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音路59.赤と銀の影 ~ 初代ウルトラマン・前編

(The ウルトラ.4)
 


今回は、連載「The ウルトラ」の「第四回」になります。

第一回では、平成以降、現在までの「ウルトラソング」のお話しなどを書きました。
第二回では、俳優の団 時朗さんを偲んで、「帰ってきたウルトラマン」のことを書きました。
第三回は、昭和時代のヒーローや、「帰ってきたウルトラマン」以降の昭和のウルトラマンのお話しを書きました。

今回の「第四回」と、次回の「第五回」は、「初代ウルトラマン」のお話しを前編と後編で書きたいと思います。

* * *

初代「ウルトラマン」と「ウルトラセブン」は、まさに、後のウルトラヒーローたちの原点ともいっていい存在ですね。
特に初代「ウルトラマン」には、それ以降50年以上続く、ウルトラシリーズの魅力が凝縮されている気がします。

本コラムは、音楽コラムですので、ウルトラマンや怪獣たち、ドラマ製作の「特撮」内容などについては、くわしく書きません。
ただ、初代ウルトラマンも、ウルトラセブンも、ドラマ内で使用される音楽が特に優れており、個人的には、この音楽の存在がなかったら、ここまでの人気と存在感を残せたであろうかと思っています。

特に昭和30年代、40年代生まれの日本人であれば、そのウルトラ音楽を耳にしただけで、「これはウルトラマンの音楽だ」と認識できると思います。
クラシック音楽でもない、歌謡曲でもない、ジャズでもない、マンガ・アニメソングでもない、紛れもない「ウルトラマン」だけの音色とメロディだといっていい気がします。


◇円谷英二さん

ここまでのコラムの連載回で書いてきたとおり、東宝の映画「ゴジラ」などの特撮を担当されていた円谷英二さんが、東宝のチカラを借りて、特撮専門の会社である「円谷プロ」を設立したのが、1963年(昭和38)です。
今年2023年で、会社創立60周年です。

* * *

太平洋戦争(1941~45)の前から、日本では、「戦意高揚」を目的とした映画や音楽などが、たくさん作られていました。
終戦後、日本を占領する組織である「GHQ(連合国軍 最高指令官 総司令部)」の命令で、それらに従事した主要人物たちが、その職を追われます。
戦時中に「東宝」で働いていた円谷英二もそれに従事しており、東宝を離れます。

そして、彼は1948年(昭和23)に、自宅に「円谷研究所」を設立します。
1952年(昭和27)になって、彼は、やっと「東宝」に正式復帰します。
1956年(昭和31)には、「円谷特技研究所」という組織を作り、映画「鉄腕アトム」の特撮部分の仕事をされたそうです。
1963年(昭和38)になって、その研究所を法人化し、「円谷特技プロダクション(現:円谷プロダクション)」としました。

* * *

「東宝」の映画「ゴジラ」(1954・昭和29)では、もちろん 特殊技術担当として円谷英二さんの名があります。
映画監督は、本多猪四郎さん。

特殊技術による撮影を含む映画やドラマでは、本編全体をつかさどる監督と、特殊技術撮影部分を監督する方の両者が存在します。
怪獣映画やスペクタクル映画などでは、通常では目にできないような光景を特殊技術で製作し、その映像が、まさに、その映画の最大の魅力となりますので、「特撮」部分の監督は、本編の監督と並ぶほどの重要な存在といえますね。
今の時代の特撮を含む映画でも同じですね。

そうした意味で、円谷英二さんは、特撮監督を今の地位まで引き上げた先駆者といっていいと思います。
ドラマ「ウルトラマン」の中では、円谷英二さんは「監修」という肩書として表現されています。
監督やプロデュ―サーを超えた(?)存在… The 監修!


