イタリアのバンド「イ・プー」。ピエール。LGBT。セクシャルマイノリティ。マスクの下の表情。くまのプーさん。ロビー・ファッキネッティ(Roby Facchinetti)さん。Rinascerò rinascerai。イエス・キリストとペトロ。

 

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各コラムで紹介した曲目リストは、「目次」で…

  

あの曲や動画はどこ… 音楽家別作品

 

*今後の予定曲

 

音路(7)マスクの下のあなた ~ プーさん ブラーボ!

 


◇表情を見たい

今のコロナ禍、日本の場合、ほとんどの方は外出時や勤務中にマスクを着用しているのだろうと思います。

コロナ禍以前から、風邪やインフルエンザなどの際でも、マスクをしっかり着用するのが日本人ですね。
それは自分のためというより、誰かのため、社会のためですね。
「公共心(こうきょうしん)」が、今でもしっかり社会に根づいています。

* * *

コロナ禍初期の頃、テレビ番組などでは、出演者が、顔が半分見えなくなってしまうくらいの大きな白いマスクを着用していましたが、最近は、透明のフェイスシールドを使用し、顔の表情がしっかりテレビ画面で見ることができるようになってきました。
さらには、マスクを着用しなくてもいいように、出演者を透明のアクリル板で仕切ることもしています。

街の商店や受付などでも、フェイスシールドや、透明のプラスチックマスクが増えてきましたね。

いずれにしても、透明のフェイスシールドなどは、相手の表情がしっかりわかります。
この安心感は、マスクでは、到底およびません。

相手の表情が見えることが、どれほど安心感につながるのか、伝え合うのに絶大なチカラがあるのか、最近、実感します。

* * *

さて、モニター画面で顔を見ながら会話するのと、電話だけで話すのとでは、やはり情報量に差がありますね。
電話やメールの場合は、表情がない分、想像力を働かさなくてはなりません。
あるいは、その欠落した情報部分を埋めるような言葉や内容を、駆使しなければなりません。

今回 取り上げる楽曲は、人間どうしの理解や、マスク(仮面)の下の素顔のことを歌った名曲です。


◇ピエール

その楽曲とは、イタリアのロックバンド「イ・プー」の名曲「ピエール」です。

「イ・プー」は、1966年に結成されたバンドで、2016年に50周年をむかえ、活動を停止したそうです。
この「プー」とは、黄色のクマのキャラクターの「くまのプーさん」のことです。

「ウィキペディア」にどのように書かれているのか見てみましたら、「イタリアン・ポップス史上最高のバンド」と書かれていました。
たしかに、私にとっても、イタリアのポップスのミュージシャンと聞いて、まず思い出すのが、このバンドです。
活動期間の長さもさることながら、イタリアの雰囲気いっぱいの名曲ぞろいです。
日本にも、結構「隠れファン」が多い気がします。

名曲ぞろいの中から、特別なこの一曲のことを書きます。

* * *

まず、「ピエール(Pierre)」とは、フランス語圏の男性で使われる名前です。
新約聖書の使徒の「ペトロ」に由来するそうです。

ペトロは、イエス・キリストの弟子たちのリーダー的な存在でしたね。
イタリアの「バチカン市国」にある「サン・ピエトロ大聖堂」の、あのペトロです。

英語のピーター、イタリア語のピエトロ、スペイン語・ポルトガル語のペドロ、ドイツ語のペーター、ハンガリー語のペーテル、ポーランド語・ロシア語のピョートルも、同じ仲間のようです。

この曲はイタリア語の歌です。
「M Naomi」さんが、日本語に翻訳されていますので、よろしければ下記をご覧ください。

「M Naomi」さんの和訳ページ


◇LGBT

ここでは、その歌詞内容の概要を書きます。

子供の頃、仲の良かった二人の男の子がいました。
ただ、ひとりは、その頃から相手に何か違和感を抱いていたのです。
そして子供特有の「からかい」がありました。
そのひとりは、今でいう「LGBT」、性的少数者 (セクシャル・マイノリティ) だったのです。

「LGBT」とは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、それぞれの頭文字をとった名称で、セクシャル・マイノリティの総称です。

