卒業ソング、想い出がいっぱい、未来へ、人生の階段、白線流し、卒業式、卒園式、徳永英明、kiroro、May J.、合唱曲、岐阜県 高山市、長野県 松本市、昭和歌謡。歌謡曲。

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歴音23.幸せは踊り場にある(卒業.1)



今回のコラムは、卒業シーズンにあわせ、昨年のコラムに加筆修正するかたちで、三連続の「卒業コラム」を掲載させていただきます。

「卒業.1」は「幸せは踊り場にある」
「卒業.2」は「変わらないもの」
「卒業.3」は「私と小鳥と卒業と~桜があなたを待っている」


◇卒業は「踊り場」

人生は、さまざま経験の連続… 途切れることのない水の流れのよう。
私たちは、波路を進む、上下左右に大きく揺られる、ささやかな小船。
大きな湖に突如 放り出されることもあります。

波風のない静かな湖面もあれば、大波 大渦 暴風雨の湖面もあります。
満ち足りた魚水槽で眠る魚たちのようにはいきません。

囲われた湖で一生を過ごすのか、さらに大きな海を目指して、川を下るのか…。

湖面に映る自身の顔は、どのような表情をしていますか?

「卒業」…それは、何かを自身の中で決めるとき!
大きな、人生の節目!
波風の中を出航するとき!

外部からの作用での強制的な「卒業」もあれば、自身の意思で、それまでの活動を止め、新たな出発をする時にも、「卒業」という言葉を使う人が少なくありません。

それは、「卒業」が、ものごとの終わりの意味だけでなく、自身の未来への出発点にもなるからですね。

まさに、連続して続く、長い「人生の階段」の途中にある「踊り場」が、この「卒業」なのかもしれません。

* * *

今回のコラムは、そんな「踊り場」で一息ついたつもりで、少し懐かしい楽曲を聴いてみたいと思います。

親である方は、子供たちとともに…、そうでない方は、自身の「踊り場」にあった、美しい「卒業の想い出」を、どうぞ思い出してみてください。

輝く「踊り場」で踊った、幸せな あのときを…。


◇卒業シーズン到来

さ~て! 今年も、卒園や卒業の季節がやってきました。

日本の卒業シーズンは、なんといっても 3月!
地域によっては、桜の咲く3月ですね。

ちょうど、それをむかえた方…、
親としてわが子の卒業を見届けた方…、
数年前に行い、なつかしく思い出される方…、
はるか遠い記憶の中で 美しい想い出となっている方…、
戦時中で式典はできなかったが、苦労を共にした仲間たちの顔を思い出すという方…

など、さまざまな方々が おられることと思います。

* * *

ちなみに、アメリカや英国、中国の一部や台湾など海外の卒業シーズンは、5月から6月が比較的 多いですね。
お隣の韓国は2月卒業で、3月入学が中心のようです。

卒業や入学の時期は、その国の文化や歴史が大きく反映していますので、それぞれの国が判断することだと思います。
個人的には季節感や花も重要な要素だと思っています。
日本は、企業も3月決算が圧倒的に多いので、就職とも深くつながっていますね。

* * *

数年前に、日本に「9月入学」を導入するという一部の動きがありましたが、日本の二千年あまりの歴史や文化風習を変えることになってしまいます。
4月の集団就職のような日本の就職システムや、8割の企業の会計年度まで変更させるというのでしょうか…。

日本の古くからの「暦(こよみ)」では、一年間は、2月の「節分」の次の日の「立春」から始まります。
季節感としての「春」は、3月の「春分の日(春の期間の中間日)」あたりに、強く実感するようになりますね。

温暖化の今では、ちょうど桜の「ソメイヨシノ」が本州あたりで咲き始める時期です。
卒業式がピークを超え、入学の準備を始める時期ですね。
暖かくなってきた春の桜のもと、卒業という「けじめ」をつけ、気分一新、また新しい生活が始まるのです。

今年2024年の「春分の日」は3月20日です。
みんなで「牡丹餅(ぼたもち)」食べなくちゃ!
いかん!もうすぐじゃ!
餅を食べるために、今のうちに、体重を落としておかんと!
体重も一新せな!

