ごろ!
ごひいきの「雨うた」が出てこなかったら、なにとぞ ご勘弁を!
ひょっとしたら、来年、追加の続編を書くかもしれません。

* * *

今回の6回の連載では、「梅雨(つゆ)」にからんだお話しを、各回に盛り込みます。

(盛り込む内容)
第1回 ゴリラ豪雨
第2回 「バイ」なんてイヤ!
第3回 必殺仕事人の梅雨豆腐
第4回 梅雨将軍、見参!
第5回 死闘、雨の桶狭間

第6回 雨ニモマケズ

あわせて、漢字「雨」の入った四字熟語もご紹介していきます。
「雨」の文字が入った四字熟語の多いのなんのって… 雨粒の如し(ごとし)!
平成生まれ以降の世代は、四字熟語をあまり使いませんが、どうぞ使ってみて!

雨の夜は、みんな「夜雨対牀(やう たいしょう:みんな仲良く楽しくという意味)」に、「雨うた」を聴こう!

そこの 昭和生まれの赤ら顔の「夜雨大将」も、どうぞ よろしく大笑!


「さあさ、雨うた… 聴いてまいろう」

幕末の京の雨の夜、月形半平太(つきがた はんぺいた)が、傘を彼にさしかける舞妓はんに言う、カッコつけた男の名台詞…

「春雨(はるさめ)じゃ、濡れてまいろう」。

若い世代には、まさに未知の、昭和の歌謡曲、フォーク、ニューミュージック…。
老いらくの世代には、まさに救われた、昭和の歌謡曲、フォーク、ニューミュージック…。

新旧の「雨うた」の名曲たち… さあさ、聴いてまいろう!

 

(追伸)

豪雨・台風・地震等で被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。

一日も早い復興をお祈り申し上げます。



◇干天慈雨

「干天慈雨(かんてん じう)」の意味… 長く待ち望んでいたことがかなう。困難や苦境の中の、「救い」や「恵み」。

カンカン照りの日が長く続く中で、待ち望んでいた雨が降るという直訳の意味ですが、それが転じて、長く待ち望んでいたことがかなうことや、困ったときに助けてくれるものに恵まれるという意味です。

「干天」は、本来は、「旱天」と漢字で書き、日照りの天候を意味します。
ちなみに、食物の「かんてん」は「寒天」ですよ!
寒天は、寒暖差の大きな地域での、寒い時期の「天日干し(てんぴぼし)」が欠かせません。

寒天の名産地の信州(長野県)には、材料になる海藻「天草(てんぐさ)」が、静岡県の伊豆から、たくさん運ばれていました。
やっぱり、ここは伊豆の、あの「雨うた」「かんてん うた」を…。

(1)石川さゆり
小夜時雨(さよしぐれ)、寒天橋…
♪天城越え(あまぎごえ)(1986・昭和61)

 

何年か前より、「雨うた特集」を書いてほしいというリクエストを たくさん頂戴していましたが、世の中に「雨うた」の数が膨大に多すぎて、尻ごみ… 干上がりそうでした。
ですが、一念発起!
私自身にとっても、干天慈雨!

たいへんお待たせしました!

「冷やし中華」と「雨うた」…始めました!


◇ゴリラ豪雨(ゲリラ豪雨)

さて、昭和世代は、今でも 日常で使いますね!
この言葉…。

ゲリラ豪雨!

実は、近年、気象庁は、公式の場で、その使用を取りやめました。
同じように取りやめた用語に、「爆弾低気圧」もあります。
理由は、いろいろ ありそうですね。

それなら、野球用語の「併殺打」「盗塁」「ランナーを刺す」「死球」なども取りやめなければなりません。
昭和生まれのゲリラ世代は、生涯、意地でも「ゲリラ」を使い続けるかも…。

* * *

「ゲリラ豪雨」や「爆弾低気圧」に替わって登場してきた用語が、「局地的大雨」「集中豪雨」「線状降水帯」「急速に発達する低気圧」「記録的短時間大雨情報」「警報級大雨」「100年に一度の…」などなど、ひねりのないお役所表現…。

たしかに「ゲリラ」は、弱者による強者への戦法スタイルや戦闘員のことであり、「爆弾」は、その通り「爆発兵器」ですので、少し恐ろしいイメージはあります。
ですが、一般市民には危機感が強烈に伝わり、警戒態勢の必要性を感じやすかったのかもしれません。
今も 使用してはいけない用語ではありませんが、お役所は耳にしなかったことにするでしょう。