◇ウルトラQ

1963年(昭和38)に法人化された「円谷特技プロダクション(現:円谷プロダクション)」は、1966年(昭和41)、初の特撮ドラマ「ウルトラQ」(1966年1月~7月)を、TBS(東京放送)の「ウルトラシリーズ(空想特撮シリーズ)」の第一作として放送しました。

星川航空のパイロットである「万城目 淳(まんじょうめ じゅん、演:佐原健二さん)」と助手の「戸川 一平(とがわ いっぺい、演:西條康彦さん)」、 毎日新報社会部の「江戸川 由利子(えどがわ ゆりこ、演:桜井浩子さん)の三人が中心となって、数々の怪事件に挑んでいきます。
ドラマのナレーションは、俳優の 石坂浩二さん。

* * *

前回までのコラムで、この「ウルトラQ」という名称が、1964年(昭和39)の東京オリンピックでの流行語「ウルトラC」から作られた言葉だと書きました。
「ウルトラ」とは、超越した…、やりすぎ…、最強などの意味を持った言葉ですね。
ドラマ「ウルトラマン」の中では、「科学特捜隊」の隊員たちが「ウルトラマン」と命名します。
「ウルトラQ」の中では、登場人物たちが、その名称を、おそらくは使ってはいないと思います。

この「ウルトラQ」には、怪獣や怪奇生物などは登場しますが、ウルトラマンのような正義のヒーローは登場しません。
怪獣たちと、人間や自衛隊との戦いです。
アイデアの斬新さ、映像の奇抜さ、内容の神秘性や社会性に、多くの日本人が度肝を抜かれましたね。
視聴率30%超えの大ヒット番組でした。

このテーマ音楽も、忘れられない印象を残しましたね。
♪ウルトラQ

 

* * *

このドラマ「ウルトラQ」に登場する怪獣は、後のウルトラマンに登場する怪獣ほどの奇抜なデザインはありませんが、それでも、忘れることのできない怪獣もいましたね。

ここで、強烈な印象の怪獣を少しだけ…。

お金にあまりにもどん欲な人間たちが、その姿に変わる「カネゴン」です。
お金にあまりにも執着するあまり、その少年は、ある日、「カネゴン」になってしまいます。
今の時代も、「カネゴン」はそこらじゅうにいますね。
映像を少しだけ…。

 

 

ケムール人が走る 有名なシーンです。
追いかけるのは、懐かしの昭和のパトカー!

 

ここまで、カラー映像を紹介しましたが、1966年(昭和41)当時、白黒テレビの普及率は94%で、一方、カラーテレビの普及率は0.3%です。
「ウルトラQ」や「ウルトラマン」をカラー映像で記憶している人は、ほとんどいないと思います。
「ウルトラQ」の白黒映像を、部屋の電気を消して、どうぞ見てみてください。
恐怖感倍増、迫力倍増!

そして、このドラマの中で使われている音楽… どれほど恐怖感を高めていたことか!

「ウルトラQ」を飾った音楽たちです。
♪ウルトラQ楽曲

 


◇ウルトラマン

「ウルトラQ」には、「ウルトラマン」のような正義のヒーローが登場しません。
レギュラー登場の主要人物がいますが、あくまで、普通の民間人役です。

東宝の「ゴジラ」や、特撮の同僚たちが独立して作った1966年(昭和41)の「マグマ大使」、昭和初期からの「黄金バット」、1958年(昭和33)の「月光仮面」のような、絶対的な最強の存在が「ウルトラQ」の中にはいませんでした。

ここに、あの最強の「マン」が、満を持して やって来ます!
それも、あの強烈な姿で!
海外の多くのヒーローたちには、巨大化した姿が少ない気がしますが、やはり巨大怪獣と戦うには、ヒーローも巨大化しないと…。

そして、「自衛隊」ではなく、人間たちも「科学特捜隊(略して科特隊・かとくたい)」としてグレードアップ!
戦闘機の色も、ウルトラマンと同じ、赤と銀!

音楽も、強力にグレードアップ!

「ウルトラQ」に出演された女優の桜井浩子さんも、「ウルトラマン」に紅一点アイドル女性隊員として出演!

