小説の「小」を理解すべし | 小説の書き方教えます

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小説をなぜ小説というのか?


それを理解していないことには、一時選考など

絶対に通過できません。


文学賞の一時選考では、小説でないものが落

とされるからです。



じつは、大説というものも存在します。


「大」とか「小」とかいうものとはいったい何なの

かといえば、大は天下国家、世界などの広義な

存在を意味します。


小はそれらにくらべると小さな存在のことです。


そう、人間のことなのです。


つまり、小説とは人間の生き様を説いた文章の

集合体という意味です。



かつてナポレオンがエジプトへ遠征したとき、象

形文字で書かれた石版を発見しました。ロゼッタ

ストーンと呼ばれ、その後、解読されぬままルー

ヴル美術館にて保管されました。


ようやく解読されたのはほんの30年ほど前のこと

でして、石版に描かれていたのは時代を超越した

人間の生き様そのものでした。


「近頃の若い者は、、、」



おそらく、ピラミッド建設に携わった人が、若者た

ちの無節操な行動を歎いて書いたのでしょう。


今も3000年前も人間の本質は変わっていないの

ですね。



人間が抱えているいろんな面のうち、何をピック

アップしてテーマに掲げるのか。


それが小説です。


時代がどうあれ、今後いかにネット社会が進もう

と医学が発達しようとも、変わらぬ人間の生き様。


愛憎と確執、忠誠と裏切り、欲望と理性などなど。


老いる苦しみ、死別の悲しみなども含めて、人間

が時代の変化や進化とは関係なく、常に抱えてい

る問題です。



ですので、「小」が抱える問題点をテーマとして掲

げていない作品は小説とは呼べません。


ストーリーのみを描いたものは論外だってことです。


面白いストーリーを思いついたから小説作品にして

みようだなんていうのは、根本的に間違っているの

です。



ストーリーが面白いのはまことに結構なのですが、

ストーリーを描くために登場させた人物たちの生き

様を深い部分まで描いてほしい。


悩んでいることや叶えたいと思っている希望。愛を

感じる異性の存在など、人物たちの心の奥底から

ほとばしる叫びを描いてほしい。


泣いたり笑ったり怒ったり。


あなたの作品の中で、主人公たちは本当に生きて

いるといえるでしょうか。