* * *

ちょうど今、市民に伝わりにくい、学者にしか理解できないような気象用語や、気象や天候の複雑な分類について、学術研究などに主眼を置かない、市民にしっかり伝わり、実際の避難行動につながるような、新しい用語や分類に整理する作業が行われていると聞いています。

前述の「局地的大雨」などの新しい言葉表現をどのように捉えるかは、市民ひとりひとりによって、大きく異なる気がしますね。
明確で、強いメッセージ性のある新しい言葉表現を願いたいものです。

「局地的」の「的」って、どういう意味? わたし的に、わかんない!
局地ってどこよ? まさか、うちの町内のこと!
「警報級」の「級」って、「警報」ではないから、避難しなくていいの? それとも避難準備しとけってこと?
「級」と聞かされても、しょせん「級」と甘くみる?
「…情報」って、町内の回覧板のようなこと?

霞ヶ関文学、永田町用語… では、市民のところに、雨のようには 届かない…。

* * *

「局地的大雨」「集中豪雨」「ゲリラ豪雨」などの日本語の呼び名を知っておくことはもちろんですが、海外旅行の多い現代ですので、英語表現も知っておくと安心かも…。

「Heavy rain shower(ヘビィ・レイン・シャワー)」
「Heavy downpour(ヘビィ・ダウンポー)」
「Torrential rain(トレンシャル・レイン)」
「Cloud burst(クラウド・バースト:IT用語のクラウド・バースティングは別の意味)」
などなど。

海外旅行先の地元テレビの「天気予報」…結構 おもしろいよ!

* * *

さて、お役人に嫌われた用語…「ゲリラ豪雨」。
ひょっとして、こんな用語ならオーケー?

ゴリラ豪雨!

でもでも、本もののゴリラたちは、ゴリラなのに「ゴリラ豪雨(ゲリラ豪雨)」が大キライ!
というより、大した雨でもないのに、頭をかかえ、尻をまくって、雲の子を散らすように、雨から逃げ出す始末…。

ゴリラ倒すにゃ、武器いらず、シャワーのひとつもあればいい… 詠み人知らず
(ジョークです。実際に行わないでください。)

動物の中には、雨で大喜びするものもいれば、いちもくさんに逃げ出すものもいます。
あなたは、どっち?

ゴリラは、雨が超苦手!
ゴリラの弱点は、雨!
そこまで、濡れるのがイヤなの!?

ねえ みんな、そっちのドアから部屋の中に入れそうよ!ウホッ!

 

いつも まる裸のゴリラは、雨に濡れる恐ろしさを本能的に知っているのかもしれませんね。
いつか、ゴリラたちに聞いてみたい… これまでに、雨の日に 何かあったの?

* * *

国が…、地域が…、施設が…、家が…、誰かが…、わが身を「豪雨」から守ってくれるという妄想…。
今の地球温暖化の時代に、信用しすぎるのもどうかと…。

止水板(しすいばん)、水のう、2階に大事なもの、長靴、ポンプ、ボート、ヘリ… 自分自身でも準備しておかないと!

わが家のゴリラは、さて どうする…。

…とりあえず、「雨うた」を家の中で聴きます。
ウホッ!ウホッ!


◇雨うた

さて、まずは、今の60歳台以上が中心であろう「ニュー・ミュージック世代」にむけて、沁みる「雨うた」を!

あれから、4~50年あまりが経ちましたね。
これまで、どれほどの雨に打たれてきたことか…。
たくさん たくさん 濡れてきた! 浸みてきた! 沁みてきた!

60歳台より若い世代の方々も、ぜひ 濡れてみて! 沁みちゃうかな?