* * *

…話を戻します。
日本での「9月入学」について…。

海外からの留学制度や、中途入学など、学業の始まりが いつでも自由に行えるようにさえなっていれば、今の日本の入学や卒業の時期の大幅変更を、これまでの歴史や文化に逆らってまで行うものでもない気がします。
無理に海外諸国に合わせる必要は、まったくないと思います。
日本独自色である「桜色」のままでよいと、私は思います。
政争や勢力争いの具にしてはいけません。

一部の方々…あれから ずいぶん静かになりましたが、誰かに諭(さと)された…?
そりゃ、先生方も、みんな 怒るで!
情緒・叙情が大好きな日本人が、はかない命の「桜の花」を見なくて、卒業や入学・入社ができるか!


◇卒業シーズンは、忙し 忙し!

卒業式や関連イベントを、大々的に行う慣習の国もあれば、何もしない国もあります。

日本は、幼稚園や保育園の卒園、小学校の卒業、中学校の卒業、高校の卒業、大学の卒業、定年退職、謝恩会、送別会など、ねぎらいやお祝い、感謝の気持ちをしっかり表現する行事を、きっちり行う国ですね。

日本人は、「卒業式」「入学式」「送別会」「謝恩会」「歓迎会」などをしないなど、到底 考えもしませんね。
いろいろ「けじめ」が大好きな日本民族!

「けじめ」があると、世の中、何かと上手く回りやすい…、もめにくい…。
だらだらやっていては、子供たちの教育にも…。
個人的には、責任感やけじめのある「日本」でよかったと感じています。
人の誠実さや勤勉さは、ひょっとしたら「けじめ」から生まれる…?

とはいえ、日本は、学校の卒業から、次の入学までのお休み期間が、ショート!短い!
もう少し長く、「卒業」を味わいたいかな…。
急いで、卒業旅行、テーマパーク巡りしなくちゃ!

祖父母も、卒業祝い・入学祝い・梅や桜のお花見・お釈迦様の「花まつり」…忙し、忙し!
今年の4月は、商品やサービスの大幅料金アップ!
「新入社員になるお兄ちゃんは、自分でスーツ買いな!」
「孫のランドセルは、前年の夏には買ってあるよん!」

忙し、忙し… 新年度!


◇かつての卒園の定番曲

さて、世の中には、数えきれないほどの「卒業ソング」が存在しますね。

卒業式の日や、特定の卒業場面を描いた内容の楽曲から、その歌詞の内容から「卒業」と強く結びついて、まさに「卒業ソング」として愛されている楽曲など、列挙したらキリがありません。

皆さんも、それぞれに、「誰が何と言おうと、私の卒業ソングはこの曲…」という楽曲をお持ちではないですか…。

今回は、多くの卒業ソングの中から、ごく一部をご紹介したいと思います。

まずは、日本の独自色がいっぱいの、幼稚園や保育園の卒園ソング!

* * *

1980年頃から2000年代初めの頃まで、下記の曲は、幼稚園、保育園では、まさに定番曲でした。
もちろん、今でも歌われている幼稚園や保育園は多いと思います。
式に参列した親御さん方は、この楽曲が聴こえてきた瞬間に、涙腺が崩壊しますね。
「まいったな~、この曲だと 涙腺崩壊!涙の洪水!」

私は、仕事上、立場上、卒園式や卒業式の現場に、かつて数えきれないほど立ち合いましたが、2000年頃からは、母親だけでなく、父親が卒園式や卒業式に参列することが急激に増え、男泣きする父親が続出してきました。

普段から、ちょっと強面(こわもて)のお父さんほど涙腺が崩壊しやすいのは事実ですね。
そこまで号泣しなくても… という、会話不可能になるお父さんもめずらしくありませんでした。
「うちの子ぎゃ、たいひぇん…おおおおせわに…ありぎゃあああ…」…こちらは笑いをこらえるのに必死!
オヤジたちの卒園式の涙…傍から見ていると、ちょっと笑… でも、実にいい!

泣き顔を見られるのが嫌で その場から立ち去るお父さん…、
涙を我慢するため、急に沈黙し、おかしな変顔になるお父さん…、
家族が寝静まってから卒業式のビデオ映像をひとりで見ながら号泣するお父さん…、
父親たちだけで居酒屋に集合して「号泣する会」を開く お父さんグループ…、
などなど、見たり聞いたりするだけで顔が緩むような話しに、たくさん触れたものです。

母親や祖父母という立場になると、平気で、卒業する本人の前や式典でも泣くこともできるのでしょうが、まだまだ 2000年頃の時代までは、父親は人前、ましてわが子の前で泣き顔など見せられないという男性が少なくありませんでした。
今は、どうなのでしょうね…?

