成人の日。アート・ガーファンクルの「Traveling boy(青春の旅路)」。サイモン&ガーファンクル。人生の旅路。定年退職は停車駅。終着駅とさよなら。元服と成人式。音路。

 

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各コラムで紹介した曲目リストは、「目次」で…

  

あの曲や動画はどこ… 音楽家別作品

 

*今後の予定曲

 

音路(1) 人生の旅路 ~ 音楽の旅路

 


◇成人の日によせて

昨日、「成人式」開催の有無に関連して、「成人」に関するコラムを書きました。
私自身の中で、コロナ禍の「成人の日」に新成人に贈る文章としては、夢のない内容だと思い、書き直したいと思います。

さて先般、女性歌手のオリビア・ニュートン・ジョンさんの1975年の大ヒット曲「そよ風の誘惑」のことを、コラム「誰かを勇気づけたことがないというの…」で書きました。


そうしましたら、若い世代から中高年層まで、多くの方々から、うれしいご感想を頂戴しました。
若い世代の方々は、やはり70年代の洋楽を、あまり聴いた経験がないようですね。

そこで、今回も何か「成人の日」に似合う70年代の楽曲をご紹介しようかと思います。
私は、本格的な音楽ものの執筆を、もう何十年も行っていませんが、少し思い出話しも交えて、私的な内容で書いてみます。
どうぞ、今回の曲を聴きながら、このコラムを読んでいただけましたらうれしく思います。

若い世代の方々…「サイモン&ガーファンクル」という男性デュオの歌手を、名前くらいは聞いたことがあるかな…。

* * *

オリビア・ニュートン・ジョンさんの「そよ風の誘惑」は、ある女性が恋人の男性を強く信じる気持ちや、男性を勇気づけたいと思う気持ちを表現した楽曲でしたので、今回は、男性が女性を想う楽曲を選びました。

でも、そこには女性にはあまりない、男性特有のエゴのような心理が交錯しています。
ある意味、一聴すると、男性の身勝手な旅立ちの歌にも聴こえてきます。
こんな男性に振り回される女性は、今も昔も少なくないはずです。

でも男性には、誰しも、理性や理屈ではない、説明できない、このような心理が心の底にあるのかもしれません。

ただ、女性の中にも、このような発想の方も少なくはありません。
その場合は、男性が泣いているのかもしれませんね。


◇青春の旅路

その楽曲とは、1973年に発表された、男性歌手のアート・ガーファンクルさんの「Traveling boy(青春の旅路)」です。

アート・ガーファンクルさんとは、男性デユオ「サイモン&ガーファンクル」の後者のあの方です。
彼の声は、男性としては高音域でやさしく、当時、「天使の歌声」と呼ばれていましたね。

1970年に「サイモン&ガーファンクル」はデュオとしての音楽活動を停止します。
その後、アート・ガーファンクルさんは、ソロ歌手として、アルバム「天使の歌声」を1973年に発表するのです。
そして、そのアルバムの一曲目が、この「Traveling boy(青春の旅路)」なのです。

旅立ちの内容の楽曲「Traveling boy(青春の旅路)」によって、「天使の歌声」が再出発したのです。

ソロ活動という旅路の出発を飾るヒット・アルバムになりました。
このアルバムには、大ヒット曲「友に捧げる讃歌」も入っています。

* * *

「Traveling boy(青春の旅路)」の歌詞内容は、男性から女性への愛と、その男性の新しい人生の旅立ちへの決意です。

なんと、この歌詞の中の若い男性は、「君こそ最愛の恋人、君だけを想うよ、この愛は永遠だ」と言いながら、彼女をおいて、旅に出ていくのです。

「僕はいかなくちゃ」、「さよならという言葉は旅の邪魔になるから言わない」…、なんて勝手なことをと多くの女性は感じるかもしれません。
中には、理解して送り出す女性もいるかもしれませんが…。

