東京ブギウギ、笠置シズ子、服部良一、福来スズ子、淡谷のり子、NHK 朝ドラ、趣里、戦後復興、昭和歌謡、歌謡曲、ジャズ、ブルース、笠置シヅ子。

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ワテやで!シズ子!(ブギウギ時代.1)

 

 

今回は、連載「ブギウギ時代」の第1回です。


◇ブギウギ

2024年3月29日の放送で、NHKの朝ドラ「ブギウギ」が終了しますね。
朝から、多くの音楽で元気をもらえるドラマでした。

このドラマは、戦前戦後に活躍した歌手の笠置シズ子(かさぎ しずこ、1914・大正3~1985・昭和60)さんを、ドラマの主人公のモデルとしたもので、彼女の音楽を支えた 作曲家の服部良一(はっとり りょういち)さんとともに、日本の音楽のひとつの時代を作り上げ、歌手を引退するまでの出来事を描く内容でした。

主人公の笠置シズ子(ドラマ内では福来スズ子)を演じたのは、歌手俳優の水谷豊さんと、同じく歌手俳優の伊藤蘭さんの娘の 趣里(しゅり)さんでした。

服部良一(ドラマ内では羽鳥善一)を演じたのは、歌手俳優の草彅 剛(くさなぎ つよし)さんでした。

服部良一さんと笠置シズ子さんのコンビにより生まれた楽曲は膨大な数におよび、まさに、この二人により、戦後の日本に「ブギウギ時代」が作られたといっても過言ではないと思います。

笠置シズ子さんは、まさに、服部良一さんが目指す音楽世界のために選ばれた歌手であったのだろうと思います。

* * *

朝ドラ「ブギウギ」の放送は終了しますが、「歴音fun」では、この「ブギウギ時代」に関連する音楽のお話しを、断続的に、数回の連載で書いていきたいと思います。

そもそも、「ブギウギって何?」「笠置シズ子、服部良一って誰?」という若い世代の方は多いでしょう。
昭和のある世代以上の方々の中には、この二人がテレビで活躍する姿を記憶されている方も多いと思います。

若い世代の方でも、ロック音楽ファンであれば、「ブギウギ」という音楽スタイルを知らない人は、まずいないと思います。
好きな人は、たまらなく好きな、音楽スタイルですね。
私もそのひとりです。

プロ ミュージシャンの中には、「ブギの演奏や、スキャット歌唱ができてこそホンモノだ」とおっしゃる方もいますね。

ですが、「ブギ」や「ブギウギ」は、今の時代の日本で、一般の方々が ほぼ耳にする音楽用語ではなくなったのかもしれません。

ジャズやブルースをベースに生まれてきた「ブギウギ」という音楽スタイルですが、そうした歴史や音楽についても、今回の連載の中で、少し書きたいと思います。

「ブギウギ」は、まさに、「ロックンロール」が生まれるきっかけの最終段階といっていいのかもしれませんね。

* * *

世界のジャズ、ブルース、ブギを、日本の流行歌の中に盛り込んだ服部良一さんでしたが、その「ブギウギ時代」以降に、爆発的に多様化し進化した「昭和歌謡」の世界でした。

ロカビリー、グループサウンズ、ロック、フォーク、アイドル歌謡、演歌などが次々に生まれてきます。
今の時代よりも、多様すぎて 笑っちゃう!

今回のコラム連載「ブギウギ時代」は、何回の連続になるか、まだ未定ですが、服部良一さんの音楽を語る上で、私が思いますところ、どうしても避けて通れないことがあります。

「スウィング・ジャズ」、「シンフォニック・ジャズ」、「ブギウギ」、「スキャット」の四つです。

服部良一さんは、実際に、音楽スタイルそれぞれの、どんな楽曲を耳にしておられたのか?
服部良一さんは、なぜ、これほどまでに「ブギウギ」に こだわったのか?

この四つの音楽スタイルのお話しも、かなり かいつまんで、その音楽曲とともに、数回のコラムの中で書いていきたいと思います。

断続的な掲載にはなりますが、どうぞお付き合いのほど…
お願いでっせ!お願いしまっせ!
♪ブッギ・ウッギ~♪

服部良一さんは、大阪市出身 やで!
笠置シズ子さんは、香川県出身の大阪育ち やで!