「そんなこと、知らねえよ」とお父さんが答えたら、それは、どこかで号泣している証しです。
お母さんは、お父さんのそんな裏の素顔を、そっと わが子に伝えておいてください。

かつての、定番曲です。
自分で歌った方…、わが子の歌声で聴いた方…、これらの曲を憶えていますか…。
ここで、また 泣かないでください!


♪思い出のアルバム

 

♪さよなら ぼくたちの ようちえん(ほいくえん)

 

小学校での、かつての卒業の定番曲

♪今日の日は、さようなら

 


◇だいじょうぶ!

幼稚園や保育園の卒園式というのは、小学校の卒業式とも違う、いつもの園の日常とも違う、独特の雰囲気がありますね。

なにより、子供たちが、見違えるように立派に見えます。
ママやパパは、いろいろな思い出や感慨が、自身の中にわき上がってきますね。

子供たちにとっても…、もちろん かつて子供だったあなたにも…、生涯で一日しかない日です。
いったい何でしょう… その日の、その時間の、感動空間!

大人になって、自身の卒園式の記憶を思い出せない方もいるかもしれませんが、脳のどこかには、しっかり記憶されているはずです。

わが子の卒園式を見ながら、自分の時も、きっと こうであったのだろうと思う方も少なくありません。

だいじょうぶ!
あなたが、いろいろ乗り越えながら大人になれたように、あなたの子も、しっかりあなたの後を追ってきますよ!

* * *

涙を流した子供たち…、ママたち…、パパたち… だいじょうぶ!
そして、保育園・幼稚園の若い先生たちも… だいじょうぶ!
これからも 乗り越えていけるよ!

 

wacci 〔ワッチ〕
♪大丈夫(2015・平成27)

 

大人のあなたは、今でも、子供の頃の「全力少年」のままですか?
全力で走っていますか? 走れますか?

 

スキマスイッチ
♪全力少年(2005・平成17)

 


◇奇跡の静寂!

私が、90年代の「卒園ソング」として、まず思い出すのは、1998年(平成10)に「キロロ」が歌った楽曲「未来へ」です。

この楽曲の発表の後、世の中の幼稚園や保育園の卒園式では、この歌がとてつもないブームになりました。

この楽曲は、当時、園の先生方が子供たちに贈る曲として歌われることも非常に多く、先生方が泣きながら歌うシーンを、私はどれだけ見たことでしょうか。

* * *

この楽曲の歌詞は、母親の心情や願いが、めいっぱい込められており、多くの母親たちが、その歌詞から、自身の子育ての苦労や、わが子と過ごした これまでの出来事を思い出すのです。
今でこそ、子育てをする父親は増えましたが、この歌詞は、まさにママ目線の歌詞です。

数年前まで あれほど幼かったわが子の「成長」に、突然気づかされた時の驚きと、うれしさ、さみしさ…さまざまな母親の感情が混ざり合った歌詞内容です。

この歌詞の最後は、まだまだ幼さの残るわが子に向かって、「これからも一緒に、ゆっくりと歩いていこう」とやさしく語りかけます。
まさに、親子がこれから歩む道を実感するのです。

当時の卒園式では、この歌で、ほぼ全員のママたちが涙していました。
そして歌が終わった瞬間、声にならない、涙の沈黙の瞬間が起こります。
涙と感動が、全員の声をふさいでしまう瞬間です。
まさに、奇跡の静寂の一瞬!

そして、気を取り直した司会者が、進行を始めるのです。

私は第三者として、こうした場に何度もいて、この楽曲の絶大な「底ヂカラ」を毎回 実感しました。

* * *

人は、大人になるにつれ、自身の足元を見ることをしなくなりますね。
この曲は、子供たちだけでなく、大人に向けたメッセージでもある気がします。
たまには、大人も、自身の足元を見なくちゃ!

やさしいママ目線の、歴史に残る すごい楽曲だと思います。

kiroro(キロロ)
♪未来へ(1998・平成10)

 


◇あの時の翼

今は、幼稚園や保育園、小学校ごとに、独自のオリジナル「卒園卒業ソング」を制作することもありますね。
音楽に精通した先生や、保護者の中には音楽家もいます。
プロの音楽家や制作会社に作詞作曲を依頼するケースもあります。
その学校だけではもったいないような、なかなかの楽曲も増えてきましたね。
次回コラム「卒園.2」で、そうした中から生まれた巨大ヒット曲のことを書きます。

♪ありがとうの歌

 

今は、日本各地で、新しい「卒園卒業ソング」が続々と誕生しています。
卒園や卒業が、何かの想いを強く感じる、歌が生まれやすい、人生の節目であるのは間違いありませんね。
まさに、筍(タケノコ)のように続々と生まれ続ける 卒業ソング!