1966(昭和41)~67年放送の…
♪(初代)ウルトラマン主題歌

 


◇怪獣も、内容も、愛されウルトラ級

初代「ウルトラマン」は、子供たちが惹かれるのは もちろんですが、大人たちをも納得させる、ドラマ内容でしたね。
子供向けドラマとはいえ、さまざまな精神性や社会性をしっかり詰め込んだ、全世代を意識した社会派ドラマだった気がします。
戦闘シーンの映像が嫌いな方々でも、これなら納得したはず…。
多くの人に、愛されないはずはないと感じます。

* * *

ここからは、魅力的な怪獣と、素晴らしい内容を少しだけ…。

有名なコント回(怪獣スカイドン)

 

怪獣呼ばわり しないで!(怪獣ウー)

 

宇宙飛行士の悲劇… せつない!(怪獣ジャミラ)

 

怪獣は本当に悪者? 静かな墓地に帰りたい…(怪獣シ―ボーズ)

 

勝利は仲間たちがいてこそ!(怪獣ピグモン)

 

海岸の無数のカニが、もしバルタン星人だったら… セミだか、カニだか、エビだか… それにしても気持ち悪い笑い声!

 

「私は暴力は嫌いだ!なぜ 地球をあなたにあげますと言わない」…同じようなことを言う人間も、時々いますね。
このメフィラス星人は、その言葉どおり、「シン・ウルトラマン」で帰ってきます。

 

 

◇ガーシュウィンの「シンフォニック・ジャズ」

ここまでご紹介しました「ウルトラQ」と「ウルトラマン」の音楽を担当されたのが、宮内国郎(みやうち くにお / 1932~2006)さんです。
ジャズ畑出身の音楽家ですが、「ウルトラQ」や初代「ウルトラマン」のドラマ用音楽を作られました。

宮内さんは、1920~30年代に、米国はもちろん世界中を席捲した、米国の音楽家ジョージ・ガーシュウィン(1898~1937)の音楽に強く傾倒されたそうです。
たしかに、ウルトラマンの音楽の中には、ガーシュウィン風のメロディやサウンドを随所に感じます。
まさに、1920~30年代の米国の華やかさを象徴するようなアメリカン・サウンドが、ドラマ「ウルトラマン」の中にあるのを感じます。

* * *

もともと、ガーシュウィンの音楽は、クラシック音楽とポピュラー音楽を融合させたような自由な音楽スタイルで、純粋なクラシック音楽曲もあれば、ポピュラー音楽としてヒットしそうなジャズ系の楽曲もあります。
数々のオペラやミュージカル用の音楽も作っています。
彼の、クラシック音楽の管弦楽法を取り入れたジャズ音楽分野は、「シンフォニック・ジャズ」と呼ばれていますね。
欧州のクラシック音楽とも、ジャズ音楽とも、かなり違う雰囲気を持っています。

1920年代の米国は、第一次世界大戦後の空前の大繁栄期で、「狂騒の20年代」と呼ばれます。
ですが、1929年に「世界恐慌」に突入します。
ガーシュウィンの音楽は華麗で優雅、まさに米国の大繁栄期を象徴するサウンドそのものですね。

この楽曲の発表は1924年(大正13)。
1924年のガーシュウィン自身のピアノ演奏で、ビッグバンド用の原曲バージョンです。
♪ラプソディ・イン・ブルー

 

1976年のバーンスタイン指揮・ピアノによる、ニューヨーク・フィルの演奏で…。
一般的にイメージするクラシック音楽とは少し異なる「シンフォニック・ジャズ」の雰囲気を感じてもらえるはず…。
♪ラプソディ・イン・ブルー

 


◇ガーシュウィンの華麗なる音楽

下記は、1930年(昭和5)発表の楽曲「アイ・ガット・リズム」です。
元は、1928年(昭和3)の米国ブロードウェイ・ミュージカル「トレジャー・ガール」の音楽として作られ、1930年(昭和5)のミュージカル「ガール・クレイジー」用にテンポを速くして作り直されました。

1943年(昭和18)には同名の映画も作られました。
ジュディ・ガーランドとミッキー・ルーニーが主演。

 

今から80年前に、まさか これほどのクオリティが…

映画の中の「アイ・ガット・リズム」部分

後半部

 

* * *

1943年(昭和18)といえば、1941年(昭和16)に始まり1945年(昭和20)に終わる太平洋戦争のちょうど真ん中の時期で、戦局がアジアの広範囲に拡大し、アメリカなどの連合国軍側が巻き返し攻勢を始める時期でした。
そうした時期のアメリカ映画です。