いつしか二人は離れ、成長し、いい歳の大人になります。
そして、「LGBT」でない男性が、ある時、あるパーティ会場で、ある女性に目が止まります。
「あれ…」。

その女性は、目を伏せ、逃げるように立ち去るのです。
男性は、その時は半信半疑でいましたが、いくら女装し化粧していても、彼女(彼)が、あの子供時代の友人だと後で気づくのです。

歌詞には、次のような内容があります。
「すぐに気がついてあげらなかったことを許して…」。
「男性という外見に屈していないよね…」。
「私は、もうすっかり大人となったよ。(あの頃の未熟で無知な子供ではない)」。
「君のことを誇りに思うよ。君は、そのままの君でいいんだよ。君ならだいじょうぶだよね」。

そういう歌詞内容です。


◇プーさんだけの世界

この楽曲「ピエール」は、1976年の「プー・ラバー」というアルバムに入っています。

当時、私は、歌詞の内容を知りませんでしたが、その美しいメロディに酔っていました。
すでに1976年に、こうした歌詞が書かれていて、この曲は世界中で人気だったのです。

* * *

イ・プーは、この当時、日本では、なぜか、ピンク・フロイドやイエスなどの「プログレッシブ・ロック」の範疇(はんちゅう)に入っていました。
たしかに、当時の「プログレ人気」はすさまじく、それに便乗する戦略もよくわかります。

でも、いずれ、その偽りの外見(ビジネス戦略)は、彼らによって打ち破られましたね。
イ・プーは、まぎれもなく、プログレとは違う「イ・プー」だけの音楽だと感じます。
イタリアはもちろん、日本でも、世界中でも大人気になりました。

近年の日本のラジオ放送などでは、その名曲たちが紹介されることは、まずありません。
これだけ世界的なバンドで、名曲ぞろいなのに…残念です。

後で、その中心的メンバーの、ロビー・ファッキネッティさんのことも書きます。

* * *

下記は、イ・プーの、当時の「ピエール」の楽曲です。

♪ピエール【公式】


◇ピエールはどこに…

実は、前述した歌詞内容にあわせたドラマ仕立ての、秀逸な「音楽ドラマ動画」があります。
いつ頃 制作されたのかは知りません。
下記がそれです。
より、歌詞内容をイメージできると思います。

♪ピエールのドラマ【公式】


このドラマは、歌詞にあったような、子供の頃に友人どうしだった二人の人物が、大人になってからの再会の物語です。

LGBTではない男性は、黒のスーツをきっちり着こなす典型的なサラリーマンになっていました。

LGBTのほうの男性は、大人になって、女性の姿で、女性の写真を撮る仕事をしているのです。
ようするに女性写真家です。

ただ、あのイタリアの男性の若者でさえ、彼女(彼)には声をかけません。
おそらく、彼らは、わかっているのだろうと思います。
彼女(彼)は、その若者たちを、チラッとにらみつけ、通り過ぎます。。

そして、「LGBT」でない男性が、ある時、あるパーティ会場で、ある女性に目が止まります。
「あれ…」。
その女性は、目を伏せ、逃げるように立ち去るのです。

男性は、「あれっ」と思いながらも半信半疑です。
男性は自宅に戻り、昔の写真を探し出し、よくよくながめます。
そして、子供の頃の友人の彼だと確信します。

男性は、彼女(彼)がどんなに女性の化粧をしていようと、彼だと感じたのです。
そして、彼女(彼)のアパートを尋ねるのです…。

その後、二人はさまざまなことを語り合い、ある橋の上で、理解し合います。
そして彼女(彼)は去っていきます。

* * *

この音楽ドラマ動画は、ほぼ歌詞のとおりに、ストーリーが展開します。
ただし、音声による台詞はありません。
ですが、この歌の歌詞のとおり、最後の別れ際に、その男性は、彼女(彼)に「君なら だいじょうぶだよ」と声をかけたのかもしれません。

ここで、私の勝手な、もうひとつの想像を書きたいと思います。
この歌のタイトルは「ピエール」です。
LGBTの人物の名が「ピエール」です。
つまり、あのキリスト教の使徒「ペトロ」に重なっているのかもしれません。