そんな人生の旅立ちの瞬間を歌った楽曲なのです。

* * *

アート・ガーファンクルさんの歌声をご紹介する前に、日本語訳のついた音楽動画をご紹介します。

下記は、2012年に、女性歌手のルーマーさんがカバーしたバージョンです。
なんと、女性が男性心理を歌っています。
この動画に、日本語訳があります。

♪Traveling boy(青春の旅路)ルーマー

 

下記が、アート・ガーファンクルさんの歌声のものです。
こちらには英語の歌詞がついています。
まさに、中学校の英語の授業に使えそうな、シンプルでわかりやすい歌詞ですね。

♪Traveling boy(青春の旅路)アート・ガーファンクル

 

 
 

この歌詞は、ちょっとだけ視線をかえれば、女性が男性から旅立つ内容に入れかえることもできますね。

今は、女性がしっかり自立できる時代であり、夢を追うことができる時代です。
女性が男性をおいて旅立つことなど、めずらしいことでもない気もします。

また、別の視線であれば、母親から旅立つ息子の姿に感じないこともありません。
母親としては、こんなことを言われて、息子が旅立っていくのは、つらく感じる方も多いかもしれませんね。

でも父親は、母親とはまた別の感情を抱くことでしょう。
なにしろ、父親も息子と同じ男性なのですから…。

ようするに、この楽曲は、人の旅立ちの歌なのです。

* * *

歌詞の中に、「会えない時間が、二人の愛情を深くする」というフレーズが出てきます。
私は、それまでのヒット曲で、こうした歌詞表現を聴いた記憶が、ほぼありません。
この頃から、急に、歌謡曲や洋楽に、この言葉表現が増えていったようにも感じます。
でも、そのとおりかもしれませんね。
「愛」が育つのに、「距離」や「時」は関係ないのかもしれません。

* * *

歌詞にあるとおり、「戻ってくる」や「さよなら」という言葉を言わないのなら、私だったら、相手が寝ているところを、わざわざ起こさないかもしれません。
きっと、この歌の場面でも、本当は彼女を起こさず、寝かせたまま、彼女の顔をながめたままだったと思います。
歌詞の「君だけを想っているよ」も含めて、おそらくはすべて心の中の言葉でしょうね。
身勝手な彼ですが、彼女への最後のやさしさにも感じますね。

* * *

「別れ」には、いろいろなかたちがありますね。
お互い笑って握手して別れることもあれば、片方に何かを託して去る場合も、片方がそっと身を引く場合もあります。

男性には、よほどの事情がなければ、初恋の相手や、一度は思いを抱いた相手などに、いつまでも幸せでいてほしいと願うような身勝手な心理があります。
もう戻ってこない時間を、美しいままにしておきたいという心理もあります。
歩んできた旅路の思い出を、美しいものだけで埋めておきたいという心理もあります。

特に、青春時代は失敗もしますし、後悔もします。
それを回避する術(すべ)も知りません。

「オレは、どうしても、ここを出ていかなくちゃいけないんだ…。
戻ってきちゃいけないんだよ…」。
男性の身勝手さは、昔も今も変わりません。

「とっとと旅にでも何でも行きやがれ…私は、ここで待ってはいないわよ」ですね。

* * *

アート・ガーファンクルさんは、この「Traveling boy(青春の旅路)」とともに、自身のファンに、「さよなら」ではなく、ファンのことを想って、どこかの場所から、ファンの前に旅して戻って来たことを伝えたかったのだろうと思います。
彼は、もう、そのどこかの場所には戻らないと歌っています。

私は、この曲が、彼の再出発の「旅路」の始まりだと思っています。


◇終着駅

私は、この曲を今でも、1年に2~3回くらいは、いろいろなことを思い出しながら聴きます。

学生の頃から20歳前半頃まで、本当に、この曲をよく聴いていました。
この曲を聴くと、まさに青春の頃の思い出がよみがえってきます。
さまざまなシーンが、まさに映画の回想シーンのように頭の中に浮かんでくるのです。
学生から大人に変わっていく自分自身が、この楽曲の中につまっているのです。