◇「シズ子」と「シヅ子」

昭和世代の方々の中には、服部良一さんや笠置シズ子さんのテレビの中の姿を憶えておられる方も少なくないと思います。

服部さんには、笑顔の中にも 何か厳しさを感じるような、気高い音楽家の雰囲気を感じたものです。

笠置さんには、明るい笑顔と、バイタリティのある大阪の(親愛を込めて)「おばちゃん」の雰囲気を思い出します。
名前表記「笠置シズ子」の歌手活動時代を引退し、その後、女優業を主に行った「笠置シヅ子」の時代でも、明るい雰囲気はそのままでした。
本名は「静子(しずこ)」さん。

テレビ番組「家族そろって歌合戦」の審査員や、企業「カネヨ石鹸」の台所用クレンザー「カネヨン」のCM、ヒットドラマなどでの俳優の姿を憶えておられる方も多いと思います。

ドラマ「なんたって18歳」での、おばあちゃん役(1971・昭和46)
下記映像の1分55秒あたりで登場。その後、各所に登場。

 

1971年(昭和46)から販売されている「カネヨン」の1980年代のCM。
今現在も、「カネヨン」の商品パッケージデザインは、当時と ほとんど変わっていない印象を受けます。
今でも、「カネヨン」を見ると、笠置さんを思い出しますね。

 


◇心 ズキズキ ワクワク!(東京ブギウギ)

「ブギウギ」という音楽スタイルについては、連載の次回に書きますが、笠置シズ子さんのブギウギ曲の、まさに代表曲であり、最大のヒット曲が「東京ブギウギ」です。

1945年(昭和20)に終戦をむかえ、日本の戦後復興を支えた応援曲は、いくつかあります。
「リンゴの唄」「長崎の鐘」「青い山脈」「東京キッド」「イヨマンテの夜」「高原列車は行く」など、多くの歌謡曲が、戦後復興にがんばる人々を応援しました。

その中でも、笠置シズ子さんの「東京ブギウギ」は、「リンゴの唄」に並ぶ、2トップの一角だと思います。

* * *

ここで、いろいろな「東京ブギウギ」を…。
もはやブギ演奏ではないものも…。

「でも、リズム ウキウキ、心 ズキズキ ワクワクできれば、それで ええねん!」

笠置シズ子
♪東京ブギウギ(1947・昭和22)

 

1949年(昭和24)の映像です。シズ子さん 35歳。
♪東京ブギウギ

 

福来スズ子(朝ドラ「ブギウギ」の主人公〔演:趣里 しゅり〕)(2024・令和6)
♪東京ブギウギ

 

川中美幸(2006・平成18)
♪東京ブギウギ

 

門松みゆき(2020・令和2)
♪東京ブギウギ

 

雪村いづみ(1974・昭和49)
バック演奏:細野晴臣、鈴木茂、松任谷正隆、林立夫
まさに70年代の東京ブギウギ!
♪東京ブギウギ

 

「東京ブギウギ」という楽曲の懐の広さと可能性を感じさせてくれます。
チャゲ(2009・平成21)
♪東京ブギウギ

 

今の若者たちにも、選曲のひとつになっているとは…。
Play.Goose(2022・令和4)
♪東京ブギウギ

 

大阪桐蔭高等学校・吹奏楽部(2023・令和5)
甲子園でも聴けるかも…。
♪東京ブギウギ

 


◇服部良一の音楽曲

ここからは、服部良一さんが作った有名ヒット曲を少しだけ…。

服部良一(1907・明治40 ~ 1993・平成5)。
大阪市・東成区 生まれ。
幼少期は音頭好き。おそらく河内音頭(かわちおんど)?
幼い頃から、音楽の才能を発揮。
少年音楽隊に所属し、オーボエ、サックス、フルートなどを演奏。

1926年(昭和元)、「大阪フィルハーモニック・オーケストラ」でフルートを担当。
指揮者メッテル(ウクライナ出身のユダヤ人)から、音楽の教育指導を受ける。
同時に、「ジャズ喫茶」でピアノ演奏、サクソフォン演奏をし、編曲も行う。

1933年(昭和8)、有名歌手のディック・ミネさんの助言で、東京・人形町のダンスホール「ユニオン」のバンドに、サクソフォン奏者として加入。

1936年(昭和11)、レコード会社「日本コロンビア」の専属作曲家となる。

* * *

1937年(昭和12)、淡谷のり子(朝ドラ内では茨田りつ子・演:菊地凛子)の「別れのブルース」発表。

服部さんが、有名なソプラノ歌手であった淡谷さんに、低音でブルースを歌わせたいという希望だったそうです。
サウンドは、まさに、日本離れした シンフォニック・ジャズ・ブルース!