(2)井上陽水
くもりガラスの外は雨、私の気持ちは書けません…
♪心もよう(1973・昭和48)

 

(3)井上陽水
問題は今日の雨、傘がない。行かなくちゃ…
♪傘がない(1972・昭和47)

 

(4)ハイ・ファイ・セット
冷たい雨にうたれて、街をさまよったの。もう許してくれたって…
(作詞作曲:荒井由実)
♪冷たい雨(1976・昭和51)

 

(5)荒井由実(松任谷由実)
夜明けの雨はミルク色、静かな街に…
♪雨の街を(1976・昭和51)

 

(6)荒井由実(松任谷由実)
雨音に気づいて、遅く起きた朝は…
♪12月の雨(1974・昭和49)

 

(7)松任谷由実
流るる雨のごとく、流るる花のごとく…
♪春よ、来い(1994・平成6)

 

(8)松田聖子
(作曲:呉田軽穂〔松任谷由実〕)
あ~泣かないで メモリーズ、幾千粒の雨の矢たち…
♪瞳はダイアモンド(1983・昭和58)

 

(9)イルカ
(作詞作曲:伊勢正三)
窓の外は雨、雨が降ってる。物語の終わりに…
♪雨の物語(1977・昭和52)

 

(10)雅夢(がむ)
窓ガラス流れ落ちてゆく雨を、細い指先で なぞってみる…
♪愛はかげろう(1980・昭和55)

 

(11)村下孝蔵
春の雨に頬を濡らし、涙を隠したいから…
♪春雨(1981・昭和56)

 

(12)村下孝蔵
五月雨は緑色、悲しくさせたよ、ひとりの午後は…
♪初恋(1983・昭和58)

 

(13)松山千春
いつのまにか降り出した雨、窓の外は、銀の雨が降る…
♪銀の雨(1977・昭和52)

 

(14)ふきのとう
雨降りの道玄坂、バスを待つあなたの…
♪雨ふり道玄坂(1976・昭和51)

 

(15)吉田拓郎
ガラス窓に いっぱい並んだ雨だれの向こうで、誰かが…
♪ある雨の日の情景(1971・昭和46)

 

(16)吉田拓郎
ザ・モップスのヒット曲ですが、ここは作詞作曲者の吉田さんで…。
たどり着いたら、いつも雨降り。そんなことの繰り返し…
♪たどり着いたら いつも雨降り(モップス1972・昭和47)

 

(17)中島みゆき
雨が好きです、雨が好きです、明日 天気になぁれ…
♪あした天気になれ(1981・昭和56)

 

(18)中島みゆき
あの雨が降ってくる、昔から降ってくる…
♪昔から雨が降ってくる(2007・平成19)

 

(19)中島みゆき
たとえ今日は、果てしもなく 冷たい雨が降っていても…
♪時代(発表は1975・昭和50)

 

(20)オフコース
外は今日も雨、やがて雪になって、僕らの心の中に…
♪さよなら(1979・昭和54)

 

(21)オフコース
眠れない夜と、雨の日には、忘れかけてた…
♪眠れぬ夜(1975・昭和50)

 

(22)小田和正
ここは、MOEKAさんのカバー歌唱を…。
雨上がりの空を見ていた。通り過ぎてゆく人の中で…
♪たしかなこと(2005・平成17)

 

(23)さだまさし
気がついたら、あなたの腕に 雨宿り…
♪雨やどり(1977・昭和52)

 

(24)さだまさし
雨の日には、誰だって 傘をさすものよ…
♪吸い殻の風景(1977・昭和52)

 

(25)さだまさし
「驟雨(しゅうう)」とは、夏の終わりから秋にかけて、どす黒い入道雲のような雲が、にわかに わき上がり、断続的に局所的に降る豪雨のイメージだそうです。
「驟雨」とは、漢字をばらすと「馬取雨」となり、突如、悪の騎馬軍団が、村に来襲するような意味あいでしょうか。
たしかに、うす気味悪い暗さの天気の中、突然の豪雨の来襲という現象は ありますね。
「にわか雨」や「村雨(むらさめ)」とも、少し異なるようです。

豪雨の中、荒武者たちの軍団が、音声のないスローモーション映像で襲ってくるシーンは、まさに恐怖!

音もなく降る雨の音に、おびえた…
♪驟雨(しゅうう)(1998・平成10)

 

(26)さだまさし
梅雨のあとさきの、トパーズ色の風は…
♪つゆのあとさき(1977・昭和52)

 

ニューミュージックの世界に降る雨… 浸みちゃうの! 沁みちゃうの!

 

あなた…それ、しょう油のシミちゃうの?

いいえ、昭和のシミ!


まさに、昭和の、干天慈雨!

* * *

まだまだ、「雨うた」は やみません。
「雨うた.2」につづく…

2024.6.22 天乃みそ汁

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