 

♪ありがとう こころをこめて

 

今や、卒業する6年生だけではありません。
10歳は、小学校でいえば、4年生か5年生です。
入学はずいぶん前のこと、卒業も まだちょっと先…小学生生活を大満喫!

 

♪10才のありがとう

 

* * *

終戦から四半世紀、昭和の時代に、日本中の小学校で歌われ始めた楽曲がありますね。
まさに戦後昭和歌謡の卒業ソング!
卒業式で歌う学校も多かったですね。

 

赤い鳥
♪翼をください(1971・昭和46)

 

この楽曲は、2022年(令和4)の映画「耳をすませば」の主題歌にも使われましたね。
80年代のマンガから、90年代のジブリアニメへ、そして2022年に心機一転の実写版映画!


杏(あん)
♪翼をください

 

今も昔も… 子供たちは、悲しみのない自由な空に羽ばたきたい!

大人のみなさま…
あの時の「翼」は いま…?


◇学校を卒業してからも…

ここからは、懐かしくも、少し切ない昭和の「卒業ソング」を…。

「卒業」が、新たな人生の出発を意味するのは間違いありませんね。

学生から社会人へ旅立った先には、守ってくれる先生、導いてくれる先生がいるとは限りません。
学生たちには想像することもできない、自身の知らない「大人の世界」が待っていますね。

予期しない出会いや別れ、想像もしていなかったような出来事が起こります。
味方もできれば、敵も ライバルもあらわれます。
卒業後は、迷いながらも、自身のチカラで、道を切り拓いていくしかありませんね。

自身を奮い立たせてくれる…、応援してくれる…、守ってくれる… そんな音楽曲を持ってね!

* * *

当時のアイドルの中でも頭抜けた歌唱力、これも素晴らしい楽曲でした。
もう少し長く歌声を聴きたかったのですが…大波乱!
でも見事にキャリア復活! 人生は、たて直せる!
倉田まり子
♪グラジュエイション(卒業)(1979・昭和54)

 

人は、「戦い」を かんたんには卒業できない…。
反骨の孤独なロックスターは…。
尾崎豊
♪卒業(1985・昭和60)

 

当時の女子高生たちの大人気曲!
斉藤由貴
♪卒業(1985・昭和60)

 

中島みゆき 作詞作曲の楽曲。
さすが、みゆきさんの「卒業ソングなのに」の歌詞!
柏原芳恵
♪春なのに(1983・昭和58)

 

作詞:松本隆、作曲:呉田軽穂(松任谷由実)、編曲:松任谷正隆
1982年(昭和57)の楽曲。
下記は、卒業してから◎年後の、昔と変わらない 聖子ちゃん…。
松田聖子・松任谷正隆(ピアノ)・武部聡志(ピアノ)
♪制服(1982・昭和57)

 

いつまでもキラキラ… 徳永ワールド!
徳永英明
♪道標(1990・平成2)

 

矢沢永吉さんは、1994年(平成6)に、テレビドラマ「アリよ さらば」で、まさかの先生役!
担任の先生が、この御方だったら、あなた どうします…。
ステージ前の、にこやかな「世界の yazawa」…ステキ!
「そこのアリたち…俺についてこい!」
♪アリよ さらば(1994・平成6)

 

80~90年代は、セーラー服の、ど根性 女性アイドルたちが大活躍!
Qlair(クレア)
♪さよならのチャイム(1992・平成4)

 

上記の彼女たちのグループ名「クレア」は、この楽曲名から…。
「いい娘だから、そこで、ちょっとおとなしく、そのままでいて…すぐに成長して大人になって離れてしまうのだから」…そんな歌かも。
ギルバート・オサリバン
♪クレア(1972・昭和47)

 


◇生き続ける思い

ここからは、2000年以降の印象的な「卒業ソング」を少しだけご紹介します。
タイトルに「桜」「さくら」の文字が入っている楽曲は、「卒業.3」のコラムでご紹介します。

愛おしい学び舎…。
「旅立ち」って ちょっと不安… でも歩み始めるの。
川嶋あい
♪旅立ちの日に(2006・平成18)

 