ペトロは、キリストに問いました。
「主よ、あなたはどこに行かれるのですか…」。
ここではペトロの殉教のことを書きませんが、このドラマの彼女(彼)もこの先、「茨(いばら)の道」を歩んでいくのかもしれません。
「あなたはどこに行くの」…この動画の彼女(彼)の後ろ姿には、何か、そんなことも感じさせます。

その男性は、彼女(彼)の後ろ姿に、何かの「さみしさ」を感じたのかもしれません。


◇握りこぶし

この音楽ドラマ動画は、音楽に沿うかたちでストーリーが進みますが、音楽はここで終了します。
ですが、ここで、この音楽ドラマ動画は終了ではありません。
この続きがあります。

そのLGBTではない男性は、会社の自分のデスクに戻り、デスクの上にある、自身と息子が一緒に写る写真を眺めるのです。
そして、悲しげとも怒りとも見えるような表情で、握りこぶしをデスクに叩きつけるのです。
これで動画は終了します。

* * *

男性の最後の部分の「握りこぶし」のシーンは、はたして何なのか…。
男性としての葛藤や理解不足ではないはずです。

この「握りこぶし」は、子供の頃からの友人なのに、その頃から、彼を理解してあげられなかった自身への怒りなのかもしれません。

人の外見だけを見て、その中身を理解しようとしない社会への怒りでもあるのかもしれません。
この男性も、そうした社会のひとりだったのかもしれません。

なにより、その写真にある自身の息子のことを、自身が本当にわかってあげられているのか…。
情けなさ、悲しさ、怒り…、入り混じった「握りこぶし」だったのかもしれません。

* * *

この楽曲が生まれた1976年から、今は、少しは状況が変わってきています。
でも、それはまだ、人間の外見や仮面(マスク)の奥を理解できるほど、成熟した大人社会ではないのかもしれません。

とても素晴らしい「音楽ドラマ動画」だと思います。

この楽曲は、悲しげなギターの旋律で始まります。
仮面(マスク)の下にある「悲しみ」は、今現代も消えていないのかもしれませんね。

 

今、マイノリティの方々の、もうひとつの素顔に、心をそっと寄せてみたいと思います。


◇マスクの下の表情

今は、たいへんなコロナ禍にあり、多くの方々は、日常で、勤務で、マスクを着用していますね。
相当に大きめのマスクです。

ほぼ顔の下半分は見えず、目でしか相手の表情がうかがえません。
マスクの下では、相手が、どのような表情でいるのかも、まったくわかりません。

ピエールの音楽ドラマ動画の男性は、仮面の下にある相手の素顔に気がつきましたが、やはり相当に相手のことをわかっていなければ、気がつかないはずです。

* * *

今、コロナの感染者数や死亡者の数が、毎日報道されていますね。
これが事故や事件での死亡であれば、テレビニュースでは顔写真が映されたりします。

人は写真であろうと、顔から、多くのものを受け止めますね。
ある意味、年齢を知る以上に、情報がつまっています。

有名人の死亡であれば、顔写真や古い映像が、テレビで流されたりします。
コロナ感染での一般の死亡者の場合は、まさにマスクをしたまま、表情のわからないまま、その思いがわからないまま、ただただ死者数だけが報道で伝えられてくるのです。

何か、その「尊い犠牲」を、遠くに感じてしまうのです。
マスクはしていても、表情豊かな人間がそこにいたはずなのに…。


◇君なら だいじょうぶ

マスクは、感染拡大防止に絶大な効果をもたらすことに疑いの余地はないと思います。
ただ、このマスクは、人間どうしの表情や感情のやり取りを遮断するという側面も持っていますね。

人は、好き好んで、マスクや仮面をつけているわけではありません。
ひょっとしたら、ピエールの音楽ドラマ動画の彼女(彼)も同じなのかもしれません。

為政者の方々には、マスクの下に、それぞれの人々の苦悩と悲しみの表情があることを忘れないでいてほしいと強く感じます。
マスクの下の表情を、しっかり想像してほしいと思います。

そして男性は、化粧した女性の顔の下にある、もうひとつの表情も、しっかり見つめてあげないといけませんね。
「君なら だいじょうぶ」と、やさしく声をかけるのは、もうひとつの表情のほうなのかもしれませんね。