1930年(昭和5)のミュージカル「ガール・クレイジー」をもとにして、1992年(平成4)に、ミュージカル「クレイジー・フォー・ユー」が作られます。
世界各国で上演され、現在まで何度もリバイバル公演が行われていますね。

プロモーション用映像です。

 

* * *


そんなガーシュウィン作曲の楽曲「アイ・ガット・リズム」を、さまざまな音楽スタイルで…。

作曲者のガーシュウィン自身による、1931年(昭和6)のピアノ演奏。
♪アイ・ガット・リズム

 

グレゴリー・グルツマンによるクラシック・ピアノ演奏。

♪アイ・ガット・リズム

 

やっぱり、ビッグバンドで…
ティーロ・ヴォルフ・ビッグ・バンド(2012・平成24)
♪アイ・ガット・リズム

 

* * *

このミュージカルは1920年代の華やかな米国社会を描いたものですが、魅力をつくり上げている主役は、ダンスだけでなく、ガーシュウィンの音楽ですね。
華やかなサウンドとメロディ、ノリのいいリズム、チカラ強い音楽構成力…、まさに当時の米国の大繁栄を感じさせるエンターテイメント音楽ですね。

ガーシュウィンは1937年(昭和12)に38歳の若さで亡くなりましたが、1932年(昭和7)生まれの宮内国郎さんは、少年期から、ガーシュウィンの音楽に没頭していたそうです。
特に、ガーシュウィンの生涯を描いた1945年(昭和20)の米国映画「アメリカ交響楽(RHAPSODY IN BLUE)」は夢中で見ていたそうです。


◇「こだわり」の、宮内国郎サウンド

宮内国郎さんが作った「ウルトラマン」の多くの音楽曲は、クラシック音楽でもなく、昭和歌謡でもなく、ジャズ音楽でもなく、まさに「シンフォニック・ジャズ」が底流にある、独自の音楽スタイルに感じますね。
「ウルトラQ」から「ウルトラマン」へと、音楽がさらに進化した印象を受けます。
「ウルトラQ」の音楽になくて、「ウルトラマン」の音楽にあるもの…、私は、ガーシュウィンという存在かもしれないと感じています。

ドラマ「ウルトラマン」には、「科学特捜隊」という、ある意味 軍隊のような存在が登場してきます。
日本の昭和の終戦の頃までは、いわゆる「軍歌(今は「戦時歌謡」と広く呼びます)」が大流行した時代で、クラシック音楽の「マーチ」風の音楽がたくさんありました。

宮内さんの「ウルトラマン音楽」の中には、「シンフォニック・ジャズ」に、マーチや軍歌のような要素もたくさん加えられている気がします。
ジャズ風の雰囲気を残す 華やかな米国サウンドの「シンフォニック・ジャズ」に、マーチのチカラ強さが加わり、日本の軍歌の雰囲気も感じさせます。

とにかく、それまでの日本のヒーローもののドラマ音楽にはなかった、米国風の華やかでチカラ強い音楽が「ウルトラマン」にはあった気がします。
初代「ウルトラマン」を思い出す時、そこには必ず、華やかなサウンドの音楽がある気がしますね。

初代ウルトラマン音楽の中に、あのガーシュウィンがいたのか…。
♪宮内国朗のウルトラマン音楽

 

ネット動画を見ていましたら、今の自衛隊の観閲式などの映像に、ウルトラマンの科特隊の音楽がのせてある映像を見つけました。
これほど、ピッタリくる音楽があろうかと思ったくらいです。
海外の軍隊の行進などには、ワーグナーの壮大な行進曲や序曲などがピッタリきますが、日本では、ウルトラマンの音楽なのかもしれません。

♪科特隊のテーマ曲集

 

* * *

振り返ってみれば、初代ウルトラマンの音楽は、他のウルトラヒーローとも少し異なります。
他のヒーローもののドラマにもありません。

音楽は、それぞれの国によって、その風土や文化にあわせて昇華されていきますが、ガーシュウィンの「シンフォニック・ジャズ」も、日本で「ウルトラマン」に変身したのかもしれません。
日本人は、今でも、海外の文化芸術や技術を、日本風にすぐにアレンジして、日本社会で成功させる能力を持っていますね。
初代ウルトラマンの音楽は、「ジャパニーズ・シンフォニック・ジャズ」なのかもしれませんね。