* * *

1970年代というのは、「青春」や「旅路」というフレーズが大流行しましたね。
まさに二大用語が結びついた邦題なのです。

ですから、「青春の旅路」なんて言葉を見聞きするだけで、その当時の若者世代は、ウルウルしそうになるのです。
特に当時の男性の若者にとって、「旅路」という用語は、夢のかたまりのような言葉なのです。
「男の旅路」と耳にすれば、男性はそれぞれにイメージする世界があるはずです。

徳川家康であれば、「重い荷物を背負い、遠き道を行くがごとし…」といった具合です。

当時、「成人の日」は、そうした旅路の出発点や始発駅のように感じる人も少なくなかったかもしれません。
初めての就職の日と、似ているようで、何かが違う気がします。

* * *

今の時代は、定年退職をむかえる年齢は、おそらく60歳前後でしょう。
その後の余生は、まだまだ長く、それは「終着駅」などではありません。
人生の旅路の中の「停車駅」ですね。
すぐに別のホームに移動し、それは次の列車の「始発駅」に変わったりします。
旅の列車の乗り換えです。

いずれにしても、まだまだ人生の旅路の「終着駅」ではありません。

* * *

実は、男性のアート・ガーファンクルさんの「Traveling boy(青春の旅路)」と、カバーした女性のルーマーさんの「Traveling boy(青春の旅路)」は、歌詞の最後が違っています。
アート・ガーファンクルさんの最後の歌詞は…

「no goodbyes(さよならとは言わない)」でした。
まさに、停車駅だったのだろうと感じます。

本当の終着駅に着いた時、そこで「さよなら」と言うのか、「さよならとは言わないよ」と言うのか、「またね」と言うのか、「いってきます」と言うのか、はたまた無言でお辞儀するのか…、あなたの自由ですね。


◇さよなら

人は歳を重ね、高齢の時期をむかえてくると、自身がクチにする「さよなら」に重みが加わっていきますね。
残りの歳月を考えると、相手との「さよなら」が、永遠の別れを意味することも少なくありません。

もし、それをクチにするなら、良い「さよなら」であることを願うようにもなります。
時に、「いい人生をね…」とか、付け加えたりもします。

別れの相手が、若い世代であればあるほど、それが相手にとって「良い旅立ち」であってほしいと願ってもしまいます。

この歌詞の若い男性が、恋人との愛の存在を永遠だと思い続けるように、自身の「さよなら」が、次の誰かの「出発」であってほしいと願ったりもするのです。

* * *

私は今、原曲のアート・ガーファンクルの楽曲のほうの、チェンバロ演奏による長いイントロ部分を耳にすると、連打音の間隔が徐々に短くなっていく…その間隔の中に、さまざまな思い出が浮かんできます。
このイントロに長い歳月を感じ、その思い出が、遠い沖から徐々に大波となって自分の足元にやってくるのです。

かつて、青春という時期を越え、人生の旅路を歩み出し、旅路の終着地点が近くなってくると、その旅路の思い出を、とても いとおしいものに感じるのです。
あの時の出逢い、あの時の別れ、あの時の葛藤、あの時の苦難、あの時の幸せ、あの時の自分自身…。

自分自身の旅路は、とっくに半分以上過ぎています。
そして、「さよなら」という四文字にも、いとおしさを感じてきたのです。


◇逆境に強い世代 ~ 新成人へ

かつての日本には、昔、「元服(げんぷく / 成人の儀式)」という儀式がありました。
男性の場合、12歳から16歳のあいだで、その若者の成長度合いに合わせて、適切な時期に、その一族が儀式を行いました。

第三者の関係者や後見人などを、「烏帽子親(えぼしおや)」として立ち会わせ、多くの周囲が一人前の成人として認めるものでした。
その家族の勝手では、成人させなかったのです。

一族の中で、どのような個性や能力を持つ若者がいるのかを一族全体で認識し、チカラを持つ第三者に「烏帽子親」となってもらい、関係性を深めておく必要があったためです。
戦国乱世であれば、一族の「生き残り」がかかっている重要な儀式だったのです。
女性は女性で、行事がありました。