姉と妹の同じ日のそれぞれの旅立ち…。
レミオロメン
♪3月9日(2004・平成16)

 

拝啓、この手紙を読んでいるあなたに…
アンジェラ・アキ
♪手紙~拝啓 十五の君へ(2008・平成20)

 

彼らが踊っただけで、あたりまえの体育館が、光輝く…。
EXILE(エグザイル)
♪道(2007・平成19)

 

サヨナラは悲しい言葉じゃないよ。それはね…。
いきものがかり
♪エール(2009・平成21)



◇白線流し

昭和の初期に、岐阜県 高山市の「旧制・斐太(ひだ)中学校」(今の斐太高等学校)で起きた ある出来事をきっかけに、それが変化し、男女共学の新制高校になってからは、卒業式の後に、男子卒業生は学生帽の白線を、女子卒業生はセーラー服のスカーフを川に流す恒例行事になったそうです。
流した後は、もちろん 下流で回収。

いいな~!これは 忘れられない思い出になりますね!
キラキラ輝いてます… 高校生たち!

今年2024年(令和6)のテレビニュース

 

昭和初期の「旧制・斐太(ひだ)中学校」の時代に、授業ボイコットで退学になり、卒業が叶わなかった大正時代生まれの男子生徒たち…なかなかの骨太根性!
それにしても、いったい、どうしてボイコットしたのか!?
大正デモクラシーか!?
彼らの「心のひだ」も知りたい…。

* * *

昭和の中頃から、テレビで、この行事「白線流し」をテーマにした青春ドラマがいくつか作られました。

下記は、1996年(平成8)のテレビドラマ「白線流し」のシリーズ後継ドラマ「白線流し・二十五歳」(2003)のオープニング映像です。

このドラマは、岐阜県のお隣の長野県の松本市にある、甲子園の高校野球でおなじみの松商学園(ドラマ内では松本北高校)が舞台でした。

ドラマの主題歌は、 スピッツの楽曲「空も飛べるはず」(1994・平成6)。

白線流しで、涙腺流し!

 

 


◇想い出がいっぱい

さて、80年代の卒業シーズンによく歌われた一曲をご紹介します。

1983年(昭和58)、H2O(エイチ・ツー・オー)が歌った大ヒット曲「想い出がいっぱい」です。
当時のヒットテレビアニメ「みゆき」のエンディング曲でした。

当時から、今現在まで、テレビCMでも断続的に使用される「黄金曲」のひとつでもあります。
数年前に、この楽曲をBGMにして、ある男性俳優が「大人の階段のぼる」と歌いながら車に乗り込むという、保険会社のテレビCMがありましたが、私は笑いながら見ていました。
ここで「大人の階段」と聞かされるとは…。
ようするに、この曲の世代が保険商品のターゲット…。

今でもテレビCMに時折 使われるくらい、強烈な印象を残した楽曲でした。

* * *

この曲の大ヒットの要因は、すばらしいメロディはもちろんですが、阿木燿子(あき ようこ)さんによる、ロマンチックでキラキラ輝く詩の世界でした。

古いアルバムの中に隠れて…
キラリ木洩れ陽のような…
無邪気な笑顔の下の…
大人の階段…
ガラスの階段…
君はまだシンデレラ…
恋を夢みる頃…
幸せは誰かがきっと運んでくれる…

まさに、夢見る女子学生の世界が炸裂したような歌詞フレーズ満載です。
ある意味、男子学生でも抱いているような想いかもしれません。
この頃から、「思い出」と「想い出」が使い分けられるようになった気がします。

* * *

私は長野県の出身なのですが、作詞した阿木燿子さん(正確には長野市出生・横浜市出身)も、歌ったH2O(エイチ・ツー・オー)の二人組も長野県の生まれですので、とても愛着を感じた楽曲です。

H2O(エイチ・ツー・オー)は、長野県上田市で結成された男性デュオでしたが、私は当時、この楽曲を、信州(長野県)の「美しい想い出の雫(しずく)」のように感じました。

今の時代も、生誕の地である地方都市で結成され、後に、全国規模の人気歌手グループになるというケースがないわけではありません。
まだまだ きっと、どこかに美しい雫たちが眠っているに違いありませんね。
彼らに、「誰かが幸せを運んで来てくれる」ことを祈っています。

* * *

さて、この楽曲ですが、私は、これほどキラキラ輝く「乙女心(おとめごころ)」を歌った歌詞は、その当時までの他の歌謡曲で、あまり感じたことがなかった気がします。
阿木燿子さんの、独特の詩の世界が、「乙女心」をより輝かせました。