初代ウルトラマンの次に作られた「ウルトラセブン」は、華やかな雰囲気を残しつつ、がらりと音楽スタイルを変えます。
それ以降のウルトラシリーズも、それぞれに音楽スタイルを変えていきますが、一貫して引き継がれていくのは、ウルトラシリーズ独特の華やかな雰囲気を持つサウンドです。
「ウルトラマン風サウンド」… 主題歌は別にしても、ウルトラシリーズの底流でしっかり受け継がれいる気がしますね。

* * *

初期のウルトラシリーズ作品では、円谷プロの初期の創作者たちの、並々ならぬ音楽への「こだわり」を強く感じます。

音楽に関わらず、芸術作品はいつの時代も、創作者の並々ならぬ「こだわり」の中から傑作が生まれてきますね。
こだわらなくなった時点で、角のとれた創作物は、魅力を失うのかもしれませんね。

ガーシュウィンも、ウルトラマンも、その時代の既存の枠組みや流行に乗らず、「こだわり」を追求していたからこそ、後世に残る存在になったのかもしれませんね。


◇1966~67年の音楽

初代ウルトラマンが生まれたのが1966年(昭和41)で、テレビ放送は1966~67年でした。
同時期の音楽曲を、少しだけですが、今回と次回でご紹介したいと思います。
昭和のベテラン世代は、どうぞ、思い出して…。
若い世代の方々は、この時代の音楽パワーを感じてみてください。

マイク真木(1966・昭和41)
60歳台以上なら、今でも、咲いた時は、つい歌う…
♪バラが咲いた

 

森山良子(1967・昭和42)
♪この広い野原いっぱい

 

ジャッキー吉川とブルー・コメッツ(1967・昭和42)
60歳台以上なら、あの替え歌も、きっと歌える… とんかつとニンニクの歌!
♪ブルー・シャトー

 

ママス&パパス(1965年発表曲ですが、1966年に大ヒット)

どんな体型だろうと、歌手には関係ない! がんばれ…ママ!
♪夢のカリフォルニア

 

モンキーズ(1967・昭和42)
♪デイドリーム・ビリーバー

 

ドアーズ(1967・昭和42)
ロングバージョンで…
♪ハートに火をつけて

 

1967年、衝撃のギタリスト登場!
ジミ・ヘンドリックス!
1967年の楽曲を、亡くなった1970年のライブ演奏で…。
♪パープル・ヘイズ

 

1967年は、衝撃の女性シンガーも登場!
ジャニス・ジョプリン!
前述のガーシュウィン作曲の楽曲「サマータイム」が…、まさか同じ曲とは!
亡くなる前年の1969年の歌唱で…。
♪サマータイム

 


◇60年代の暗い夜に聴く音楽

1966年(昭和41)は、ビートルズが来日公演を行ないました。
1967年(昭和42)のアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」から一曲…。
♪ア・デイ・イン・ザ・ライフ

 

* * *

60年代や、70年代前半あたりまでの、日本の夜は、とても暗かった記憶があります。
それは、家庭や街の電灯が照らす明るさという意味だけではありません。
深夜帯はテレビ放送も終了し、あの「砂嵐」が…。
1967年(昭和42)は、ニッポン放送の深夜ラジオ番組「オールナイトニッポン」が放送を開始した年です。

暗がりの部屋で、街のけん騒も聞こえず、ビートルズの暗めの楽曲が心に沁みましたね。
私にとっては、下記のビートルズの三曲は、「昭和の暗い夜」に聴いた音楽曲として記憶されています。
「ウルトラQ」や「ウルトラマン」の時期は、ビートルズが登場し、あっという間に大スターになっていった時期でしたね。

♪ミッシェル(1965・昭和41)

 

♪ガール(1965・昭和41)

 

♪イエスタデイ(1965・昭和41)

 