◇ピエール(オーケストラ屋外演奏)

さて、このバンド「イ・プー」の中心人物が、ロビー・ファッキネッティさんです。
1944年生まれといいますから、今、77歳です。
現役バリバリのミュージシャンです。

日本でいえば、サザンオールスターズの桑田佳祐さんをイメージします。
桑田さんは、彼より10年以上年下ですが、現役バリバリの日本のトップバンドのリーダーで、ヒットメーカーという意味では、存在感は似ている気がします。

* * *

このロビー・ファッキネッティさんは、今のコロナ禍のイタリアの惨状を見て、ミュージシャンとして立ち上がりました

素晴らしい新曲をつくり、また、「ピエール(ホーム・エディション)」をネット上にアップしてくれました。
そして、クラシックのオーケストラを呼んで、屋外でソーシャル・ディスタンスをとりながら演奏し、この「ピエール」を私たちに届けてくれました。

オーケストラの方々も、演奏会場でもない、音響設備もない…そんな屋外で演奏されるとは、その気概に本当に敬服します。
困難に立ち向かう姿勢を、彼らは、その身で示してくれました。

下記にその動画をご紹介します。

♪ピエール(オーケストラ屋外演奏)【公式】


◇ピエール(ホーム エディション)

「ピエール(ホーム エディション)」の動画映像は、メンバーがそれぞれの家で演奏しているようですが、まさに一堂に会したような、臨場感たっぷりのライブ感覚です。
世界中の有名バンドに行ってほしいようなかたちです。

♪ピエール(ホーム・エディション)【公式】


ホーム エディション映像も、オーケストラ屋外演奏も、その素晴らしさに、涙が出そうになりました。
さすが、イタリアは音楽文化の先進国です。

おそらくは、ロビー・ファッキネッティさんのリーダーシップによる実現だったと思います。
御年77歳とは…。
若手ミュージシャン、ビジネス・ミュージシャンには、なかなか できない行動ですね。


◇イタリアのファンタジスタ

イタリアの男性といえば、女性へのアプローチの情熱さやカッコよさで、よく知られていますね。

日本人が、何かにつけ、「どうも」とクチにしたり、何度もお辞儀したりしますが、イタリア男性の場合は、それと同じように、女性にさりげなく、でも情熱的に、さまざまな言葉をかけるのが、日常のマナーなのかもしれませんね。
声をかけないことは、女性への冒とく、侮辱と考えるのでしょうか…。
ちょっと他の国の男性とは違う気がします。
イタリア男性は、「ハラスメント」との区別を、しっかりつけられるのかもしれませんね。

* * *

ロビー・ファッキネッティさんの新曲動画を見ても、彼の音楽への情熱だけでなく、「女性にも情熱的なイタリア男性ここにあり」を感じます。

それにしても、御年77歳…、Bravo(ブラーボ)! Bravissimo(ブラビッシモ)!

下記は、女性の美しさと、男性の情熱が、際立つ音楽動画です。

♪Fammi Volare(ファミー・ボラーレ)【公式】


◇生まれ変わるだろう

最後は、コロナ救済のために作られた彼の音楽動画を紹介します。

「リナシェロウ・リナシェライ(私は生まれ変わるだろう、あなたは生まれ変わるだろう)」という楽曲です。
彼のメッセージ文章が下記で日本語で読めます。

♪リナシェロウ・リナシェライ【公式】


喜寿の年齢…77歳の人間が、ここまでの行動を行っています。
たしかに彼には、才能も地位もあります。

彼が、イエス・キリストの一番弟子「ペトロ」にも見えてきますね。
ペトロは、たしかキリストよりも年長だったと思います。
キリストの死後、弟子たちを引っ張ったのは彼だったようですね。

イタリアの黄色の「くまのプーさん」を引っ張った彼に、最後に、もう一度…
Bravo(ブラーボ)! Bravissimo(ブラビッシモ)!

そうだ、プーさん…、もうじき11時だよ…。
ちょっと ひとくち!
甘~い、この「蜜(みつ)」なら、いいよね…。

* * *


2021.1.16 天乃みそ汁

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