戦国時代は、少人数の家族単位で生き残っていけるような甘い時代ではありません。
一族内で、ひとりでも多くの人間が助け合わないと、生き残っていけません。

「元服(成人)」とは、その本人にとって、社会や人間のつながりが一気に広がることを意味していたのです。
あわせて、役割と責任を背負うことになりました。
今でも、どこかの武家の末裔には、儀式の一部が残っているかもしれませんね。

今現代でも、世界中で、これと同じ意味あいのことが、「成人式」とは別のかたちで、さまざまな一族や企業、業界で、しっかり行われていますね。
「成人」とは、まさに、人が「大人社会」に入る第一歩なのです。

* * *

新成人の皆さま…

現代の「成人」は、誰かに与えられたり、認めてもらうものではありません。
すべての人間が、一定のルールと年齢により、成人という扱いになります。

今年20歳になった新成人たちには、本当の意味の成人としての立場や資格を、自身の手で、しっかり つかみ取ってほしいと思っています。

中高年世代は、毎年やってくる「成人の日」が、若い世代の「素晴らしい希望の旅立ちの日」になってほしいと、強く願っているのです。
社会の中で、助け合い、協力し合い、生き残っていく仲間が増えると感じるのです。

それぞれの人生の旅路の目的地は違いますが、そこに、それぞれの「旅路」が、しっかり作られることが大切なのだろうと感じます。

成人、おめでとうございます。
後に、皆さまが、「逆境に強い世代」と呼ばれるようになることを願っています。

* * *

【追伸】
「音路シリーズ」開始


先般、2020年12月、多くの方々が、今のコロナ禍でたいへんな苦労をしていることもあり、本コラムでは、「音楽と文章で元気を…」と思いたち、さまざまな関連コラムを書いてきました。

そうしましたら、さまざまなツールでお読みいただき、若い世代から中高年層まで、多くの方々から、うれしいご感想を頂戴しました。
そこで、この音楽関連をシリーズ化しようと思い、「音路(おんろ)シリーズ」を立ち上げたいと思います。

「音楽の旅路」の略です。
さらには、オンロード(舗装道路・公道)の「オンロ」です。
津軽弁で「おんろ~」は、「すごい」という意味だそうです。

音楽ジャンルを問わず、年代を問わず、元気の出るような音楽関連の話しを書いていこうと考えています。
本文でも書きましたが、私は、もう何十年も、音楽ものの執筆から離れていますので、年齢的に勘は戻らないと思います。
それに、当時の感覚と同じ文章を、今 書いても意味がありません。

当時のような内容は書きませんが、日本史を絡めたり、当時の世情や関連エピソード、思い出などを交えながら、ご同好の方々にも、若い世代の方々にも、ご興味を持っていただけるように、がんばりたいと思います。
今回のコラムのように、歌詞のお話しも、どんどん書いていきたいと思っています。
エッセイ風の「音楽の旅路の風景」のようなものを書いていきたいと思います。
今後とも、他のシリーズともども、「音路シリーズ」を、よろしくお願い申し上げます。

そこで、先月 書きました音楽関連の内容を、シリーズの中に組み入れたいと思います。
それ以前のものは省きます。

音路(2) 誰かを勇気づけたことがないというの…

♪オリビア・ニュートン・ジョン「そよ風の誘惑」

 

音路(3) ゴーストたちの底力~がんばれ!ミュージシャン

♪ローリング・ストーンズ「リビング・イン・ア・ゴーストタウン」

 

音路(4) エールの鐘

♪古関裕而さんの楽曲…栄冠は君に輝く、長崎の鐘ほか

 

音路(5) マサカの子供たちと踊ろう!

♪マサカ・キッズ・アフリカーナのダンス動画

 

音路(6) 希望の星…あなたがやらねば、だれがやる!

♪昭和のアニメソング…キャシャーン、ガッチャマンほか

 

* * *

 

コラム「音路(7)マスクの下のあなた~プーさんブラーボ!」につづく

 

 

2021.1.12 天乃みそ汁

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