今現代の女子学生たちにも、このような純粋な「夢見心地(ゆめみごこち)」の感情があるのかどうか…。
歳をとった私には、夢見心地を、もはや想像もできません。

今の若い世代の女性たちには、この歌の歌詞がどのように聴こえているのでしょうか…。
もう、「シンデレラ」は信じられていないのでしょうか…。
シンデレラは、千葉県の浦安にしかいないわけではありません。
日本中の各学校に、各クラスに、各家庭にいるはず…。

世の家庭のお父さんたちは、自身の娘のことを、外で、「うちのシンデレラ」とかよく表現します。
でも、時には、つれない「かぐや姫」…。
ずっと家にいてくれて いいけれど、その日まで、パパには つれなくしないで…。

* * *

私は、「卒業」という感覚を、ほぼ忘れてしまうような年齢になりましたが、青春期が何か輝いていたこと…、何かに燃えていたこと…、未来を頭の中に想い描いていたことだけは、何十年も経った「人生の階段」を下る年齢になった今でも、しっかり憶えています。

私は、この楽曲を聴くと、今でも、「人生の階段」を強く意識するのです。
階段を登っている時期に聴いていたこの曲…、階段を下る時期に聴くこの曲…。

歳をとった私の場合は、歌詞の中にある「ガラスの階段下りる」、「踊り場で時計を気にする」は昔とは別の意味になりました。
どうか、もうしばらく割れませんように…、あとどのくらい時間が残っているのかな…。

青春という「青い春」があるのなら、「青い秋」や「青い冬」もあってほしい…。

私にとって、振り向いたら「青い春」は、かなり昔の出来事ですが、よくよく考えてみたら、目の前には、毎年、新しい春がやって来てくれていました!

春になると、踊りだしたくなるような、ウキウキした気持ちになるのは、昔の「踊り場」と「卒業」を、身体が勝手に思い出しているのかもしれません。

この楽曲が、学校の「卒業ソング」のひとつであっただけでなく、人生の階段の「踊り場」を感じさせる楽曲であったのは確かですね!

ここは、階段をしっかり登っているシンデレラのカバー歌唱で…。

May J.(メイ・ジェイ)
♪想い出がいっぱい

 


◇幸せは、階段の「踊り場」にある

企業「再春館製薬」の宣伝用映像「母とのぼる階段」です。

 

春の陽ざしの中、今日も、どこかで卒園式や卒業式が行われているのでしょうか…。

笑顔と涙声で、人生の階段の「踊り場」の時を過ごしている親子が、たくさんいることでしょう。

卒業シーズンの今、これまでの、あなたの「踊り場」を どうぞ思い出してみてください。

あなたの「踊り場」は、いくつありましたか…。
あなたの「踊り場」は、想い出の中で輝いていますか…。
あなたの「踊り場」は、これからも、きっとあります。

♪幸せは誰かがきっと運んでくれる…、私は死ぬまで、そんな少年なのかもしれません。
そんな受け身でも、いいような気もしてきました。

人生の階段は、登るにしても、下るにしても、無理せず、一歩ずつ…。

人の「幸せ」は、きっと、階段の「踊り場」にあります。

* * *

信州(長野県)の「美しい想い出の雫(しずく)」のような楽曲を、長野県松本市の合唱団で…。
それぞれの合唱団員が頭に思い描く「想い出」は、みな異なるはず…。
ですが、それはきっと、みな、「美しい雫(しずく)」であるはず…。

♪想い出がいっぱい

 


◇さあ、ドアを開けて…

人生の階段を登り始めたばかりの、卒園生、卒業生の皆さんへ…

今、あなたの「踊り場」はキラキラ輝いていますか…。
明かりのない、薄暗い踊り場ですか…。
でも、だいじょうぶ!
これからも、たくさんの「踊り場」がやって来ますよ。

* * *

人は、歳を重ねると、自身の幸せをあまり願わなくなります。
家族や他人、世の中に、それを願うようになります。

階段のずっと先で、家族はもちろん、大勢の大人たちが、あなたたち卒業生が登ってくるのを待っていますよ。

みんな…、ゆっくり登っておいで!

階段を登った、ドアの先に、あなたの未来が必ずありますよ!

徳永英明
♪輝きながら(1987・昭和62)

 

「卒業.2」に続く。

2024.3.16 天乃みそ汁

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