当時の日本各地の一般の方々の中に、米国のスウィング・ジャズや、シンフォニック・ジャズを聴いたことのある方々がどのくらいいたかは、私にはわかりません。
ただ、米国のそれらを聴いていなくても、「別れのブルース」は何かが違う、何かモダンだと感じた人は、相当にいたのかもしれません。
当時、あまりにも日本的なメロディや雰囲気の楽曲が多い中、こうした楽曲は、相当にモダンに聴こえたことでしょう。
そんなジャズのお話しは、別の回のコラムで…。

淡谷のり子
♪別れのブルース(1937・昭和12)

 

* * *

1937年(昭和12)、中野忠晴の童謡風の「山寺の和尚さん」発表。
日本のそれまでの童謡のサウンドとは、確実に違いますね。
相当にモダンな童謡?
ちなみに、山寺とは、山形県の、芭蕉でおなじみの立石寺のこと。

中野忠晴&コロムビア・ナカノ・リズム・ボーイズ
♪山寺の和尚さん(1937・昭和12)

 

* * *

1939年(昭和14)、笠置シズ子の「ラッパと娘」発表。
この楽曲のお話しは、別の回のコラムで…。

1939年(昭和14)、霧島 昇&ミス・コロンビア(松山操)の「一杯のコーヒーから」発表。
今の若い世代の方には、不思議な歌声と歌唱法だと感じるかもしれませんが、当時の世界の流行の歌唱スタイルです。
当時の、新しいものを、たくさん詰め込んだ楽曲のようにも感じます。

当初 この楽曲のタイトルは、大のビール党の服部さんにあわせて「一杯のビールから」でしたが、コーヒーに変更!
だから老若男女にヒットした? …コーヒーでよかった!

霧島 昇&ミス・コロンビア(松山操)
♪一杯のコーヒーから(1939・昭和14)

 

* * *

1940年(昭和15)、李香蘭(山口淑子)や、渡辺はま子&霧島 昇の「蘇州夜曲」発表。
まさに、一般の方々の想像の中の中国…。

渡辺はま子&霧島 昇
♪蘇州夜曲(1940・昭和15)

 

* * *

1940(昭和15)、高峰三枝子「湖畔の宿」発表。

今の80歳台以上の女性の方々に、絶大な人気曲。
男性たちは、あの「フルムーン」を思い出す…。
台詞入りの楽曲が、ブームの時代。

高峰三枝子
♪湖畔の宿(1940・昭和15)

 

* * *

1937年(昭和12)には日中戦争が始まっており、1941年(昭和16)からは太平洋戦争も始まります。
両戦争は、1945年(昭和20)8月に終戦となりました。

1947年(昭和22)、笠置シズ子の「東京ブギウギ」発表。

* * *

1949年(昭和24)、藤山一郎&奈良光枝の「青い山脈」発表。
高年齢層の方々にとって、絶対的な 青春歌謡!
まさに、戦後復興の応援曲!

藤山一郎&奈良光枝
♪青い山脈(1949・昭和24)

 

* * *

1949年(昭和24)、高峰秀子の「銀座カンカン娘」発表。

高峰秀子
♪銀座カンカン娘(1949・昭和24)

 

同名映画「銀座カンカン娘」では、笠置シズ子さんも歌唱。

 


◇世紀のうた、心のうた

今回のコラムの最後は、笠置シズ子さんの楽曲「ブギウギ時代」です。

作曲:服部良一、作詞:村雨まさを(服部良一の作詞家の際の名前)

歌詞の一部…
♪さあ なんでも かんでも
♪陽気に ゆこう
♪浮世天国 ブギウギ

♪ブギウギ時代(1948・昭和23)

 

* * *

服部良一・笠置シズ子のコンビでの、「ブギウギ」というタイトルの楽曲は、膨大な数があります。
「タイトル」のみが判明し、音源が見つかっていないものも多数あります。
連載の次回以降に、いろいろなブギウギ楽曲をご紹介します。

戦後復興期の「ブギウギ時代」を飾る、ブギウギ曲たち!

ブギウギで、さあ ニッポンを元気に!

♪東京ブギウギ、リズム ウキウキ、心 ズキズキ ワクワク♪
♪世紀のうた、心のうた、東京ブギウギ♪

KOJIMAYU(2021・令和3)
♪東京ブギウギ

 

* * *

コラム「ブギウギ時代.2」は、「ブギウギって なんやねん!」の予定です。

2024.3.23 天乃みそ汁

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