* * *

ここで、この時代の昭和の夜の決定版の洋楽曲を…。
しみじみ暗い昭和の夜でしたが、日本の新しい朝がそこまで来ている気もしましたね…。

ムーディー・ブルース(1967・昭和42)
前後部分を入れた アルバムバージョンで…
♪サテンの夜

 


◇60年代の戦争の影

下記は、1970年(昭和45)になってからのヒット洋楽曲ではありますが、この時代の「昭和の暗くて長い夜」をしっかりイメージさせる曲ですので、あわせて…。
この曲の原題「25 or 6 to 4」を和訳すると「午前4時の25~6分前」です。
つまり、午前3時35分頃。


シカゴ
♪長い夜(25 or 6 to 4)

 

* * *

ロックバンドの「シカゴ」には、「67」と「68」を歌った曲もありますね。
この数字の意味は何でしょう…?

1954年(昭和29)頃から始まったベトナム戦争は、1966年(昭和41)頃には、アメリカ軍のあまりの苦戦に、勝利に疑問符がつくようになってきます。
1967~68年は激しい戦闘が起きていた時期で、この戦争に対する米国民の支持が下がり始めた頃です。
この戦争は、1975年(昭和50)まで続く、米国側陣営と、ソ連・中国の共産陣営が対決するという長期間の代理戦争でしたね。
ソ連(今のロシア)と中国の関係性も複雑でした。

つい先般、アフリカのスーダンでも戦闘が勃発しましたが、気をつけないと代理戦争化する可能性も感じます。
ウクライナはすでにそうですが、世界で同時多発的に同じようなことが、もし起きてしまったら…。
アフリカは、いつか大国どうしの代理戦争の戦場になる可能性も秘めていますね。

* * *

ベトナム戦争中の1968年に、米国のロックバンドの「シカゴ」は、そのバンド名に改名し、本格スタートします。
政治的な内容の楽曲も多く、民主党支持派の代表格バンドでした。
1968年8月29日の米国民主党大会の日に、反戦運動のデモ隊を警察部隊が武力鎮圧しましたが、シカゴは、それを「流血の日」という楽曲にしました。
当時の米国では、反戦の楽曲や、戦争に疑問を感じる歌詞内容の楽曲などを、多くのミュージシャンが作っていましたね。

下記のシカゴの楽曲が、恋愛の歌なのか、戦争に関する歌なのかは、あなたの判断次第だと思います。
「67」と「68」とは、何のことでしょう…?

日本にウルトラマンが生まれてきた時代は、今のウクライナのような遠い地ではなく、日本の近くのアジアで、実際に大規模な代理戦争が起きていた時代でしたね。
今も、地球のどこかでは、「暗い夜」が続いています…。

シカゴ(1969・昭和44)
♪クエスチョンズ67/68(Questions 67 and 68)

 

下記二つの演奏は、2002年です。
もちろん この時期は、中心メンバーだった、テリー・キャスも、ピーター・セテラもいません。

♪クエスチョンズ67/68

 

♪長い夜

 

日本人は、昔からホーン楽器が大好きな民族ですね。
シカゴなどの「ブラスロック」バンドは、これ以降、日本でも大人気でしたね。

度重なるメンバーチェンジはあったものの、まさか55年も経た今日でも、活動を活発に行っているとは大したものです。
芸歴は、ウルトラマンとほぼ同じ!
ともあれ、古い名曲たちが今も演奏されていることは、何より うれしい!


◇青くゆらめく、赤と銀の影

最後は、1967年(昭和42)の世界的大ヒットの名曲を…。

1300年代のイングランドの詩人チョーサーの名や、彼が聞いた「粉屋の話し」、そしてローマ帝国時代の「ウェスタの女性たち」のお話しが登場してくる、神秘的な曲ですね。
顔色が青ざめていくのは、そこに彼女たちの暗い影があるからなのかも…。
なかなかの邦題「青い影」ですね。

プロコル・ハルム(1967・昭和42)
♪青い影(A Whiter Shade Of Pale)

 

膨大な数のカバー演奏がありますが、2000年(平成12)のサラ・ブライトマンのカバーを…。
♪青い影

 

次回コラムも、ちょっとゾクゾクしながら、初代ウルトラマンの、赤と銀の影を追います。

* * *

2023.4.22 天乃みそ汁

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